独白

全くの独白

今日は朝から非常に不快な思いをした

2020-05-20 16:33:07 | 日記

ラジオを聞いていると、平均律クラヴィーア曲集の中の一曲を遣ると言う。作曲家らしい解説者が言う。「私などは、一生のうちにこの曲だけでも作れたら上出来だ。この曲集だけで同じように素晴らしい曲を48も作ってしまうバッハは矢張り偉大だ」

最初は「情けない事を言う」と思った。併し考えてみると事実その通りで、だからこそ死後270年経ってもバッハ、バッハと持て囃されるのであろう。モーツァルトやベートーヴェン等に就いても同様である。この先にも彼らを超える者は出て来ないかも知れない。謂わば人間の音楽的限界を突き付けて見せられた事による絶望感が、私を打ち拉ぎ不快にしたのである。

此の絶望感を例えると以下の様である。

深い洞窟の奥に居る時に入り口が崩れてしまった。容易く掘れるような厚さではない。青くなったが人間の事とて落ち着くと生還の道を探り始める。幸い蝙蝠が沢山居るので、生で不味くはあろうが食い繋ぐ事は出来よう。根気良く少しずつ掘り進む事にしよう。併し真っ暗闇で方向が解らない。無闇に掘って奥へ行ってしまってはつまらない。山の横穴の事とて闇雲に真上に進んでも奥に入るのと変わりは無い。明りの差す所を探し当てて其処を目掛けて進もう、と思い定めた時、神か悪魔かは知らないが信ずるに足る事だけは、何故か明らかな声が聞こえる。「そんなものは無い。ここからは永遠に出られない!」