独白

全くの独白

不毛なるもの、戦闘

2017-04-12 15:07:28 | 日記
先日岸田外相が、G7外相会合に就いてのインタヴューに応じて妙な事を言っていた。
「シリア政府が、化学兵器を使ったか否か確認は出来ていないが、わが国として米国の決意は支持する」と言うような事をである。
これでは裁判官が「被告の犯行か否か確認できないが、検察の決意を支持して有罪とする」と宣告するようなものである。
私も選挙中のトランプ氏のように、自分の言い分だけを喚き散らして押し通す餓鬼大将のような遣り方を好まない。
品位に欠けていて無粋でもある。
又我国民のシンタリティとして慎み深く婉曲な表現を好み、曖昧だと詰られても微かな笑みを湛えて、以心伝心の成立をじっと待つといった所があり、そういう所は私のパーソナリティにもある。
況して問題はデリケートな国際関係であり、軽々しく直截的な事をズバズバ言って居れば良い訳ではないのも解る。
それで言葉を選び過ぎた結果として、この様に筋の通らない言表と成ってしまったのでもあろうか。
併し曖昧な言表にして置きたいからと言って、整合性に瞑目して良い事には成るまい。
「我が国の能力では確認できないが、米国の情報機関の優秀さに鑑みて、その判断を信じてその結果としての米国の決意を支持する」とでも言えば良かったろう。
ま、そう言ってみたとしても、飽く迄自国独自の確認と判断に拘泥するという事を、しなかった点での怠慢への謗りを免れはしまい。
理由は何であれ、米国のミサイルが何人もの人を傷付け、多くの物を破壊した事実は動かない。
その事実の基である決意を支持するなら、それは吾人が同様の報復を受ける覚悟を持って居るとの言明であると受け取る者がきっと居る事であろう。
核、化学、生物兵器と通常兵器との違いは、規模のみに過ぎまい。否、今尚語り継がれる東京大空襲等に思いを致せば、規模に於いてさえ変わる処は無い。
泡を吹いたり痙攣したり、皮膚が爛れたりと言った惨状に比べて、脳味噌や腸を抉り出されたり、手足を吹き飛ばされたり、腹の皮一枚で辛うじて体が繫がって居たり、丸焼けに成ったりといった有様の方が増しで在る等と言えようか。
犠牲者の中の弱者の割合等も、殆ど偶然の産物に過ぎない。
尤も私のように御託を並べて居るだけでは、物事は何も解決しない。
核兵器を手に入れたスペクターを検挙するには、MI6に依る情報蒐集も軍隊に依る制圧も必要に成ろう。
SFが嘗ては誰も予想しなかった早さで現実化しつつあるのに歩調を合わせるように、荒唐無稽な絵空事も思い掛け無く、スペクターがISと成りシリアに成りボコ・ハラムや北朝鮮と成って、現実化してしまっている。
どうしても武力に頼るしか無いのであろうか、憂き世である。