ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

松尾スズキ 【演技でいいから友達でいて 僕が学んだ舞台の達人】

2008-02-19 | 幻冬舎
 
松尾スズキさんがホストの対談集です。
なんとなく店頭で目に付いて、つい手にとってしまいました。
この本は2006年発行の文庫ですが、2001年単行本の時は岩波書店から刊行されています。
いったい、どんな経緯で…?
 

 演技でいいから友達でいて 僕が学んだ舞台の達人
 著者:松尾 スズキ
 発行:幻冬舎
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目次を引き写しますと…。

吉田日出子 対談 『そこに「ただいる」こと』
柄本明 対談 『普通でいることの凄さ』
ラサール石井 対談 『お客さんが「あそこに行きたい」と思えるような舞台』
天海祐希 対談 『いかに動くか、いかに動かないか』
板尾創路 対談 『本番がいちばん楽』
野田秀樹 対談 『舞台を豊かに埋めること』
大竹しのぶ 対談 『開幕して最初の声ですべてが出ちゃいますね』
串田和美 対談 『どこかが似ている2人?』
中村勘三郎 対談  『ザマアミロっていう歌舞伎を』
河原雅彦 対談 『演劇はフィクションだけどステージはドキュメンタリー』
三浦大輔 対談 『食えるか、食えないか』

豪華ですな。
そして意外に松尾さんが褒められています。
田舎から「大人計画」の舞台を観にいくというのは、そうそうできることではないので、実は松尾スズキさんの生の舞台を観たことがなく、判断がつきません。
客演している映像を観たことがあるくらいで、あとはTVと文章。
本筋ではないところばっかりですね。
そういえば、先日の日本アカデミー賞では『東京タワー』で脚本賞を受賞されたとか。

さて、中身ですが、もともと私は芸談好きなので読んでいて楽しかったです。
年齢、知名度の差などは歴としたものがありますが、同業者同士の対談ですから、評論家や門外漢がインタビュアーの場合の芸談とは違う印象。
手に取った時のイメージよりももっと、自分自身が舞台に立ちたい人向けの内容のようです。
なかなか手厳しい内容でもあって、これをきっかけに舞台を観るというのももちろんありの話でしょうけれど、「単純に楽しむ」という最初の大切な階段をスキップしてしまいそうな気もします。

ホストの松尾スズキさんが楽しそうだったのは、河原雅彦さんとの対談。
読んだ印象が厳しいのは、もともとそういう印象はありましたが、野田秀樹さん。
正直な感じなのは大竹しのぶさん。
読んでいて楽しいのは勘三郎さん。
先代勘三郎が病床で、四谷怪談の毒を飲むところを教えてくれたという話がありました。
「怖かったよ~。今にも死にそうな人だもん。」
そりゃそうですわね。

余談ながら、松尾スズキさんはカート・ヴォガネットが好き、というのは、なんだかとても納得できることでした。

ちなみに、こちらが岩波から出版された時の表紙カバー。
こちらをusedで読むほうが新品の文庫より安いのですが、最後の『食えるか、食えないか』は文庫で追加された対談です。


 演技でいいから友達でいて 僕が学んだ舞台の達人
 発行:岩波書店
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文庫の表紙と見比べると、うふふという感じですね。





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2 コメント

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Unknown (S・M夫人)
2008-02-21 17:08:35
面白かった。きしちゃん貸してくれてありがとう。
私は天海祐希の「農家の嫁になりたかった」話がヨカッタ。天海株が急騰。どうしよう、好きになっちゃったら…。
返信する
農家の嫁 (きし)
2008-02-22 00:33:31
あったね!そういう話。年1回納涼大会で芸を披露するって。
気に入ってもらえてよかったです。
ふふふ。もし好きになったら、一緒に「阿修羅城の瞳」と観ましょーね。副音声のほうで。
返信する

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