シュガークイン日録3

吉川宏志のブログです。おもに短歌について書いています。

石巻

2012年08月26日 | インポート

8月11日、12日の夏休みに、宮城に行きました。

一つの目的は、津波の跡を見に行くことでした。

災害のあとを見に行く、というのは、正しい行為なのかどうか、私にはわかりません。

ただ今回は、高校3年生の息子を連れての旅だったので、

ぜひ息子に見てほしいという思いがありました。テレビだけではなく。

松島から石巻はまだ線路が復旧しておらず、代行バスで沿岸を走ります。

ときどき、木が倒れたり、家が壊れていたりする様子が車窓から見えます。

石巻駅に着いたのは午後4時くらい。

まず、この町の出身の石ノ森章太郎の漫画館に行きましたが、激しく壊れていて、

休館中です。川の中州にあるので、特に被害が大きかったようです。

その周辺は空き地が多くなっていて、子供が遊んでいたり、スケートボードをしている人もいます。一瞬、平和な光景のように見えますが、あたりには壊れた工場が内部をむきだしにしていたりして、異様な感覚に襲われます。

なぜか自由の女神の像が立っていて、半身は無惨にもぎとられたままに立っています。

息子も、この情景には、衝撃を受けたようでした。

20120826141230
(撮影 息子 以下同)

そこから、対岸に渡り、海のほうに向けて歩きはじめます。

更地になったところ、建て替えたのか、新しそうな家もあったりします。

そしてときどき、ひどく壊れた家があり、内部がなまなましく見えていて、寒気のようなものに襲われます。

20120826141102

その一軒には猫が棲みついていて、じっと土間にしゃがんでいます。

美容室のパーマの機械などが、道端にそのまま打ち捨てられているところもありました。

ある学校では、一階部分がすべて流されて、黒く汚れてがらんどうのような状態になっている。

また、あるところでは、野原のようになったところでバーベキューをしていて、肉を焼く香ばしい匂いが漂ったりしている。

普通に生活しているところと、廃墟のままのところが混じったまま、町が存在しているという感じがします。災害のあと時間が止まっているような場所と、時間が動き出している場所が、併存している、と言ってもいいのかもしれない。

ニュースを見ていてもわからない、被災地の現実に、少しだけ触れた感じがしました。

そこからさらに海へ向かって歩いていくと、瓦礫を山のように積み上げたところが見えてきました。

20120826141011

3・4階建てのビルくらいの高さでしょうか。近くにいくと、今でもかなり異臭がします。

分別もしてあり、木材などは分けて積まれています。

このように一か所に集めるだけでも、どれくらい大変だっただろうか、と思います。人々の黙々とした努力に心を打たれます。

ここからはもう海が近い。夕暮れの海で、釣りをしている人が、数人見えました。

 

 

津波が、何キロも内陸に押し寄せてきたことは、知識では知っています。

しかし、実際に歩いてみると、まさかこんなに離れたところまで、海が来たのか、と、

とても信じられない。

いまでは、静かな風景が広がっている海辺が、一年半前には、まったく異なる姿になっていたとは、なかなかうまく想像できません。ただ、廃墟のようになった家々を見ると、想像を絶する恐ろしいものが、自然の中には存在していることが、ひしひしと伝わってきます。

私たちがふだん信じている〈現実〉というものは、とてももろく薄っぺらいものなのだ、ということを、今更ながら感じたのでした。

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映画2題

2012年08月26日 | 映画

「プロメテウス」という映画を見に来ました。

Dsc_0144

これは、配っていたウチワですね。

私は、こういった超古代ミステリーものがすごく好きで、

(インドの古典「マハバーラタ」に核戦争の様子が描かれている、

ピラミッドやナスカの地上絵は宇宙人と交信するために作られたといった話など。

まあ、いかがわしい話も多いのですが、魅力的ですよね)

期待して行ったのですが、なんかだいぶイメージが違う映画で、

びっくりしました。

「エイ〇〇ン・エピソードゼロ」いう題名のほうが内容に合っている。

かなりグロいホラーです。

まあ、私はホラー映画もたいへん好きなので、楽しかったのですが。(前向き)

最後のオチには、笑ってしまった。

***************

「ダークナイト・ライジング」にも行きました。

原題は「Dark knight rises」だそうですが、

たしかにバットマンが壁を登る話でした。

やっぱり、音響がすごく良くて、戦闘シーンにはひたすら痺れます。

あの黒光りのマシンが疾走するのを体感できれば、もう何も言うことはないでしょう。

キャットウーマンも綺麗すぎますね。

ところで、

ハワード・ジョーンズの近年のCDに、

オーディナリー・ヒーローズ

オーディナリー・ヒーローズ
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2010-04-21

というのがあるのですが、(佳曲が多いです)

「どこにでもヒーローはいる」という考え方は、最近の潮流のような気がします。

一人の英雄まかせにせず、一人一人が自分のできることをして、つないでいく。それが「正義」なのだ、というテーマは、この映画にも色濃く流れているように思います。

9・11以降、何が正しいのかわからなくなってきた状況の中で、手探りで表現している苦しさ、そしてその苦しさのおもしろさ、というのが、よく伝わってきて、充実感のある映画でした。

**********

蛇足。

むかし、「魁!男塾」という漫画で、

マントで空を飛ぶ特訓をすると、10万人に1人くらい、自由に空を飛べるものが現れる。

その者には十万人を抜け出たという意味で「抜十万(ばっとうまん)」という称号が与えられる、という話があったことが、最近よく思い出されます。

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大飯町

2012年08月26日 | インポート

「塔」八月号掲載の私の短歌を再録したいと思います。

 

 

    大飯                吉川宏志

    

横波に揺らるる船に見ていたり肌色卵のような原発

 

かたむきて航路を変える船にいて球形の原発たちまちに消ゆ

    
見るほかに何もできねば見たるのみ再稼働を待つ大飯(おおい)原発

    
 

        松本零士のプロデュースという
原子力PR館の睫毛ながき宇宙少女に迎えられたり

    
夕影を帯びゆく島が見えながら島のあいだを吹いてくる風

    
反対を続けいる人のテントにて生ぬるき西瓜を食べて種吐く

    
明日はまた仕事があるので帰ります 電気に満ちた街に帰ります

 

**************

 

これは、6月23日に、再稼働する前の大飯原発を訪れたときに作ったもの。

おおい町に行くには、若狭本郷駅で降ります。

駅前の大きな公園に、再稼働に反対している人たちのテント村があります。

ちょっとむさくるしい感じですが(失礼)、いろいろと話をして、少しだけカンパしました。

こうした反対活動の実際を、いろいろなところで紹介してほしい、と言われましたが、

私も微力の上に臆病者なので、なかなか書けないのが、心苦しいところです。

 

大飯原発は、駅の近くのホテル前から出ている遊覧船から見ることができます。

Dsc_0115

写真が下手なうえに、携帯電話のカメラなので、すごくわかりにくいのですが、

中央あたりにぼんやりと写っていますね。

じっさいに肉眼で見たときは、かなり近くにはっきりと見えました。

上記の歌にもありますが、うす赤い卵が4つ並んでいるような感じです。

 

また、おおい町には原発のPR館があって、大飯原発の内部の様子を、

巨大なスクリーンで、精密なCG映像で見せてくれます。

まあ、かなり安全を強調したものですが、大変わかりやすいです。

 

原発については、いろいろな考え方があると思いますが、現地に行ってみるということは大切なように思います。その町を観光することも、ちょっとした手助けになりますしね。

Dsc_0116

これは、おおいの海を撮ったもの。海がとてもきれいで、いい町でした。

遠いですが、また行きたい。

 

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送り火

2012年08月26日 | インポート

8月16日は、五山送り火でした。

私の住んでいるマンションからは、「法」の字がよく見えます。

Hou

「法」の右下のところが「ム」ではなく、「△」になっていますね。

「あの字、正しく変えたほうがいいのにね」

「でも、伝統を守らないといけない、という人もいるから、すごい論争になるんじゃないの」

といった話をしておりました。

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関電前デモ

2012年08月26日 | インポート

いろいろと用事が多くて、なかなか更新できませんでした。

この数週間にあったことを、短く書いていきたいと思います。

8月17日(金)は、大阪の関西電力前デモに行きました。

金曜日は会社の残業があったりするので、なかなか行けず、

一か月ぶりくらいの参加でした。

Dsc_0137

これは6時くらいの写真で、この後も人数はかなり増えていました。

今年の夏もずいぶん暑かったですが、大飯原発の2基稼働だけで、電力不足は乗り切れたようです。

素人考えですが、ということは、原発2基ぶんの自然エネルギーやコンバインドサイクル発電を増やしていけば、来年以降はじゅうぶん足りることになるように思われます。

無理のない範囲で節電を続けるのは、悪いことではないように思いますし。

「停電になる」という脅しは、やめてほしいものです。

そうそう、デモの場所で、「デモ割」のちらしが配られていました。

Dsc_0143

このちらしをもっていくと、生ビールが一杯無料になったりするようです。

(9店が共同でやっている)

さすが、大阪ですね。

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