リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

今は棄権の時ではない

2017-10-22 | 政治
選挙のたびに「どの政治家(政党)もだめ.抗議の意思表示として棄権する」といった声が聞こえるが,これは権力者を利するだけで意味はない.
10月21日の朝刊によれば,インターネット上での「積極的棄権」の署名活動に5400人の賛同者が集まっているという.記事は批判のための棄権が選挙結果に影響を与えることはないと指摘する.だが思うに,棄権者が多くなれば公明党などの組織票で固めた与党が有利になるだけだ.その意味では,棄権はかえって与党に有利な影響を与えかねない.投票率がある率に達しなかったら不成立,というような投票であれば積極的棄権も一定の意味があるだろう.だが国政選挙はそういうものではなく,投票率が低ければ,一部の組織票だけで与党が権力を握ることを許すだけだ.
世論調査によれば与党の多数はすでに固まっているようだが,「今のままでいい」と思って棄権する人もいるだろう.だが「自民党は保守ではない」(10月15日)でも指摘したが,必要以上に与党に多数を与えてしまうと,日本は「保守」ではなく,どんどん危ない方向に変わっていってしまう.
上記記事は「投票した候補や政党が野党となっても,明確な批判票があることが分かれば,勝った側も強引な政権運営はできなくなる」との早稲田大学教授の弁を紹介している.安倍政権はいったん多数を握れば強行採決を連発して好き放題にするのはこれまでの行動から明らかで,この意味で教授の弁は理想論でしかないが,思い出してほしい.森友・加計問題で支持率が急落して都議選で大敗したとき,あの安倍首相でさえ国会で圧倒的多数を手にしていながら悲願の改憲を棚上げにする姿勢を示した.議席になっていなくても世論の力は小さくない.そもそも「比例区」のほうは一票一票が投票先の政党の議席数に直結する.
どんなに分が悪くても,雨でも,その一票を無駄にしてはならない.

追記:朝刊を見たら朝日新聞の社説も同じ話題だった.投書欄にも同趣旨の投書があった.社説によれば,アメリカでトランプ大統領が誕生したあとになって,負けたヒラリー・クリントン氏は多くの市民から「実は投票に行かなかった」と謝られたという.投票して負けるのはやむをえない.投票せずに後悔することのないようにしたい.(投票もしないで政治に文句ばかりいうのはどうかと思う.託したくなる政治家がいかいとの気持ちはわからないではないが.)

追記(11月27日):「積極的棄権」を呼び掛けた人がいて,5000人の署名が集まったそうだ(asahi.com).今回の衆院選を「大義がなく、解散権の乱用」「民意を反映できる選択肢がない」と批判する趣旨のものだ.そういう意味では署名活動には意義があったと思うが,やはり「棄権」はいただけない.だが署名しても最終的に投票するかどうかは個人が決めるものであって,呼びかけ人の東浩紀自身,投票に行くかどうかは当日まで考えて決めると言っていたという.


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