リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

「米国で余ったトウモロコシを日本が全部買う」は嘘っぱちだった

2019-09-24 | 政治
日米貿易交渉に関しトランプ大統領が首脳会談後の共同記者会見でいきなり「中国が約束を守らないせいで、我々の国にはトウモロコシが余っている。それを日本がすべて買ってくれることになった」と語ったが(過去ブログ)、例によって根も葉もないことだったとわかった(朝日新聞2019-9-24)。
まず、中国はもともとトウモロコシをほぼ自給しており、中国の輸入がどうなろうと米国産トウモロコシの輸出に大きな影響はない。アメリカでトウモロコシが余っている理由は、ほかならぬトランプ大統領自身がエタノール原料としてのトウモロコシの需要を減らしたためだったという。アメリカでは化石燃料による二酸化炭素排出を減らすためにトウモロコシから作ったエタノールを燃料に混ぜる規制があって、トウモロコシの4割もがエタノール原料として使われているのだが、この8月に、石油業界に配慮してその規制を緩和した。そのためトウモロコシ価格が暴落してトウモロコシが余るようになったという。
そして肝心の「日本が全部買う」だが、記者会見の場でも安倍首相は「緊急な形で購入をしなければならないと民間も判断しているので、協力できるとは思います」と「民間」にげたを預ける形にとどめたが、それを聞いたトランプ大統領は「日本の民間は政府の言うことをよく聞く」と上機嫌だったという。
実際にどういう約束があったのかというと、日本で害虫被害が出ていて飼料用トウモロコシが不足する可能性があるため輸入に補助するということを決めただけで、今回の記事によれば、米側に示した275万トンというのは、商社が不足分のトウモロコシを緊急輸入することになったときに倉庫の保管費用や購入代金の金利分を補助する額の上限、というだけとのこと。だから実際の害虫被害が少なければ緊急輸入の必要はないし、そもそもこの上限額も「農家が安心できる量」としてかなり多めに見積もっているから、普通に考えれば、実際の輸入量はこの上限を大幅に下回りそうだ。
だが商社の間には、政府から「忖度しろ」と無理強いされないか懸念があるという。「政府間で追加購入の約束はしていない」、「絶対に275万トンありきで商社に購入は迫らない」という農水省の説明を、名実ともに守らせねばならない。

追記:今のところ政府による輸入増の強要はないようだ。それどころか害虫被害がそれほどでもなく補助金申請は低迷しているという。(朝日新聞2019-12-28

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