リベラルくずれの繰り言

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「表現の不自由展」再開? 電話攻撃への対策は十分か

2019-09-27 | 政治
脅迫やテロ予告を含む電話攻撃が殺到して中止に追い込まれたあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」について、愛知県の大村秀章知事は再開を目指す意向を示した。週刊誌の記事を参考に抗議電話(電凸)への対策を練り、メドがついたという(朝日新聞2019-9-26)。
だが「専門窓口の電話を設け、機械で自動的に対応し、通話が10分を経過すると切れる仕組みを導入した」という記事の説明を見る限りは、はなはだ心もとない。
不自由展開催直後、芸術祭事務局への脅迫も含む抗議電話が殺到したため録音機能がない電話回線を抜いたところ、芸術祭の会場になっている美術館にも電話が殺到したという(過去ブログ)。機械で対応されたり、10分経過で切られたりしたら、「専門窓口」ではなく、狙いやすい別のところに矛先が向かうのではないだろうか。もっと抗議電話の録音内容を精査した対策が必要ではないだろうか。

それにしても、慰安婦像を展示した「表現の不自由展」への激しい攻撃に比して、まさに同じ時期にベルリンで行なわれた慰安婦像の展示について反発が盛り上がったという話は聞かない。8月14日にベルリンのブランデンブルク門前に、韓国人らが慰安婦像を設置して集会を開いた(産経新聞2019-8-15しんぶん赤旗2019-8-16)が、電凸当事者たちはこちらはどう思っているのだろう。海外のことだったのでどこに抗議すればいいかわからなかった、あるいはわかっても外国には手を出せなかった、ということなのだろうか。「日本の公金を使った」ことを問題視する声もあるが、抗議電話で実際にその点に触れたものはどのくらいあったのだろうか。「不自由展」の場合は河村たかし・名古屋市長のあおりがあったればこそ、だったのだろうか。
今回の電凸について、「不自由展」についての愛知県検証委も「ソーシャルメディア型のソフトテロ」と形容しているが(朝日新聞2019-9-18)、攻撃者は狙いやすい「ソフトターゲット」に攻撃の矛先を向けるのではないだろうか。きちっと攻撃内容のプロファイリングをして、傾向を見極める必要がある。

※再開の意向が示された直後に政府はあいちトリエンナーレ2019に交付することが決まっていた国の補助金を交付しないと発表した。これについては別項で。

追記:今回のような事例は多数あるのだろうなとは思っていたが、慰安婦の記録映画を上映してきた市民たちはやはり「(慰安婦の)証言は捏造」「反日映画だ」などとする「電凸」の脅迫を受けてきたという。記録映画「沈黙―立ち上がる慰安婦」の上映実行委員会の有志らは、「不自由展」をめぐって黒岩祐治・神奈川県知事が「慰安婦像は事実を歪曲したような形での政治的なメッセージ」「(強制的な連行は)韓国の一方的な主張」などと述べたのに対し、「少女像の展示撤去を求めた卑劣なテロ予告や脅迫の行為者たちを擁護するもの」だとして抗議文を提出したという。(朝日新聞2019-10-3横浜版)

追記2:ベルリンの少女像については、公共の場としてはドイツで初めてだったが、ベルリン市ミッテ区は、「政治的、歴史的に複雑な二国間対立をドイツで扱うのは不適切だ」として設置許可を取り消した(朝日新聞2020-10-10)。ただ、記事にはもともと1年間の許可だったともある。設置承認時には、戦時中の性暴力に反対する趣旨と受け止めていたのだが、「旧日本軍の行為のみを対象とし、日本やベルリンでいら立ちを招いた」ためという。1日に日本の外相がドイツ外相にはたらきかけていた効果もあったのだろうが、設置した団体は「区は日本政府を喜ばせるため、虚偽の説明をしている」と反発しているようだ。

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