リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

「往復方式」だったら,野党の質問時間なんていくらでも削れるのではないか?

2017-11-06 | 政治
国会質疑での野党の質問時間の配分を減らそうとする動きについて,11月3日の記事に補足.
最近知って驚いたのだが,実は国会質疑の質問時間は「往復方式」と言って,質問者が話している時間と閣僚などが答弁する時間の両方が「質問時間」にカウントされる.参議院の予算委員会だけ独自に「片道方式」を取っていて,答弁時間は含めず,質問者が質問をする正味の時間のみがカウントされる.
「往復方式」だったら,政府側が意図的にだらだらと答弁すれば野党の質問時間を浪費させることができるのではないだろうか.数週間前にこの「往復方式」の問題点を指摘する記事を朝日新聞で読んだように思うのだが,みつからなくなったので改めてネット検索してみた.
「国会に身を置く議会人」によるブログ「議会雑感」(2016-03-02)は参議院の「片道方式」を説明しているが,「衆議院での答弁に慣れている閣僚が、参議院の方式を知らずに長々と答弁をしても議員の質疑時間は制約されません……」と書いていることから,(著者の意図ではないかもしれないが)衆議院での答弁に慣れている閣僚は「長々と答弁」するやり方がしみついている,と読める(私には).
別のブログ「霞が関官僚日記」(2004-03-24)は,「往復方式だと政府が冗長な答弁をして時間稼ぎできるじゃないか」というまさに私が抱いた疑問を取り上げてくれている.その答えは「冗長な答弁をすればすぐ野党から抗議が来るし、第一冗長にしゃべると言うことはそれだけ揚げ足を取られる可能性を高めることになるから、そこらへんは政府も簡潔な答弁を心がける。」とのこと.だがこの記事は安倍政権暴走のかなり前のものだ.
野党が憲法53条の規定に基づいて要求した国会召集を無視したことといい,「共謀罪」法案について委員会審議の中間報告からいきなり本会議で採決に持ち込んだ手法といい,今の安倍政権は法令の不備をついて本来の趣旨を逸脱した運用をすることを何とも思っていない.それでも安倍政権に多数を与えた日本の有権者は,もはや「だらだら答弁」くらいでは目覚めないのではないかとの危惧を抱かずにはいられない.

追記:だらだら答弁で実質野党の質問時間を削る懸念を書いたが,あの安倍政権下でも大きな問題になっていないところを見ると,素人考えの杞憂なのかもしれない.夏ごろ,安倍政権が最終的に事実を認める前に事実と異なる説明をしたり確認を拒み続けたりして国会の審議時間が空費されたことが話題になったが(asahi.com),野党の質問時間のことは問題にはならなかったようだ.

関連リンク:
「質問時間、参院は無風 衆院と違う方式 きょうから予算委」(朝日新聞11月29日)


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