リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

108兆円の経済対策、「真水」はたったの18.6兆円?

2020-04-09 | 政治
新型コロナウイルスの影響に対し、政府は108兆円の経済対策を発表した。安倍首相が「世界的に見ても最大級」と強調するように、リーマンショック後の対策の約2倍、GDP比では約2割に上る。だがこの108兆円という数字を額面通り受け取るわけにはいかないようだ(朝日新聞2020-4-8)。
安倍首相はドイツがGDP比で約2割の対策を発表したのを早くから意識しており、それに匹敵する数字に対するこだわりが先にあったようだ。現に108兆円にはすでに発表済みの対策(それどころか新型コロナ発生前の昨年末のものも!)が含まれるほか、返済が必要な融資や、納税や社会保険料支払いの猶予分(約26兆円)も入れているという。実際に新たに国が直接支出する金額は18.6兆円だという。(ただし、公平を期すために付け加えておくと、ドイツの「GDPの2割」が、「発表済みの対策」「納税猶予」などを入れていないことを確認してもらわないと、本当に首相の発表だけが水増しだったのかどうかはわからない。)
この柱になるのが、収入が減った低所得世帯や中小企業に対する現金給付6兆円超だが、与党からも不満の声が出ているという(同4面)。
だが私は援助を増額しろといっているわけではない。むしろ「落ちた売り上げをすべて補償することはできない」(同1面)という安倍首相の言葉はまっとうだと思っており、過去ブログでも際限なく補償を膨らませていくことへの懸念は書いた。
肝心の実効性だが、「対策の中身がないから規模でアピールせざるを得なかったんだろう」(政府関係者)(上掲3面)が本当だとしたら困る。だが野党にしても、「実態の経済の中でどこまで有効に活用するかは、甚だ疑問だ」(立憲民主党)と言うのはたやすいが、仮にも政権を狙うなら、与党がのまざるを得ないようないい対案を示すべきだ。もちろん、人気取りのためのばらまきは論外だ。
対策は必要だが、政治家たるもの、実効性・公平性・(財政の)持続可能性をよく考えなければならない。ただ、どんな対策を決めるにせよ、世論対策ために数字を水ぶくれさせるのはやめて、実態に即した数字で議論するべきだ。

追記:上記では政府による経済対策の水増しを取り上げたが、私は必ずしも対策を拡大するべきだとは思いきれない。困っている人が受け取ったお金も、結局はマネーゲームのうまい人に吸い上げられて、そうした人々が余った金であちこちの市場をゆがめるような行動をするような気がするからだ。そんな私の思いを、野村証券・投資情報部の西沢隆氏がうまく言葉にしてくれていた。氏は、リーマンショックの供給から信用リスクを防ぐために金融政策による資金供給が必要であり、それでも足りなければ財政出動しかないとしつつ、「リーマン・ショックの時を大きく上回るお金が、市場にあふれ出す……過剰流動性はどこに向かうのか……」と述べている(朝日新聞2020-4-10)。



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