けいはんなサロン「メタンハイドレート化学燃料の今後を考える」開催
8月17日(金)14:00~16:30 交流室「天の川」
電力不足が心配される関西では、この7月に大飯3、4号機が何とか運転再開されました。しかし福島原発事故以降、我が国の原子力や電力・エネルギーを今後どうするかについて国民的議論が続けられています。代替エネルギーとして「シェールガス」や「メタンハイドレ-ト」などが救世主として期待されていますが,実態はどうなのか。第158回の「けいはんなサロン」では話題提供者として、もと津山高専教授の吉永洋一氏を迎え、この問題について参加者で語り合うことにしました。吉永氏には将来のエネルギーを考えるうえで重要なカギを握る天然ガスを中心にこれからの化石燃料や、期待される再生可能エネルギーについて幅広くお話し頂きました。
三つの大切な問題(トリレンマ ― 資源・エネルギー・食糧、経済発展、環境 ―)">
化石燃料の代表格である石油の生産量が2006年にピークを迎えた。人類が資源は有限であることを現実問題として気づかされたこと、資源・エネルギー・食糧、経済発展、環境には強い関係があること、化石燃料の中で天然ガスがとくに期待される理由について述べられました。天然ガスは石油や石炭など他の化石燃料に比べるとNOXやSOXなどの排出量が少なく、また発熱量当たりの炭酸ガス(CO2)排出量も少ないのでクリーンエネルギーと言われる。また高温ガスタービンを利用するコンバインド発電(複合発電)に適した燃料なので効率良く発電ができることから、地球温暖化の観点からも効果的であることを説明されました。
シェールガスってなに?
近年、米国では従来型の油田やガス田で採集される天然ガスが減少して、海外からLNG(液化天然ガス)を輸入する必要に迫られていた。シェールガスは頁岩(シェール)にしみこんでいる天然ガスのことで、古くから資源量は確認されていたが従来は採集が困難であり放置された資源であった。ところが数年前から水平坑井と水圧破砕という技術開発の進歩により東南部地区のシェールガス生産が活発になり「シェールガス革命」と呼ばれる状況になった。一方シェールガス採集に際して大量の水を地下に放出するので地下水系の汚染など環境破壊の問題が生じている。資源・エネルギー開発と環境保護ではシェールガスも例外でなくあらたな解決策が検討されていると紹介されました。
シェールガス革命?
米国の「シェールガス革命」のお蔭で、世界のLNG市場では需給関係が緩和されつつあるが、日本ではこれまでの長期契約の関係上、いまのところ輸入価格が下がるという状況になっていない。シェールガスは欧州や中国でも埋蔵量が確認されているが、当面環境問題が解決されるまでは少なくとも欧州では普及しないと予測されている。IEA(International Energy Agency)の調査結果では、将来シェールガスがさらに開発されれば2035年時点で,石油石炭の割合が両者の合計で45%から35%に減少するのにたいして、天然ガスは全エネルギーの22%以上(現在18%)を占めるだろうと予測されている。
メタンハイドレートは燃える氷?
メタンハイドレートは「燃える氷」といわれる。低温かつ高圧の条件下で水分子は立体の網状構造をつくり、内部の隙間に目単分子が入り込んだ氷上の結晶になったものがメタンハイドレートで、地下数100m-1000mの海底やシベリアなどの永久凍土の地下に存在する。日本近海では年間消費量の数十年分以上の資源量が推定されており,現在メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムによって資源調査が行われている。今年の2月にはJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)はメタンハイドレートから天然ガスを取り出す海洋産出試験に着手した。来年の1から3月には産出試験が予定されているという説明に、会場からも資源の少ない我が国の新たな資源として期待の声が上がった。しかし、最大の課題は生産コストであり、現状ではLNG輸入価格の3倍程度かかるとみられている。
我が国のエネルギーをどうする
話しのまとめに入り,国家戦略室から提案されている「3つのシナリオ」の案が確認され、ドイツの例をたたき台に原発ゼロの可能性や、当面の問題と将来の課題の双方から今後のエネルギーのあり方について熱心な議論が交わされた。最初は、日ごろ聞きなれない難しいエネルギーの話しと思われていた方も、みなさんの活発な意見に熱心に耳を傾けられていた。基本的に環境を大切に考える方が多く、ゴミ捨て場(核廃棄物の最終処分場)のない原子力に頼るのは後世につけを回すだけで解決策にならない、最終的には再生可能エネルギーを拡大するしかない、またそのための覚悟も大切などの意見も出された。参加された皆さんも頷かれる場面が多かった。吉永氏はエネルギーに関連する幅広い情報を分かり易く紹介され,今後市民として真剣に考え判断すべき課題についてあらためて考える機会を提供されたと思います。
次回第39回「けいはんなサロン」は久々に外国人女性コメンテイターのイローナ・アレクシウナイテ(京都大学言語学研究室大学院生)を招いて9月21日(金)午後2時からけいはんなラボ棟2階「天の川」於開催致します。多数のご参加をお待ちします。
8月17日(金)14:00~16:30 交流室「天の川」
電力不足が心配される関西では、この7月に大飯3、4号機が何とか運転再開されました。しかし福島原発事故以降、我が国の原子力や電力・エネルギーを今後どうするかについて国民的議論が続けられています。代替エネルギーとして「シェールガス」や「メタンハイドレ-ト」などが救世主として期待されていますが,実態はどうなのか。第158回の「けいはんなサロン」では話題提供者として、もと津山高専教授の吉永洋一氏を迎え、この問題について参加者で語り合うことにしました。吉永氏には将来のエネルギーを考えるうえで重要なカギを握る天然ガスを中心にこれからの化石燃料や、期待される再生可能エネルギーについて幅広くお話し頂きました。
三つの大切な問題(トリレンマ ― 資源・エネルギー・食糧、経済発展、環境 ―)">
化石燃料の代表格である石油の生産量が2006年にピークを迎えた。人類が資源は有限であることを現実問題として気づかされたこと、資源・エネルギー・食糧、経済発展、環境には強い関係があること、化石燃料の中で天然ガスがとくに期待される理由について述べられました。天然ガスは石油や石炭など他の化石燃料に比べるとNOXやSOXなどの排出量が少なく、また発熱量当たりの炭酸ガス(CO2)排出量も少ないのでクリーンエネルギーと言われる。また高温ガスタービンを利用するコンバインド発電(複合発電)に適した燃料なので効率良く発電ができることから、地球温暖化の観点からも効果的であることを説明されました。
シェールガスってなに?
近年、米国では従来型の油田やガス田で採集される天然ガスが減少して、海外からLNG(液化天然ガス)を輸入する必要に迫られていた。シェールガスは頁岩(シェール)にしみこんでいる天然ガスのことで、古くから資源量は確認されていたが従来は採集が困難であり放置された資源であった。ところが数年前から水平坑井と水圧破砕という技術開発の進歩により東南部地区のシェールガス生産が活発になり「シェールガス革命」と呼ばれる状況になった。一方シェールガス採集に際して大量の水を地下に放出するので地下水系の汚染など環境破壊の問題が生じている。資源・エネルギー開発と環境保護ではシェールガスも例外でなくあらたな解決策が検討されていると紹介されました。
シェールガス革命?
米国の「シェールガス革命」のお蔭で、世界のLNG市場では需給関係が緩和されつつあるが、日本ではこれまでの長期契約の関係上、いまのところ輸入価格が下がるという状況になっていない。シェールガスは欧州や中国でも埋蔵量が確認されているが、当面環境問題が解決されるまでは少なくとも欧州では普及しないと予測されている。IEA(International Energy Agency)の調査結果では、将来シェールガスがさらに開発されれば2035年時点で,石油石炭の割合が両者の合計で45%から35%に減少するのにたいして、天然ガスは全エネルギーの22%以上(現在18%)を占めるだろうと予測されている。
メタンハイドレートは燃える氷?
メタンハイドレートは「燃える氷」といわれる。低温かつ高圧の条件下で水分子は立体の網状構造をつくり、内部の隙間に目単分子が入り込んだ氷上の結晶になったものがメタンハイドレートで、地下数100m-1000mの海底やシベリアなどの永久凍土の地下に存在する。日本近海では年間消費量の数十年分以上の資源量が推定されており,現在メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムによって資源調査が行われている。今年の2月にはJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)はメタンハイドレートから天然ガスを取り出す海洋産出試験に着手した。来年の1から3月には産出試験が予定されているという説明に、会場からも資源の少ない我が国の新たな資源として期待の声が上がった。しかし、最大の課題は生産コストであり、現状ではLNG輸入価格の3倍程度かかるとみられている。
我が国のエネルギーをどうする
話しのまとめに入り,国家戦略室から提案されている「3つのシナリオ」の案が確認され、ドイツの例をたたき台に原発ゼロの可能性や、当面の問題と将来の課題の双方から今後のエネルギーのあり方について熱心な議論が交わされた。最初は、日ごろ聞きなれない難しいエネルギーの話しと思われていた方も、みなさんの活発な意見に熱心に耳を傾けられていた。基本的に環境を大切に考える方が多く、ゴミ捨て場(核廃棄物の最終処分場)のない原子力に頼るのは後世につけを回すだけで解決策にならない、最終的には再生可能エネルギーを拡大するしかない、またそのための覚悟も大切などの意見も出された。参加された皆さんも頷かれる場面が多かった。吉永氏はエネルギーに関連する幅広い情報を分かり易く紹介され,今後市民として真剣に考え判断すべき課題についてあらためて考える機会を提供されたと思います。
次回第39回「けいはんなサロン」は久々に外国人女性コメンテイターのイローナ・アレクシウナイテ(京都大学言語学研究室大学院生)を招いて9月21日(金)午後2時からけいはんなラボ棟2階「天の川」於開催致します。多数のご参加をお待ちします。