小梅日和

きのう今日あした

Q&A

2005-01-16 23:41:29 | 本のむし
やーやー、やっと読めましたQ&A。
年末衝動買いシリーズ第2弾もはや年末はとっくに過ぎてますが。
「六番目の小夜子」で有名になった恩田陸のミステリーです。あたしがミステリーを読むようになったのは恩田さんの作品から。恩田さんのは学生がででくるのが多くて、怖い中にも思春期のあやうい感じや、もうとりもどせない時間、瑞々しさが描かれているところがすき少し現実から離れたノスタルジックな感じ。Q&Aはめずらしく若者が主人公じゃない作品です。


これからあなたに幾つかの質問をします。
ここで話したことが外に出ることはありませんーー。

2002年、2月11日午後2時過ぎ、都内近郊の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できずーーー。

ね?怖いでしょ?怖いでしょ!これだけで怖いんだもんなあ。この小説は全編質問と答えで構成されてて、それが題名のQ&Aになってるんだけど、その質問というのはもちろん大型商業施設Mで起きた事件についてのもの。この形式も新鮮。被害者やその遺族、救助にあたった消防士など、いろんな形で事件にかかわった人物からのいろんな証言や会話で物語は進んでいく。でも、恐ろしいのは原因が解明されないこと。現場からは火災の跡や凶器、有害な物質は見つからず、被害者はみんなが逃げたから逃げたと口々にいうだけ。これはただの集団パニックか、政府の陰謀か、それともーー。

読んでるうちになんともいえない恐怖と不安感に襲われる。原因が謎ということの生理的嫌悪感といったら。それでも謎のまま物語進んでいくのです。あと、こんな事件が実際に起こりそうで、なんていうか身近にある恐怖?あたりまえの毎日が、あたりまえの場所である日突然壊れること、それは十分にありえることで、それに対して人はどんなにもろく壊れやすいか、ということを考えました。そういう意味で、9.11のことが影響を与えてるのかなあと思ったり。夜一人で読んでると、もう怖いんだよねー

でー、ラストなんですが。いろんなとこでいろいろ意見がでてて、賛否両論なんですが…。あたしはちょっと違うかなーって、思った。あれ?これで終わるの?!みたいな。でも、どっかで誰かも書いてたけど、あたしはいろんな人の証言から最終的に事件の全体像がみえてくる、みたいな感じを想像してて、というか期待してて。だからなんか肩透かしくらった感じなんだけど。でもこれで、原因わかっちゃったらなあ。むしろあのラストは謎がほんとに謎のまま終わっていく、事件の被害者の感覚を追体験させるためだったのかなーなんて。これで家族とか亡くしてたりしたら本当になんの救いもなく、苦しい。そうすると宗教に行き着くのもわかる気が、します。
うーん。

でもこの感じ、読んでみないとわかりません。