箱根の温泉開発の歴史は相当古い。湯本温泉は一説には奈良時代に発見開設されたという。以後、古い順に、平安時代に姥子温泉、室町時代に宮の下、江戸時代には塔の沢、仙石原(但し大桶谷からの引き湯)と続き、小桶谷、強羅は明治時代と以外に新しい。昭和になって大平台、早雲山、湖尻等開かれている。(一覧表)
箱根に限らず温泉療法の歴史はむかしから全国にある。現在の箱根は関東屈指の観光地だ、そのせいか東北や九州の温泉場に今でも点在する「自炊で長湯治」できるような温泉場は今は存在しないが、日帰り入浴、素泊の宿は随所にある。昨今は豪華な山海のご馳走に囲まれた大名気分の観光旅行よりも、各人のニーズに遇った温泉旅行が選べるようにメニューが用意される時代のようだ。
また、大浴場は温泉旅館のウリのひとつだが、温泉自体は多数が入るため、塩素消毒し、適温を保つため加温し、おおむね源泉でなく加水し、循環装置で回している。入浴剤は、一時 不当表示が問題になったりで、いまは使用されていないようであるが・・・
そんななか、部屋に内風呂として一人用の風呂桶が設置された旅館も出現している。素泊まりも可、食料持ち込みも可、朝食だけも可、ふとんは各自で敷くなどと宿の干渉もフレキシブルである。食事療法の最中なので、持ち込み自由はありがたい、自分は箱根湯本駅でキンメの和風駅弁を買い込んだ。
さらに、温泉成分は源泉かけ流し、加温なし、加水なし、循環装置なし、消毒なし、入浴剤なしと、「なし」ばかりの至れり尽くせり旅館に人気があるようだ。今まで自分は、温泉へ行っても入浴はせいぜい日に1,2回、20分くらいだったのが、今回は内湯のせいか 日に4,5回は入ったろうか。腰痛の湯治とはいえ、このように頻繁に入浴したのははじめてだった。
('10.10.16日記事転載)