更新が遅くて申し訳ない。
さて1日目に烏帽子小屋に留まってしまった「黄昏登山隊」は今日は行程を取り戻さなくてはならない。
距離的には野口五郎まで伸ばす計画であったのだが、小屋が管理するテント場は現在幕営禁止となっている。 (何故かしらんが5年前に営林署に返上したらしい)
そうなると水晶小屋前もテント禁止だし、泊まるなら雲の平まで行くか、三俣山荘まで歩かないことにはテントを張れない。
普通の人は水晶小屋に泊まるところだが、この小屋は30人しか収容できないため常に定員を大幅に超える宿泊客を泊めることになる。
この日は推定150名の文字通り「収容所」であった。あきらめて雲の平に向ったひとも大勢いたようだが、そこも状況は似たようなものだったろう。
遠いなあ これから向う三つ岳を眺めるO
今朝も快晴で明ける。 4時に起床して5時20分出発。丁度明るくなってきた。
しかし稜線上は風が強いため雨具などの防風衣を身に着けて歩く。
手袋をしていても冷たいほどだ。 やはり3000mの秋の稜線は厳しい。
もし雨でも重なっていれば、かなりの体力を奪われるだろう。
野口五郎岳から野口五郎小屋を振り返る。この辺の山稜は白い岩や砂が堆積し、明るい雰囲気だ。
まだまだ槍は遠い。
真砂岳からは稜線を西に折れる。 裏銀座の中心部へ向うが、アップダウンの多い、やせた岩尾根でとてもしごかれる。
左にみえる大きな山が鷲羽岳である。
やっとのことで水晶小屋に到着。 すでに5時間半経過。
この辺で実はもう今日の行動はおなかいっぱいであった。
この小屋は薬師岳方面からと、三俣蓮華方面、雲の平方面、そして私たちの野口五郎岳方面からの登山者が交わる銀座の4丁目みたいな場所である。
水晶岳付近から雲の平を眺める。
昨日は歩いて40分の烏帽子岳に見向きもしなかったOが
「早く行こうよ・・・」
「えっ! オレも?」
そうなのである。
主稜線から少し(かなり)離れた水晶岳の頂上をピストンするというのだ。
ジブンとしてはここで昼寝して待ちたいところだが、腐っても100名山。お遍路さんだと思って付き合うことにする。
水晶岳までの道のりは御覧のとおりなだらかな稜線漫歩。
頂上直下は急峻である。
水晶岳頂上は360度の展望。 歩いてきた烏帽子から野口五郎岳の稜線を見下ろす。 登っといてよかった。
水晶小屋に戻り、大休止。 ちょっと寝るつもりが40分も熟睡してしまった。風はあるもののポカポカと暖かい陽気だ。
Oに起こされなければそのまま起きなかったかもしれない。
最後のワリモ岳~鷲羽岳に向って気合を入れなおす。鷲羽まで登れば、あとは三俣山荘への下りで今日は終わりだ。
Oは3時間だというが、どうみても2時間はかかるまい。
ワリモへむかう登山者の列。
今日はいくつアップダウンを繰り返したことだろう。
身体が悲鳴をあげそうである。
鷲羽岳への最後の登りがおおきく迫る。
やっとワシバ岳に到着。 眼下には西鎌尾根に突き上げる赤茶けた岩稜「硫黄尾根」が見える。
アゴがあがってますよオジサン。
さあ後は下るだけだ。 しかしこの下りがハンパぢゃなかった。
標高差300mくらいを一気に落ちるように下る。疲れた膝には拷問である。
私はゆっくり下るのが苦手なので、Oを置き去りにしてドンドン下る。
ようやく三俣山荘がハイマツの台地に見えてきた。
「ぎょえー! テン場がいっぱいぢゃないか??」
さすがのアニマルも疲労困憊。 やっとの思いでたどり着いてみれば、小屋の前は通勤ラッシュ時の新宿駅を思わせる大混雑であった。
「なにかあったんですか?」
「受付するのに並んでいるみたいですよ。」
「こんなに泊まれるの?」
「定員の3倍以上いるんじゃないの?」
「昨日の双六小屋も400人くらいいたらしいから。」
小屋の前にはザックが置かれている。混雑のため荷物は外に出されるようだ。
30分以上並んでようやくテントの受付とビール1LをGETしたころ、ようやくOが現れた。
ロクな場所は残っていないとあきらめていたが、なかなかどうしてOはそこそこ平坦な場所を見つけてくれた。 この辺の嗅覚はたいしたものだ。
それにしてもこのテン場はなんにも整備していない。 自然のままでよろしいといえば聞こえはいいが、山荘周辺はすごく平坦で快適なのに、なんで離れた傾斜地しかも沢筋に幕営地を指定するのだろうか。
大雨が降ったらながされるのではないだろうか。 非常に疑問を感じる。
今夜こそ小屋でマシなメシを摂ろうと思っていたが、あんな混んだところでは食べた気もしないので、今夜もアルファ米とラーメンですます。
しかし二人とも疲れていたせいか、ラーメンとお茶漬けが丁度良かった。
日が落ちる前に眠りについた。
おっと私はいつものように1時間をかけて、ストレッチと足のマッサージをしてから寝る。
この夜は夕方は冷え込んだが、夜半になって気温が上がったのか、暑くて服を何枚か脱いで寝た。
ワシバの下りと三俣山荘の赤い屋根。
鷲羽・水晶・野口五郎は行くまでが長いですね。
天気が良くてよかったよかった。