※伝聞についての勉強が一段落したので、まとめメモを作ってみた。このメモから私の作成当時の精神状態を推認していただきたい。
☆伝聞・非伝聞の区別
Ⅰ いかなる場合に非伝聞になるか
・伝聞
→「供述(書面)の内容たる事実」が要証事実
・非伝聞
→「供述と内容(~という内容の供述の存在自体)」、「書面の存在と記載内容」が要証事実
Ex)そのような内容でのメールのやりとりが存在したこと(23年)
そのような内容の会話が存在したこと(22年)
→ 供述当時の精神状態(犯意)を立証する場合
Ex)死体遺棄についての甲乙の発言(23年)
∵供述の内容の真実性が問題になる(くさい)が、知覚・記憶という過程を欠くため、反対尋問等によるチェックが不可欠であるといえない。
※故意とは実行行為時の主観的意思をいうが、犯意とはそれ以前の犯行を行う意思を広く含む。答案では「精神状態」か「犯意」と書く
→供述がなされたこと自体が犯罪を構成する場合
Ex)死体遺棄についての甲・乙の発言(共謀の構成事実となる発言と構成した場合)(23年)
→その他もろもろあるが省略
Ⅱ いかなる場合に供述(書面)の存在自体が要証事実となるか
→供述の存在自体を立証することに、供述の内容の真実と独立の証拠価値(固有の証拠価値)がある場合
∵なんでも存在自体を要証事実にすることによる伝聞法則の潜脱防止か
Ⅲ いかなる場合に、供述の存在自体に独立の証拠価値があるといえるか
→供述の存在自体が間接証拠にあたる場合(新司的にはたぶんこれでおk)
Ⅳ いかなる場合に、供述の存在自体が間接証拠として用いることができるか
→供述の存在自体から、犯罪(被告人が構成要件行為の少なくとも一部を行ったこと)を経験則上合理的に推認できる場合(新司的にはたぶんこれでおk)
⇔この推認が「不確かな推認」「弱い程度の推認」であるときには、自然的関連性がなく、供述内容の真実性から独立した証拠価値があるとはいえない。
∵伝聞法則の目的は「不確かな推認」「弱い程度の推認」による事実認定を防止することにある。
☆領収書が非伝聞に当たる場合
× 領収書の存在のみから、記載通りの金銭のやりとりがあったと推認するのは不確かな推認なので許されない(作っただけで交付してないことは充分にありうる)。
むしろ、領収書の記載内容が真実じゃないと金銭の授受は証明できないので、存在自体に内容の真実性から独立した証拠価値がない→伝聞。
○ ①領収書の存在に、②それが交付された事実(相手方の支配領域内での発見でもおk)が証明されていることが加われれば、そのような内容の領収書の存在から、金銭の授受を経験則上合理的に推認できる→“固有の証拠価値”あるので非伝聞。
∵一般的に領収書は金銭の授受と引き換えに交付されるもの→交付されているということは金銭の授受があったでしょうね
☆メモの理論~犯行計画メモを非伝聞として使える古江3類型~ ※古江演習241頁以下
Ⅰ:作成者の作成当時の心理状態(犯罪意思)が要証事実
→作成者の犯意しか立証できないので、作成者以外の共犯者の共謀を立証する関係では、原則として“固有の証拠価値”がないため、非伝聞として使えない。
もっとも、他の証拠によって謀議参加者全員(作成者含む)が内容は不明でも共通の犯罪意思を形成したことが証明されれば、作成者一人の犯罪意思を証明することによって、それと同じ内容の犯罪意思を有する謀議参加者全員について犯罪意思を推認することが可能となる→固有の証拠価値あるので、共犯者との関係でも非伝聞!!
Ex)18年の甲が乙の発言を書きとめた部分
乙が犯行計画を立案して甲へ具体的に指示している=甲と乙が共通の犯罪意思を形成していることが、甲の証言から証明されているので、作成者甲の心理状態を立証することに“独立の証拠価値”がある。
Ⅱ:メモが関与者に回覧され確認に供されたような場合【メモの存在と記載内容が要証事実】
→回覧前に作成された謀議のための手段(道具)である場合=メモを用いて謀議が形成された場合。メモの存在+道具として用いられた事実から、共謀の意思形成過程を経験則上合理的に推認、証明できるため、“固有の証拠価値”がある。
Ex)18年の乙が書いた地図
→回覧前に作成されているわけでないが、逃走経路の確認という謀議の手段として用いられていた。
上記の「回覧前」とは、内容の真実性が問題となる“最終的な謀議結果を記載した書面”にはあたらないことを表すに過ぎないので、作成と同時に回覧された場合も含むと考える。本件では乙の提案を甲が丸呑みしており、メモの内容と最終的な謀議結果が一致しているため、“最終的な謀議結果を記載した書面”にも思えるが、そうじゃない。
※ちなみに、地図は文字ではないが、「表現」手段の一つなので、伝聞法則の適用が問題となる(はず)
※18年の甲の書とめ部分は、乙の目の前で記載されているにすぎず、回覧され謀議のための手段として使われたものとはいえない。むしろ「言われたので書き留めた」とか「あとで変なことを言わないように~」という点からすると、“最終的な謀議結果を記載した書面”といえる。
Ⅲ:実行された犯行と合致する犯罪計画の記載されたメモが被告人の支配領域内で発見された場合【メモの存在と記載内容が要証事実】
→①そのような記載のあるメモの存在と記載自体+②その記載内容が実際の犯行に合致すること及び③そのメモが被告人の支配領域内で発見されたことから、被告人の犯行への関与を経験則上合理的に推認できるため、当該メモの存在の立証に“固有の証拠価値”が認められる。
※①と②があれば、メモの存在から事前謀議の存在を推認できる(ブレーキが壊れているのを知っていたケースと同様)。
しかし、メモの中に被告人の関与が認められる記載がない場合には、これだけでは被告人の謀議への関与を合理的に推認できない。もっとも、これに③被告人の支配領域内で発見という事実が加われば、被告人の関与を合理的に推認できるようになる。
※18年では、筆圧痕の残るレポートの存在+甲の証言から、メモが乙方で作成されたことは証明できるが、③支配領域内で発見されたとはいえない。
もっとも、乙方で作成+甲の証言から、③支配領域内で発見されたものと同視して、類型としてもいいのかも。よう分からん
☆実践での区別の基準
基準Ⅰ 立証趣旨をヒントにする
・立証趣旨が「供述の存在と内容」とあれば、非伝聞にしてほしいというサイン。
・22年の立証趣旨「甲乙間の本件けん銃譲渡に関する甲乙間及び甲丙女間の会話の存在と内容」→現に「甲乙間」と「甲丙女間」の会話は非伝聞だった。
但し、立証趣旨で明記されていなかった、乙の説明部分については伝聞だった。もっとも、乙の説明部分については、伝聞例外に使える事情があったので、Ⅱの判断基準により特定は容易だった。
・23年の資料2の立証趣旨「死体遺棄の報酬に関するメールの交信記録の存在と内容」→現にメール②は非伝聞
一方、立証趣旨が「殺人及び死体遺棄に関する犯罪事実の存在」とされたメール①の方は、伝聞だった。但し、死体遺棄については非伝聞となる部分がある。
※21年のような、立証趣旨がPとBで対立する場合にはこの判断基準は使えない。立証趣旨対立パターンだと、ゲロ難で受験生が総崩れになるので、明確に判例と比較できるケースじゃないと出ないくさい。
万が一出ちゃったら、皆出来ない応用と割り切って、さっさと伝聞→伝聞例外と流して守る。
※18年のような立証趣旨というヒントなしで要証事実を認定させる鬼畜問題は、もう出ない。それこそ総崩れで受験生の実力を図れない。“奴ら”も18年で懲りたはず。
※20年は「存在と内容」というキーフレーズは使われていなかった。但し、立証趣旨は3つに分けることが出来たので、どれかは非伝聞となると推測できる。明確なヒントがない以上外しても仕方が無いと割り切る。
小括:「存在と内容」と明記されている供述については、非伝聞となる。司法試験の出題者はヒントを使ってハメるようなことはしないので、ここは信じてもいい。騙されたときには引っかかる奴が多数出ると思って諦める。
ちなみに、このようなあからさまなヒントがあったにも関わらず、2年連続で外す受験生が多かったことからすれば、今後とも同様なヒントが出される可能性は高い。てか、ヒントないと無理です。
逆に出題趣旨に無い部分(死体遺棄の甲・乙の供述)は応用なので、気にしない。まずは採点実感で「明白」言われるような部分を確実に処理。
基準Ⅱ 伝聞例外の要件に使える事実があるか
・「死亡」は最たる例。死人が出ると伝聞になる(“死人に口なし”の原則)。
・親密な関係や、日記・メールなどを他人に見られることを予定していない等、絶対的特信情況に使える事情が出てるところも。
・てか、伝聞例外のあてはめは、皆出来る基礎の部分なので、ここの配点をGETするためにも必ず伝聞にする。但し、2重で点数が入ることはないくさいので、あてはめが被る場合には、どちらかが非伝聞になる可能性がある。例えば、23年だとメール②の方を伝聞にしても、メール①の伝聞例外のあてはめと被ってしまう。
基準Ⅲ フィーリング
・「これは公判廷でチェックせなあかんやろ!!」「内容が本当かどうかチェックせなあかんやろ!!」→伝聞
・「実際やってなきゃ、こんなこと言わんやろなぁ…」→発言自体から推認できるので非伝聞
但し、「甲を殺しました」っていう発言から、「実際に甲を殺してないとこんなこと言わない」と考えるのは、“不確かな推認”なのでダメ。冗談・嘘・誰かに言わされてる可能性もある=実際にやってなくても言う可能性がある。
・22年とか23年は、実際にけん銃取引の打ち合わせや死体を埋めていないのに、誰も見てない所で2人きりであんな発言・メールをする理由が無い。コントやないねんから。
※さじ加減になっちゃうんで、あてには出来ない。ただ、問題文を読んだ時の最初の直感は、一番素直な判断ではあるので、大切にする。
☆本試験での目標
Ⅰ 伝聞の構造を全て示す。
・もちろん、自分が把握できた範囲のみでおk
・その際は、捜査報告書全体の伝聞過程や、「存在と内容」「死亡」などの明確なヒントがある部分の伝聞過程は必ず答案に反映させる。
Ⅱ 伝聞例外を確実に処理
・あてはめで使える事実は全て伝聞例外の要件にぶちこむ。できれば評価も。ただし拘り過ぎない。
・3号書面の“不可欠性”は、他の証拠の存否を示す。“絶対的特信情況”は、①外部的事情の存在と、②供述内容と客観的事実の一致の2つを指摘。
・規範・定義を示して三段論法(絶対的特信情況とかは論パ的な有名な論証があるので落とさない)
・基本的な論証、伝聞法則の論証や再伝聞の論証も点があるので、あっさりで良いが確実に拾う。
・同意(326Ⅰ)は忘れずに
Ⅲ 伝聞・非伝聞の区別で迷わない
・区別の理由(固有の証拠価値があるか否か)は応用なので深入りしない。そもそも区別自体できない受験生が多数なので、区別の理由で差はつかない。てか、区別理由は長く書きすぎてしまい、かつ伝わりにくいことが多いので、ペイしない可能性が高い。伝聞の勉強をした人ほどハマリやすい。上記Ⅰ・Ⅱと捜査で点をとる(私の戦場はここじゃない)。
・①上記ⅠとⅡを書ききれる目処があり、かつ②自信がある場合にはガッツリ書いていいが、そのときは“応用”と割り切る。まぁ、私の筆速と本試験の物量じゃ、①の要件を充たすことはまずない。
以上、この三つを死守すれば死にはしない。てか、Ⅰで示した伝聞過程が出題の趣旨にのっていればハネる。
採点実感を見る限り、要証事実の選択をミスっても、採点実感で晒されるような明らかな誤りをしない限り、“不良”にならない。「明白」といいつつ、部分点もあり?
伝聞・非伝聞の区別で悩んで、時間切れでⅠとⅡが出来なくなるのが一番まずい。迷ったら伝聞に流す。
☆伝聞・非伝聞の区別
Ⅰ いかなる場合に非伝聞になるか
・伝聞
→「供述(書面)の内容たる事実」が要証事実
・非伝聞
→「供述と内容(~という内容の供述の存在自体)」、「書面の存在と記載内容」が要証事実
Ex)そのような内容でのメールのやりとりが存在したこと(23年)
そのような内容の会話が存在したこと(22年)
→ 供述当時の精神状態(犯意)を立証する場合
Ex)死体遺棄についての甲乙の発言(23年)
∵供述の内容の真実性が問題になる(くさい)が、知覚・記憶という過程を欠くため、反対尋問等によるチェックが不可欠であるといえない。
※故意とは実行行為時の主観的意思をいうが、犯意とはそれ以前の犯行を行う意思を広く含む。答案では「精神状態」か「犯意」と書く
→供述がなされたこと自体が犯罪を構成する場合
Ex)死体遺棄についての甲・乙の発言(共謀の構成事実となる発言と構成した場合)(23年)
→その他もろもろあるが省略
Ⅱ いかなる場合に供述(書面)の存在自体が要証事実となるか
→供述の存在自体を立証することに、供述の内容の真実と独立の証拠価値(固有の証拠価値)がある場合
∵なんでも存在自体を要証事実にすることによる伝聞法則の潜脱防止か
Ⅲ いかなる場合に、供述の存在自体に独立の証拠価値があるといえるか
→供述の存在自体が間接証拠にあたる場合(新司的にはたぶんこれでおk)
Ⅳ いかなる場合に、供述の存在自体が間接証拠として用いることができるか
→供述の存在自体から、犯罪(被告人が構成要件行為の少なくとも一部を行ったこと)を経験則上合理的に推認できる場合(新司的にはたぶんこれでおk)
⇔この推認が「不確かな推認」「弱い程度の推認」であるときには、自然的関連性がなく、供述内容の真実性から独立した証拠価値があるとはいえない。
∵伝聞法則の目的は「不確かな推認」「弱い程度の推認」による事実認定を防止することにある。
☆領収書が非伝聞に当たる場合
× 領収書の存在のみから、記載通りの金銭のやりとりがあったと推認するのは不確かな推認なので許されない(作っただけで交付してないことは充分にありうる)。
むしろ、領収書の記載内容が真実じゃないと金銭の授受は証明できないので、存在自体に内容の真実性から独立した証拠価値がない→伝聞。
○ ①領収書の存在に、②それが交付された事実(相手方の支配領域内での発見でもおk)が証明されていることが加われれば、そのような内容の領収書の存在から、金銭の授受を経験則上合理的に推認できる→“固有の証拠価値”あるので非伝聞。
∵一般的に領収書は金銭の授受と引き換えに交付されるもの→交付されているということは金銭の授受があったでしょうね
☆メモの理論~犯行計画メモを非伝聞として使える古江3類型~ ※古江演習241頁以下
Ⅰ:作成者の作成当時の心理状態(犯罪意思)が要証事実
→作成者の犯意しか立証できないので、作成者以外の共犯者の共謀を立証する関係では、原則として“固有の証拠価値”がないため、非伝聞として使えない。
もっとも、他の証拠によって謀議参加者全員(作成者含む)が内容は不明でも共通の犯罪意思を形成したことが証明されれば、作成者一人の犯罪意思を証明することによって、それと同じ内容の犯罪意思を有する謀議参加者全員について犯罪意思を推認することが可能となる→固有の証拠価値あるので、共犯者との関係でも非伝聞!!
Ex)18年の甲が乙の発言を書きとめた部分
乙が犯行計画を立案して甲へ具体的に指示している=甲と乙が共通の犯罪意思を形成していることが、甲の証言から証明されているので、作成者甲の心理状態を立証することに“独立の証拠価値”がある。
Ⅱ:メモが関与者に回覧され確認に供されたような場合【メモの存在と記載内容が要証事実】
→回覧前に作成された謀議のための手段(道具)である場合=メモを用いて謀議が形成された場合。メモの存在+道具として用いられた事実から、共謀の意思形成過程を経験則上合理的に推認、証明できるため、“固有の証拠価値”がある。
Ex)18年の乙が書いた地図
→回覧前に作成されているわけでないが、逃走経路の確認という謀議の手段として用いられていた。
上記の「回覧前」とは、内容の真実性が問題となる“最終的な謀議結果を記載した書面”にはあたらないことを表すに過ぎないので、作成と同時に回覧された場合も含むと考える。本件では乙の提案を甲が丸呑みしており、メモの内容と最終的な謀議結果が一致しているため、“最終的な謀議結果を記載した書面”にも思えるが、そうじゃない。
※ちなみに、地図は文字ではないが、「表現」手段の一つなので、伝聞法則の適用が問題となる(はず)
※18年の甲の書とめ部分は、乙の目の前で記載されているにすぎず、回覧され謀議のための手段として使われたものとはいえない。むしろ「言われたので書き留めた」とか「あとで変なことを言わないように~」という点からすると、“最終的な謀議結果を記載した書面”といえる。
Ⅲ:実行された犯行と合致する犯罪計画の記載されたメモが被告人の支配領域内で発見された場合【メモの存在と記載内容が要証事実】
→①そのような記載のあるメモの存在と記載自体+②その記載内容が実際の犯行に合致すること及び③そのメモが被告人の支配領域内で発見されたことから、被告人の犯行への関与を経験則上合理的に推認できるため、当該メモの存在の立証に“固有の証拠価値”が認められる。
※①と②があれば、メモの存在から事前謀議の存在を推認できる(ブレーキが壊れているのを知っていたケースと同様)。
しかし、メモの中に被告人の関与が認められる記載がない場合には、これだけでは被告人の謀議への関与を合理的に推認できない。もっとも、これに③被告人の支配領域内で発見という事実が加われば、被告人の関与を合理的に推認できるようになる。
※18年では、筆圧痕の残るレポートの存在+甲の証言から、メモが乙方で作成されたことは証明できるが、③支配領域内で発見されたとはいえない。
もっとも、乙方で作成+甲の証言から、③支配領域内で発見されたものと同視して、類型としてもいいのかも。よう分からん
☆実践での区別の基準
基準Ⅰ 立証趣旨をヒントにする
・立証趣旨が「供述の存在と内容」とあれば、非伝聞にしてほしいというサイン。
・22年の立証趣旨「甲乙間の本件けん銃譲渡に関する甲乙間及び甲丙女間の会話の存在と内容」→現に「甲乙間」と「甲丙女間」の会話は非伝聞だった。
但し、立証趣旨で明記されていなかった、乙の説明部分については伝聞だった。もっとも、乙の説明部分については、伝聞例外に使える事情があったので、Ⅱの判断基準により特定は容易だった。
・23年の資料2の立証趣旨「死体遺棄の報酬に関するメールの交信記録の存在と内容」→現にメール②は非伝聞
一方、立証趣旨が「殺人及び死体遺棄に関する犯罪事実の存在」とされたメール①の方は、伝聞だった。但し、死体遺棄については非伝聞となる部分がある。
※21年のような、立証趣旨がPとBで対立する場合にはこの判断基準は使えない。立証趣旨対立パターンだと、ゲロ難で受験生が総崩れになるので、明確に判例と比較できるケースじゃないと出ないくさい。
万が一出ちゃったら、皆出来ない応用と割り切って、さっさと伝聞→伝聞例外と流して守る。
※18年のような立証趣旨というヒントなしで要証事実を認定させる鬼畜問題は、もう出ない。それこそ総崩れで受験生の実力を図れない。“奴ら”も18年で懲りたはず。
※20年は「存在と内容」というキーフレーズは使われていなかった。但し、立証趣旨は3つに分けることが出来たので、どれかは非伝聞となると推測できる。明確なヒントがない以上外しても仕方が無いと割り切る。
小括:「存在と内容」と明記されている供述については、非伝聞となる。司法試験の出題者はヒントを使ってハメるようなことはしないので、ここは信じてもいい。騙されたときには引っかかる奴が多数出ると思って諦める。
ちなみに、このようなあからさまなヒントがあったにも関わらず、2年連続で外す受験生が多かったことからすれば、今後とも同様なヒントが出される可能性は高い。てか、ヒントないと無理です。
逆に出題趣旨に無い部分(死体遺棄の甲・乙の供述)は応用なので、気にしない。まずは採点実感で「明白」言われるような部分を確実に処理。
基準Ⅱ 伝聞例外の要件に使える事実があるか
・「死亡」は最たる例。死人が出ると伝聞になる(“死人に口なし”の原則)。
・親密な関係や、日記・メールなどを他人に見られることを予定していない等、絶対的特信情況に使える事情が出てるところも。
・てか、伝聞例外のあてはめは、皆出来る基礎の部分なので、ここの配点をGETするためにも必ず伝聞にする。但し、2重で点数が入ることはないくさいので、あてはめが被る場合には、どちらかが非伝聞になる可能性がある。例えば、23年だとメール②の方を伝聞にしても、メール①の伝聞例外のあてはめと被ってしまう。
基準Ⅲ フィーリング
・「これは公判廷でチェックせなあかんやろ!!」「内容が本当かどうかチェックせなあかんやろ!!」→伝聞
・「実際やってなきゃ、こんなこと言わんやろなぁ…」→発言自体から推認できるので非伝聞
但し、「甲を殺しました」っていう発言から、「実際に甲を殺してないとこんなこと言わない」と考えるのは、“不確かな推認”なのでダメ。冗談・嘘・誰かに言わされてる可能性もある=実際にやってなくても言う可能性がある。
・22年とか23年は、実際にけん銃取引の打ち合わせや死体を埋めていないのに、誰も見てない所で2人きりであんな発言・メールをする理由が無い。コントやないねんから。
※さじ加減になっちゃうんで、あてには出来ない。ただ、問題文を読んだ時の最初の直感は、一番素直な判断ではあるので、大切にする。
☆本試験での目標
Ⅰ 伝聞の構造を全て示す。
・もちろん、自分が把握できた範囲のみでおk
・その際は、捜査報告書全体の伝聞過程や、「存在と内容」「死亡」などの明確なヒントがある部分の伝聞過程は必ず答案に反映させる。
Ⅱ 伝聞例外を確実に処理
・あてはめで使える事実は全て伝聞例外の要件にぶちこむ。できれば評価も。ただし拘り過ぎない。
・3号書面の“不可欠性”は、他の証拠の存否を示す。“絶対的特信情況”は、①外部的事情の存在と、②供述内容と客観的事実の一致の2つを指摘。
・規範・定義を示して三段論法(絶対的特信情況とかは論パ的な有名な論証があるので落とさない)
・基本的な論証、伝聞法則の論証や再伝聞の論証も点があるので、あっさりで良いが確実に拾う。
・同意(326Ⅰ)は忘れずに
Ⅲ 伝聞・非伝聞の区別で迷わない
・区別の理由(固有の証拠価値があるか否か)は応用なので深入りしない。そもそも区別自体できない受験生が多数なので、区別の理由で差はつかない。てか、区別理由は長く書きすぎてしまい、かつ伝わりにくいことが多いので、ペイしない可能性が高い。伝聞の勉強をした人ほどハマリやすい。上記Ⅰ・Ⅱと捜査で点をとる(私の戦場はここじゃない)。
・①上記ⅠとⅡを書ききれる目処があり、かつ②自信がある場合にはガッツリ書いていいが、そのときは“応用”と割り切る。まぁ、私の筆速と本試験の物量じゃ、①の要件を充たすことはまずない。
以上、この三つを死守すれば死にはしない。てか、Ⅰで示した伝聞過程が出題の趣旨にのっていればハネる。
採点実感を見る限り、要証事実の選択をミスっても、採点実感で晒されるような明らかな誤りをしない限り、“不良”にならない。「明白」といいつつ、部分点もあり?
伝聞・非伝聞の区別で悩んで、時間切れでⅠとⅡが出来なくなるのが一番まずい。迷ったら伝聞に流す。
以上