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ロシア留学中・脱力進行中

モスクワ留学滞在記、スポーツ(特にテニス)のこと。他に趣味(漫画や音楽)等いろいろ・・・

舞踏への招待 Kap.Ⅱ

2006-01-14 09:41:30 | 音楽・コンサート・バレエ・オペラ
12日(木)、クレムリン宮殿。
留学同期計6人でバレエを見に出かける。
本日の演目は「眠れる森の美女」。
アホートヌイ・リャトのマクドナルドで軽い夕食を済ませ
(店内は満員なので外で食べた。寒すぎ)
いざ着いてみるとまだ開演まで40分ほど時間があった。
こんな余裕を持って着くとは珍しい。

この日を選んだのは訳がある。
12月の時点でデジレ王子役がデニス・マトヴィエンコだと紹介されていた為、
マットファンの俺は金曜日ではなくこの木曜日を選んだのだ。
しかし蓋を開けてみると主演はアレクサンドル・ボルチコフ。
話が違うじゃねぇかぁぁぁぁ!
演目が始まる30分前に落胆してしまった。

実はボリショイ・バレエの演目で「眠り」(←おぉ!バレエファン的呼び方)は
以前に2度観ることがある。
1度目は'02年春の旅行の際の新演出プレミア公演。
2度目は同年秋の来日公演。
主演は2度ともアンドレイ・ウヴァーロフ&ナジェジダ・グラチョーバ。
特に前者を見た際には、初めて観るボリショイ劇場でのバレエと、
ウヴァーロフのあまりの跳躍に一気にファンになったものだ。
以来ウヴァーロフファンで通している。(←マトヴィエンコはどうした!?)

今回のは幸いにも演出が新しくなっており(3年も経っていれば当然か)
衣装も華やか、舞台装置もこっており、一層このバレエの華麗さが際立っていた。
ただ惜しむらくは群舞に精彩を欠いたこと。
特に4人の妖精やその他4人組で踊る場面で、バラバラなのが目に付いた。
オーロラ姫のアンナ・アントーニチェバも疲れているのか、
アティテュードで回転する際に足が揺らぐ。
ちょっとブラボーとは言えない内容だった。
でもラストの青い鳥はとてもよい跳躍を見せていた。
同行のバレエ専門家T氏の意見を聞くと、音楽その他にとても不満そうだった。
しかしシンデレラ役は素晴らしかったらしい。
俺はそこまで気づかなかった。さすがだ。

まぁそれよりも何よりも俺が不満だったのは、
エジプトで眼鏡を失くして踊りがとても見にくかったことだ!
無茶苦茶目が疲れたぞ、この野郎!
という訳で週末に眼鏡を作りに行こうと思ってます。
まさかモスクワで眼鏡屋にいく羽目になるとは。
ロシア人の先生に聞いたところによると、視力の単位も違うし、
ちゃんと視力は測ってもらえるのだろうか?
来週17日(火)のオペラ「エフゲニー・オネーギン」迄には
間に合わせようと思っております。

革命

2005-12-09 16:13:50 | 音楽・コンサート・バレエ・オペラ
8日木曜、遂にこの日が来た。
ショスタコーヴィチの中でも最も好きな交響曲、
第5番を生で聴ける日がやってきた。
場所は地下鉄パヴェレツカヤ駅から徒歩10分弱、
モスクワ川沿いにある新しいホール「ドーム・ムーズィキ」
その名も「音楽の家」だ。

午後7時会場。建物がでかい。外から見るとガラス張りでとても近代的。
中もとても綺麗で、コンセルバトーリヤの歴史を感じさせる建物とは一味違う。
どちらが良いとかはないが、たまにはこういう所も良い。
というか良い箱で良い音楽を聴かせてくれればそれで良い。

プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番、ソリスト=アルカディイ・バローダシ
ショスタコーヴィチの交響曲第5番
指揮はウラディーミル・スピバコフ。ロシアナショナルフィルハーモニーオーケストラの演奏。

残念ながらプロコフィエフのピアノ協奏曲を知らない。
というか正直プロコフィエフの交響曲も他の曲もほとんど知らない。
知っているのはバレエ「ロミオとジュリエット」とアレクサンドル・ネフスキー位だ。
何ということだ!とお叱りを受けるかもしれないが、聴きたい気持ちは山ほどあったのだ。
ただ安い全集版が存在せずに、ナクソスの交響曲全集もブックレット版で、
しかも順番がバラバラで敬遠してしまっただけのこと。
ワーナーの没後50年全集はとても欲しかったが、その金を稼ぐためにと
ギャンブルに投資し何倍ものお金を失った。アホだ。
そんなこんなで予備知識全くなしの状況で2番を聴いたが、
ソリストの熱演もありものすごく、ものすごーく良かった。
ラフマニノフとは全く違う、現代的な激しい曲風で、展開がものすごい。
一度聴いたくらいでは説明できかねる。これはCD買うしかない。
そして初めて聴くタコ5(ショスタコ交響曲第5番をクラシッカーはこう呼ぶらしい)は、
やはりすごかった。CDの音とは迫力が違った。
何よりショスタコの音楽に特徴的な金管の響きが直接伝わってくる。
打楽器の衝撃もビシバシ体の芯を震わす。
特に第1楽章の中盤部、行進曲風に展開する場面は死ぬほど良かった。
体が勝手にリズム取ってる。隣のおばさんも同じで笑えた。
第4楽章は言わずもがな。何より、冒頭の抑制の効いたスピードと
激流の様に速く流れ落ちる展開部で一気に引き込まれる。
第3楽章で貯めたパワーをこれでもかと解き放っている様だ。
素晴らしい演奏だった。ブラボーの声があちこちから挙げられていた。

ところでこんな素晴らしい演奏だったのに幸か不幸か観客がとても少なかった。
結果すべて自由席になり、一番安い80ルーブルの席を買った俺は、
オーケストラの真正面、一番いい席で観聴きする事ができた。
2階~3階席は完全な空席。物好きな人は何人か上に残っていたが。
全体で半分ちょっとしか埋まっていなかったのでは?というくらい。
そしてこの少ない観客にもかかわらず、熱演してくれた楽団、ソリストに感謝。
観客の感動の拍手も鳴り止まず、ロシアではじめてのアンコールを見た。
恐ろしく安く、良いコンサートが聴けてよかった。また次も期待。

次回コンサート予定はコンセルバトーリヤ。
21日にラフマニノフのピアノ協奏曲第3番!さらに26日に同第2番!
年末に連続して素晴らしい曲が聴ける。
これはもう旅行に行ってる場合じゃない!?

鎮魂曲(レクイエム)への招待

2005-11-16 06:46:26 | 音楽・コンサート・バレエ・オペラ
火曜日、夜7時にコンセルバトーリヤへ。
かなりの人混み。さすが人気演目だけある。
チケットも最後列の席で250ルーブルと、
平均より少し高めの様子。

演目は「オレグ・カガンへ捧ぐ」
ビバルディのバイオリンとチェロの為の協奏曲を2つと、
モーツァルトのレクイエム。←これです。

レクイエムは同じコンセルバトーリヤで、'03年3月に一度聴いたことがある。
その時はあまりの気持ちよさに眠りかけてそのまま死にそうになったが、
はたして今日もそうだった。
冒頭のものすごい合唱を聴いた後は、そのまま深い深い陶酔の世界へ誘われる。
気持ち良くなりフッと意識を失いそうになると、片足を棺おけに突っ込んでいる、
まさしくそんな感じだ。素晴らしい和声に、魂を黄泉の国まで持っていかれそうになる。
冗談ではない、多少の誇張はあるがこれはマジだ。
嘘だと言うなら生で聴いてみると良い。CDでも寝ながら聴くとヤバイ。
今でもあの3曲目「怒りの日」の旋律が頭を駆け巡っている。
Dies irae, dies illa で始まる、あの最も激しい部分だ。ヤバイ。

帰りは夜の赤の広場に寄って素晴らしい夜景をチラ見してきた。
もう少しゆっくりしたかったが、恐ろしく寒くなってきたので急いで帰った。

終わりなき協奏曲

2005-11-13 16:14:36 | 音楽・コンサート・バレエ・オペラ
土曜日。夜7時、トヴェルスカヤ通りマヤコフスカヤ広場。
今日はここチャイコフスキー記念コンサートホールに音楽を聴きに来た。
'02年3月にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴きに来て以来、
約2年半ぶりの来場。
その時は前から3列目という破格の席だったため、実はホール内の様子が分からない。
初めて後ろの方(場所は1-йアンフィテアトルという250ルーブルの席)から眺めたら、
改めてコンセルバトーリヤにも劣らぬ素晴らしいホールだということを実感した。

この日の演目は「若き天才達」
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番、ソリスト=ロジオン・ペトロフ
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、ソリスト=エフゲニー・ミハイロフ
指揮アレクサンドル・スルツキー、ロシア国立アカデミー交響楽団の演奏。

はっきり言って、モーツァルトのこの曲には全く関心が無かった。
やはりこのレパートリーなら皆の注目はラフマニノフでしょう。
実際、演奏は素晴らしかった。3番を生で聴くのは3回目だが、
今回の演奏は中でも際立って素晴らしかったように思う。
第3楽章の冒頭部分、第2楽章のラストで盛り上がりそのままカデンツァへ。
恐ろしいまでの音の洪水に溺れそう。バックの演奏も金管が力強く良い。
当然弦楽隊も主旋律部分で情熱的に弾いて盛り上げてくれる。
最後の盛り上がり部分まで一度も気の抜けることなく聴かせてくれた。
まさしく突き抜けた。
この日は同じ寮の留学生仲間が数多く行っており(出所は全部俺です)、
その中の1人M嬢は、感動に打ち震えてソリスト・ミハイロフのファンになっていた。
5年前、ペテルブルクで始めてこの曲を聴いた俺と同じ現象だ。
予備知識が無くても(むしろ無い方が)、この協奏曲は衝撃を与えてくれる。
この日は本当に行って良かった。250ルーブルが1,000ルーブルでも安いくらいだ。
こんなことがあるからコンサート通いはやめられない。

舞踏への招待

2005-10-21 07:40:01 | 音楽・コンサート・バレエ・オペラ
本日20日。ボリショイ・バレエを見に行く日。
旅行した時はモスクワ、ペテルブルクともにほぼ毎日劇場かコンサートに行っていただけに、
1ヵ月半経って初めて、というのはかなり遅いペース。
行きたかったんだが見たい!という演目が無かったり。
いつでも行けるという安心感もあったり。

演目はセルバンテスの物語をもとにミンスクが作曲したバレエ、『ドン・キホーテ』。
これを選んだ理由は2つ。
今までこの超絶技巧のオン・パレード作品を見たことが無かったことと、
主演のバジルをデニス・マトヴィエンコが踊るからだ!
あと、良いか悪いか会場はボリショイ劇場ではなく、クレムリン大会宮殿。
夜にクレムリンに入れる数少ないチャンス。
ちなみにボリショイは本館が08年までの改装中で、
それまで横に出来たノーヴァヤ・スツェーナ(新たな舞台)で上演しております。
これにはまだ入ったことが無い。

さて、注目の内容は
第1幕:さすがのマトヴィエンコ、登場の際に最も拍手が多かった。1幕ラストの大きなリフトの見せ場ですこしグラついたのは残念。
第2幕:第1場、居酒屋の場面では赤服のダンサーがとてもしなやかな体を披露してくれ、新体操を見ているような素晴らしさだった。まるでアリーナ・カバエバの様。バジルの自刃の演技も面白い。第2場の風車の場面はとても面白かった。まずジプシーの女の人の踊りがエキゾチックですごい。さらに風車に飛ばされるドン・キホーテの演出にはビックリだった。
第3幕:これを見るためにチケットを買ったようなもの。バジルとキトリのグラン・パ・ド・ドゥはやはり素晴らしかった。何と言ってもマトヴィエンコ。今日は少し跳躍の高さが控えめで残念だったが、その分華麗なスピンは思う存分堪能(スピンでなくピルエットだ!と怒られそうだが)。ア・ラ・スゴンドは今まで見た人の中で最も美しい。完全にキトリを喰ってましたな。

初めて見るのでどこがどうとかはあまり分からないが、ていうかそんな専門家ではないので詳しくもないが、300ルーブルでとても楽しめた。安い買い物だった。
今日で芸術熱に火がついてしまったので、土日もコンサートに行こうと思う。
ネットで調べたら、土曜日にチャイコフスキー「交響曲第6番“悲愴”」「1812年」他、
日曜にドヴォルザーク「チェロ協奏曲」他が予定されている!
場所は両方ともコンセルバトーリヤ!(モスクワ音楽院、4年に1回の音楽コンクールの場)
これは行くしかないね。
来年はショスタコーヴィチ生誕100周年でもあるし、楽しみが広がるぞな。