茜ちゃんのつれづれ草
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スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間10日夜、ことしのノーベル化学賞の受賞者を発表しました。選ばれたのは、アメリカのデューク大学のロバート・レフコビッツ教授とスタンフォード大学のブライアン・コビルカ教授の2人です。
2人は外部からの刺激を細胞内部に伝える役割を担う「Gタンパク質」と呼ばれるタンパク質の受容体の働きを突きとめることに成功しました
ロバート・レフコビッツ教授 ブライアン・コビルカ教授
受容体(receptor)=生物の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと。 レセプターまたはリセプターともいう。
Gたんぱく質共役型受容体=細胞膜に存在するたんぱく質。脳信号を受けて生成されたドーパミン、ヒスタミン、アドレナリンなど生体アミンの存在を細胞内部に知らせホルモン生成などの作用をさせる
コカインや覚醒剤など麻薬を投与すると,脳細胞が服用者の気持ちを良くするドーパミンホルモンを分泌させる。そのため麻薬中毒者は継続してより多くの麻薬を求めることにななります。
Gたんぱく質共役型受容体を発見するまでは麻薬がどのように細胞にドーパミンのような生体ホルモンを分泌させるのかわかりませんでした。すなわちドーパミンなど小さなホルモン信号が細胞の中にどのように伝えられるかを明らかにすることができなかったのです。
朝日新聞 より掲載
その信号を受け細胞内部に伝達する役割をするのが、Gたんぱく質共役型受容体ということを明らかにし、コビルカ教授はこのたんぱく質がどのように作用するかを見つけました。麻薬成分が細胞膜につくと、Gたんぱく質共役型受容体がこれを受け、細胞内部に伝達するという事実を説明できるようになった。
Gたんぱく質共役型受容体は800個程度で、これらは人間が五感を感じさせる過程の大部分に関与する。例えば興奮すれば心臓の拍動が速くなり、暗いトンネルに入れば瞳孔が大きくなり、素早く事物を識別できるようになるのはこの受容体がする役割だ。また、体をかゆくするヒスタミンが分泌されるようにするのもこの受容体が作用した結果です。
第一三共製薬 より掲載
上の図はアレルギー反応にヒスタミンが関わっている事を表しています。アレルギー反応は所謂、免疫の抗原抗体反応というもので、皮膚などの表面に花粉など(アレルゲン)が付きますと、花粉の表面のたんぱく質が肥満細胞(マスト細胞)の抗体(IgE抗体)が反応し、細胞の中の顆粒が細胞の中から、皮膚内に押し出されます。
この押し出された化学物質のなかに、ヒスタミンという物質があります。 このヒスタミンが
1-神経を刺激して痒みを起こす。
2-粘膜液を刺激して鼻水を分泌させる。
3-毛細血管を拡げさせ、血管から漏れ出た水分で粘膜浮腫を起こす。
アレルギー反応は皆さんが数多く体験していますので理解が速いと思います。ホルモンを花粉などの抗原と置き換えると、理解が速くなりますね。
<バクテリオ・ファージの増殖>-002
先回まではウイルスの正体に迫ってみました。生命体でないような、しかし自己複製能力もって、恰も生命体のような面も持っております。
先回もご紹介しましたが、何ともETみたいな、ロボットみたいな奇妙な形のウイルス・T2ファージです。生命体というより人工物のような姿をしています。この頭部の中にDNAが仕込まれています。ハーシイとチェイスの実験でそれが確かめられました。
1-大腸菌にファージが取り付くと、DNAが大腸菌内に注入されます。
上の写真は丁度取り付いた状態です。まるでETそっくり。ある説によりますと、ウイルスは宇宙人の作り出したもので、地球に運び込んだとされております。現在の再生医学でも、皮膚細胞から生殖細胞を作り出す事ができるようになったですから、ありえないことではありません。
2-大腸菌のDNAをファージの出す酵素で切断し、このDNAを使って結果的に自分と同じファージDNAを複製する。
3-ファージDNAから転写、翻訳されてファージのたんぱく質(甲殻)が合成される。
4-新しいファージが組み立てられ、ファージの持つ酵素によって細菌が溶かされる。
5-ファージが外に放出される。そして、同じようなサイクルが繰り返される。
以上がT2ファージの感染サイクルです。ただ、厳密に言いますと、感染サイクルには2通りの方法が存在します。
A・・溶菌サイクル B・・溶原サイクル
上で説明した感染サイクルはAの<溶菌サイクル>ですが、Bの<溶原サイクル>になりますと、感染した細菌は直ぐには溶けないが、代わりに細菌のゲノム内にウイルスのDNAを保持する。そして、溶菌への引き金が引かれる条件になるまで、その状態を何世代も経過する。
では、一体この現象は何を意味しているのでしょうか。結論から言いますとDNAは遺伝子の本体であるという証明になるということです。
次回はハーシーとチェイスの実験について詳しくお話ししましょう。
* 今回使用した参考書は<アメリカ版・大学生物学の教科書>です。
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