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(つづき)
河童橋に戻り、五千尺ロッジの「カフェテリア トワ・サンク」で注文していたアップルパイを取りに行き、その後対岸の五千尺ホテルでケーキセットを楽しみました。たいして歩いていないのに贅沢ばかりしています。アップルパイのことは、2か月前に穂高岳へ登った時、行きのバスで教えてもらったものです。信州産りんごを6個も使ったというこのアップルパイは絶品です!今日はホールごと買って帰れることを行く前から楽しみにしていました。
もう一度岳沢湿原の近くまで歩いてみました。
夕方の穂高岳は、陽の当たる時と雲の陰になった時でまったく違う表情を見せました。六百山の岩峰も、湿原の立ち枯れた木々も同じでした。
「~ 松本というよりもむしろ上高地の入口に近い新村で生まれ育った私にとって、穂高岳はもっとも身近な高い山だった。 ~」
(手塚宗求『諸国名峰恋慕 三十九座の愛しき山々』(山と渓谷社))
今日は一日のほとんどを、穂高岳を見上げながら過ごしました。北アルプスの高い山といえば、何といっても穂高岳と槍ヶ岳です。上高地からは、穂高岳しか眺めることはできません。これが逆だったら、まったく違う雰囲気になっていただろうと思いました。穂高と槍を比べると、登りが厳しいのは穂高でした。槍ヶ岳は誰もが一度で覚えられるほど分かりやすい山ですが、二つのうちどちらか1つが身近になりうる山とすれば、穂高岳ではないかという気がしました。逆に槍ヶ岳は、あの洗練された鋭さゆえ、上高地からは巧みに隠されているのです。
(2017年11月上旬)