心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

谷川岳 「日本三大岩場」と「日本三大急登」の山へ

2020年07月24日 | 谷川・苗場・越後駒


谷川岳(1,977m)


 谷川岳といえば、ロッククライミングのメッカです。日本では「日本三大岩場」と呼ばれています。
 有名な一ノ倉沢を写真で見ると凄いなと思います。しかし、クライミングに無縁な自分にとって、谷川岳の岩場がどこがどう難しいのかは分かりません。
 雑誌『岳人』に、谷川岳の特徴が書かれている記事を見つけました。

 「~ 谷川岳の岩場は、北アルプスの剱岳や穂高岳と並んで「日本三大岩場」のひとつといわれている。しかし剱や穂高の岩場に比べると、だいぶ様相が異なる。標高が低いために植生が発達しており、すっきりとした岩壁とはいえない、石英閃緑岩というフリクションのよくない岩が主体で、クラックが発達していないために支点もとりづらく、岩登りに適した岩質でもない。瓦が積み重なったような「逆層」といわれる岩の形状が多いのも特徴で、これがまた、谷川岳の岩場を登りにくくしている要因のひとつとなっている。 ~」
 (『谷川岳登攀の歴史』森山憲一 『岳人』2017年10月号(ネイチュアエンタープライズ))

 「標高が低いために植生が発達」しているのは、北アルプスの山とは違う一ノ倉沢の迫力を生み出しているのに違いありません。
 この記事に掲載されている、馬場保男氏の写真も興味深いです。上越線土合駅のホームが、登山者でびっしり埋め尽くされています。
 今では同じ上越線でも、本数の多い水上駅からバスで登山口へ向かう人の方が多いと思います。土合駅を発着する列車は、1日6本(うち1本は臨時列車)しかありません(2020年7月現在)
 1964年9月号の時刻表では、土合駅に停車する上野発の夜行列車が2本出ています。土合に到着するのは、早朝(深夜?)2時50分と、5時4分です(『時刻表完全復刻版 1964年9月号』(JTBパブリッシング))
 夜行列車で谷川岳登山にでかけるのは当時ではありふれたことだったようです。



 上越線は1967年に全線複線化が完成しました。その際、土合駅の下りホームは全長13kmを超える新清水トンネルの中に設置されました。照明がなければ真っ暗です。「日本一のモグラ駅」は、ホームから改札口まであわせて486段もの階段を登らなければいけません。

 谷川岳には、ロッククライミングをしなくとも、もちろん登山することができます。その中で西黒尾根は、北アルプスのブナ立尾根、南アルプスの黒戸尾根と共に、「日本三大急登」の一つとして知られています。
 谷川岳の初登山にはその西黒尾根を選びました。登山を始めてほぼ1年経ち、節目にふさわしいクラシックルートを歩いてみたいと思っていました。
 急登はブナの森から始まり、1時間ほど登ると、左手にロープウェイ乗り場のある天神平が見えてきました。
 樹林帯が終わると岩場が出てきました。普通でも滑りやすい岩が、長い年月の間に多くの人に歩かれ、「クラック」はあっても「フリクション」はまったくありません。靴を置いただけで滑っていきそうな感じがするほどです。
 鎖場には不慣れで、登るというより手でよじ登る感じになっていきます。鎖がなければ登れないなと思ったところもありました。
 登り切ると、「ラクダの背」の標識が立つ小ピークに出ました。
 麓はとても暑い日でしたが、9月になっても谷筋にはまだ残雪がありました。
 朝出るときは晴れていたのに、谷川岳の山頂は雲の中でした。振り返ると、反対側の山々・白毛門や朝日岳の頂上は隠れていないので、余計に惜しい感じがします。
 しかし、慎重に慎重に登っているうちに、全然疲れを感じていないことに気が付きました。日本を代表する登山道は、登ることそのものの楽しさが詰まった素晴らしいルートでした。
 
 帰りはロープウェイを使えて、距離の短い天神尾根を歩きました。楽な道だなと思った途端、足に痛みが出てきました。






◆◆◆◆◆
【西黒尾根から谷川岳へ】
 登山口9:10→ラクダの背11:30→谷川岳肩の小屋13:00~13:14→谷川岳山頂(オキの耳)13:48→熊穴沢避難小屋15:22→ロープウェイ天神平駅16:06
※「日本三大急登」の名にふさわしい、充実感ある登山道でした。急傾斜の滑りやすい岩場、鎖場は登り応えがありました。同じ道を下るのはちょっと怖そうだと思いました。
 (体力●●●○○ 技術●●●●○) (登頂:2012年9月上旬) 



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