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『上海灯蛾』上田早夕里

2023年11月28日 | 歴史探訪<南京・上海>

富士国際旅行社太田正一社長に下記の企画を提案しています。

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江南平和の旅
日時:2024年12月(ナビゲーターは長谷川順一)
南京市「侵華日軍南京大虐殺遭遇同胞祈念館」、「南京民間抗日戦争博物館」、「利済慰安所遺址陳列館」、「中華門」、「玄武湖公園」、「南京長江大橋」、「南京博物院」、「中山陵」、「南京総統府」、「太平天国」
蘇州市「寒山寺」、「拙政園」、「留園」、「山塘街」、「虎丘」、「平江路」
上海市「豫園」、「外灘」、「魯迅公園」、「尹奉吉梅軒祈念館」、「陸戦隊本部跡」、「濱江大道」、「上海環球金融中心」、「内山書店」、「孫文旧居」、「ユダヤ難民博物館」、「影佐禎昭旧居」、「阿片王里見甫のピアスアパート」、「淞滬抗戦祈念館」、「四行倉庫抗日戦争祈念館」、「虹橋大山中尉殺害事件現場」
戦時映画復刻版「支那事変海軍作戦記録4」上映と「大山中尉殺害事件」についての座学

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「阿片王里見甫のピアスアパート」に関連する「上海灯蛾」のサイトを見つけ、5月にその書籍を世田谷図書館へ予約しましたが、やっと配本されました。

1934年「魔都」上海。極上の阿片をめぐる青幇と日本軍の死闘。破滅へと突き進む男たちを描いた熱く切ないドラマ 『上海灯蛾』上田早夕里

「著者による後記」と「主要参考文献一覧」を転載します。

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【著者による後記】 
 本作「上海灯蛾」で扱った青幇は実在の組織ですが、「記録を残さないことを捷とした秘密結社」であったため、現在日本で確認できる青幇の内情は、中国で三大亨に限定して執筆された書籍の翻訳書や伝聞によるものです。戦時上海時代における青幇の全体像は、今後も大半が謎に包まれたままでしょう。そのため本作では、物語をわかりやすくするために、多くの創作と、独自の表現を使用していることをお断りしておきます。「老大」「老板」「掌拒」といった言葉を、特殊な意味で使っていることなどがその一例です。組織の構造に関しては、宮崎学・著『「謝一いいう生き方「中国マフィア」日本人首領の手記」(徳間書店/一九九九年)から貴重な示唆から得ました。日本人が青幇の門下になり得るという事実は氏の著作で初めて知って驚き、吾郷次郎と楊直との関係を定める際に参考にしました。 
 また、日本側の諸々に関しても、多くの虚構が含まれていることをお断りしておきます。その一部を以下に記します。「シロ32号」(「最」)は架空の品種ですが、モルヒネ含有率が二十パーセントを超える阿片芥子は当時も実在していました。央機関は架空の組織ですが、日中両軍が阿片売買によつて活動資金を得ていたのは史実です。暁明学院大学は架空の学校ですが、実在した学校(「満州の陸軍中野学校」という異名で呼ばれた特殊機関)をモデルにしています。 敷島通商 は実在の商社をモデルとした架空の会社で、伊沢穣を巡る物語には多くの虚構が含まれています。ただし、日本軍が大陸内において、ヘロインを代金代わりに希少金属の確保にあたっていたのは史実です。上海租界にあった日本憲兵隊本部への擲弾攻撃や、一号作戦(大陸打通作戦)において日本軍が雲南省に独立混成旅団を派遣した事実はありません。これらはすべて、物語を展開するうえで必要であったため創作しました。 
 一九九〇年代、ゴールデン・トライアングルの阿片生産量は全世界の八十五パーセントを占める二千五百トンまで急増し、ヘロインは全世界の総量の六十パーセントを占める二百五十トンにも達したという記録があります。 二〇〇〇年代には、さらにそれを上回ったとも言われています。 
その後、強力な違法薬物取り締まりや、代替作物への転換(コーヒー豆の栽培など)によって、この 地域での阿片の生産は急速に減っていきました。しかし、同地は、二十一世紀現在、メタンフエタミン(覚醒剤)の世界最大級の生産地となっています。 
 今回も多くの資料を参考に執筆致しましたが、本作は小説であり、フィクションです。実在する人物・団体・地名・その他の要素とは一切関係ありません。 
 日中戦争や戦時上海に関する専門分野には名著がたくさんあります。史実に興味をお持ちになった方は、専門書に目を通し、現役研究者の方が主催する公開シンポジウムを視聴することをお勧めします。 正しい知識は、それらによって得られます。 
 尚、小説作品内での記述に間違いが発見された場合、その責任は各文献の執筆者ではなく、小説の著者である上田にあります。また、今日の人権意識に照らして不当・不適切と思われる語句や表現については、時代背景を鑑み、当時のままの記述を使用しています。作中で表現された人間の尊厳を損なうあらゆる行為と物事に対して、著者は支持せず、許容せず、推奨も致しません。  

 【主要参考文献一覧】 
※予想外の分野へご迷惑がかかることを避けるため、今回はごくわずかに、青幇と阿片関係の一部のみを記載します。 
「上海の顔役たち」(沈寂・著、林弘・翻訳/徳間文庫) 一九八九年 
「中国マフィア伝 〔上海のゴッドファザー〕と呼ばれた男」(西爾・著、河添恵子・翻訳/イーストプレス) 一九九九年 
「「幇」という生き方 「中国マフィア」日本人首領の手記」(宮崎学・著/徳間書店) 一九九九年 
「阿片と大砲 陸軍昭和通商の七年」(山本常雄・著/PMC出版) 一九八五年 
「日本の阿片王 二反長音蔵とその時代』(倉橋正直・著/共栄書房) 二〇〇二年 
「阿片王一里見甫の生涯 其の逝く処を知らず』(西木正明・著/集英社文庫) 二〇〇四年 
「阿片王 満州の夜と霧」(佐野員一・著/新潮文庫) 二〇〇八年 
 その他、薬物乱用防止のために執筆された各種の書籍、薬物の危険性に関する正しい知識が掲載されたサイトの記事などを、多数、参考に致しました。これらの活動にカを尽くしておられる方々、支援者の方々に敬意を表し、深く感謝とお礼を申し上げます。 
 また、 一九三四年の漸江省を中心とする大干魅に関する諸々は史実で、弁納才一・著「華中農村経済と近代化」(汲古叢書/二〇〇四年)を参照しました。 

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(了)

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