これから始まるのは
空想上の物語です。
衝撃!驚愕!!
現存レストア英国BSA軍用バイク
浪漫について考えさせられた・・・
『 男の浪漫 』 だけじゃないかも・・・
男の子の好きな軍事物のプラモデル。
これは本物の実物大のモデル。
増してや僕の妄想ストーリーでは単車好きな
将校が大事にしてきた単車って設定。
このストーリー 調子にのって
少し披露しちゃいます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
1930年代後期。イギリス
まだ戦争の影など民衆は知らぬ平和な時代。
『バーミンガム・スモール・アームズ社』
通称BSAはヨーロッパ各地でレースが
盛んな今、トライアンフ、ノートンを相手
にレースマシンの開発に明け暮れ、互いに
競いあっていた。(事実)
1930年の名機SLOPER
1960年の名機GOLD STAR
英国BSAの製造ラインの中心は夢のある
レース用の単車製造だったが、BSAは
軍からの車両製造委託も受け、頑丈な単車
も製造していた。実は、元々が銃等の武器
製造が事業のスタートラインだったBSA。
この時既にBSAは軍からの受注で小機関銃
の製造販売にも着手し始めていた。(事実)
1938年、製造ラインを経て、納車前確認
を終えた一台の単車。
工業用の油を塗りこまれ、ピカピカな単車
この軍用バイクは田園が広がる豊かな丘陵
地帯、広い空の下の地方都市に配備された。
今回の配備は基地間連絡用の個人備品申請
だったので申請者への個別配備となった。
受領者氏名はジャック。
軍備品拝領者名の登録もキチンとなされた。
これから、この単車の管理はジャックの
責務となる。
のどかな時間が流れる地方都市。
それまでのジャックは車にしか興味を持てず
バイクに興味は無かったが、今回は任務とし
ての受領であった。単車など乗った事が無い。
エンジン付の乗り物は元々好きなので、単車
の操作は一通りマニュアルを読んで事前に
頭に叩き込んだ。
そんなジャックが拝領した単車を試走する為
初めて、そのBSAに乗り込んだ。
最初はエンジンもかけられず途方にくれた。
再度マニュアルと格闘し、やっとかかった
エンジン。
車と違いエンジンがすぐそこで鼓動している。
自分の体のすぐ下で野性的な雄叫びを上げる。
この興奮はなんだ。押えきれない。
走り出した出そうとアクセルを回した途端、
ハンドルを握る手が単車の推進力に負けて
剥がされ、体は後方の肥料貯めまで投げ出
された。
ウソだろう・・・なんだコレは?・・・
学ばないと乗れない乗り物。謙虚な気持ち
で臨まねば受け入れてもらえない。
曲がれない。止まれない・・・
跳ね馬だ。
たちまち夢中になった。
風の音。田畑の匂い。炭焼きの香り・・・
自分の意のままに鉄の馬を操る高揚感。
そしてオイルの焼ける匂いと、腹に響く音。
なにより感じるのは自由!!
やがて周囲に暗黒の空気が漂い出す。
民衆もようやく、自分たちをとりまく不穏
な空気に気づき、恐れる者・高揚する者が
出はじめた。
誰もが望む平和な生活の基盤は安定の日々。
誰の足元にも、真っ黒な不協和音が忍び寄る。
1939年9月のドイツ軍によるポーランド
侵攻と、それに続くソ連軍による侵攻、
そして英仏からドイツへの宣戦布告。
いずれもヨーロッパが戦場と化した。
誰も望まぬ戦争への道。
ドイツ、日本、イタリアの日独伊三国同盟
を中心とする枢軸国陣営と、イギリス、
ソビエト連邦、アメリカ、中華民国などの
連合国陣営との間で戦われた全世界的規模
の巨大戦争の始まりだ。
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以下 枢軸国(すうじくこく)説明
注)ドイツ、大日本帝国、イタリア、
フィンランド、ハンガリー、ルーマニア、
ブルガリア、タイなどソビエトを脅威と捉え
ていた反共主義・ファシズム国家が多く、
連合国が承認していない国家としては、
フィリピン第二共和国、ビルマ国、
スロバキア共和国、クロアチア独立国、
満洲国、中華民国南京政府などがある。
Wikipediaより抜粋
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その後1941年12月の日本と米英との
開戦によって戦火は文字通り全世界に拡大。
悪夢がはじまる・・・
後の世に言う『 第二次世界大戦 』 だ。
微妙な風が吹く 大戦開戦前の1940年
軍に籍を置く、地方都市の将校ジャックは
平和な時を望みながらも時代の潮流を感じ
迫りくる悪夢を覚悟していた・・・
野山がヒースの花々の濃く薄い紅に染まり、
ひばりが高い空に唄い、野生の苺やベリー
が実る頃・・・
ジャックに戦場への出征配置命令が下る。
彼は大事な愛機の行く末を思う。
無策に時が経てばこの素晴らしい機は
無尽と化す。
そんな事を許すものか!
軍から隠す。彼は決意する。
出征までのわずかで貴重な時間・・・
ジャックは必死に考えていた。
なんとか あの単車を戦場に送らずに隠匿
し、守り抜く方法は無いだろうか・・・
何かある筈だ。なにか抜け道を探せ・・・
・・・そうだ・・・こんな方法ならば・・・
身寄りの無い、戦死した戦友の名を借りて
単車の受領者を変更し、軍の登録を偽装
すればいい。
この秘密が周囲に漏れれば軍法会議で重罰だ。
協力者もただでは済まされぬ。
友の協力を得て、なんとか裏工作に成功し
軍登録の変更を果たした。
軍はこの単車を追えない。
追えば辿り着く先に
居るのは幽霊のみ・・
残す心残りは愛する家族。妻・子供・・・
メリーは 強い将校の妻 であり
それ以上に 強い母だった。
そしてジャックは単車を妻メリーに託し・・
故郷を後にした。心を残して・・・
メリーは必死で納屋の干し草の中に単車を
押し、隠し守る。ジャックを守るように。
次第に戦局は厳しさを増していく。
人の心も荒れ、すさんでいく・・・
美しい街も野山も焼かれて行く・・・
益々ドイツからの攻撃は激しさを増していく
戦局が厳しくなってもメリーは看護婦女子
に志願して納屋を離れず守り続けた。
たびたび集められては信用できない情報に
一喜一憂する日々が続いていく
無慈悲な時だけが過ぎていく・・・
激しい戦争の傷跡がやさしい田園風景を汚す。
ジャックの情報は薄い・・・
メリーはあきらめなかった。
・・・・・・
やがて局面は落ち着いてきたが、メリーの
大事な待ち人は、
いつまで待っても帰らない。
・・・・・・
やがて・・・
メリーの心にも疑心が生まれる頃・・・・
夕日と共に歩む兵士の姿・・・
夕日で照らされ顔が見えない・・・
メリーの心にはしっかりと見えている。
1945年 戦争は終った。
守り抜かれた物は単にジャックの愛する
バイクという乗り物では無い。
ジャックの精神そのものが守られたのだ。
こうして守られたバイクは、この後の幾多
の困難な時代をも生き抜き・・・
2017年 海を越え 極東の陽が登る国
へと渡り 今を生きる・・・
1945の終戦は英国にとっての安息の日
を取り返した日であるのと同時に
陽の登る国 日本にとっては存続に関わる
生活の戦いの幕開けだった。
現在の日本の平和な日々は、こうした戦い
の末、実現した奇跡の様な日々。
そんな奇跡の発展を成し遂げた現代日本の
地に、この単車が有るという事実。
皮肉な事に英国とは敵対関係だった国は
戦争を放棄し、世界でも稀な平和国家と
なった。そんな地に誰よりも平和を望んだ
人の手によって守られた単車がある・・・
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この軍用車に、このストーリーみたいな
ドラマが有ったのかは、わからない。
しかし現存する貴重な存在としての浪漫を
思わずにいられない・・・
~~ Fin ~~
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・・・浪漫だ!自分の妄想に泣きそうだ。
男の浪漫って書いたけど
訂正します。
妻メリーも・・・いい女だ・・・
惚れてしまいそうだ!
女の浪漫でもあったのね。
書いてみて、わかった(笑)
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どこかに
『 幸せの黄色いハンカチ 』
っぽい匂いや
『 戦場のピアニスト 』の
雰囲気を思い起こした方も居るでしょうが
幻影です(笑)
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恥ずかしげも無く披露した妄想ストーリー。
ストーリー登場人物には名前を与えました。
軍人には無機質な認識番号。しかし将校は
感受性豊かな人間であり、彼を大事に思う
人も居たのです。
名前は人の証であり、歴史その物です。
名前がある事で、妄想のストーリーも
動き出す。
大分恥ずかしいですが妄想
が産んだストーリー・・・
お楽しみ頂けたかな?
本でも書いてみようかな。面白そうだ・・・