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食の安全について考える

2006-08-09 23:53:33 | 世の中のこと
アメリカ産牛肉の輸入・販売が再開されました。
とは言っても、実際に手を出す量販店や外食産業はまだ少ないようですね。
実は僕、こういうことには全くの無頓着なのです。
つい去年までは食品会社に勤めていたのですが、それでも無頓着です。

「ホントに問題があるのなら、もう手遅れ。」
「何をやったって、当たる人には当たるし、当たらない人には当たらない。」

身も蓋もないのですが、僕はこういう思考をする人間です。
自分自身、「当たらない人」だと思い込んでいる、ということもあります。

アメリカ産牛肉を食べて、人が狂牛病に罹るか?
正確には、「飼料(肉骨粉)」「牛」「人」の間に因果関係があるか、ということです。
肉骨粉に含まれているとされる異常プリオン(蛋白質の一種)が人まで移るか?
これって、完全に立証されたわけではないんですよね。
まあ、疑わしきは何とやら、というやつです。

それを言うと、遺伝子組み換えされた農作物などもそうですね。
遺伝子組み換えは、ここ数十年の技術です。
ですから、これが人に与える影響もまた、数十年という期間を見ないと分からないとか。
「だったら売るなよ」と言いたいところですが、その順序が逆になってしまうのが世の常です。
一般に出回ってしまった後だから、もうどうしようもない。
店頭でも遺伝子組み換えか否かを表示されるようになりましたが、あれだって単なる後追いです。
「嫌なら買わないでね」というだけのことですからね。
ついでに書いておくと、加工食品の世界では、もっと面白いルールがあります。
それは「原材料のうち5%を占めなければ、遺伝子組み換えの有無は表示しなくても良い」というもの。
…何十年か先に、こんな記者会見が行なわれるかも知れません。

役人「遺伝子組み換えされた、Aという品種の大豆ですが、重大な問題があることが分かりました。」
   「数年前から、Zという疾患の患者数が急激に増えていますよね。」
   「実はそれ、Aのせいだったのです。」
記者「それは大問題ですが、Aはそもそも一般には流通していないはずですが?」
役人「確かに、そのまま売られてはいないんですけどね。」
   「けれども、加工食品では相当な量が出回っているんですよ。」
   「正しく言えば醤油メーカーになのですが、ほら、醤油の主原料が大豆やら小麦でしょう。」
   「その醤油を加工食品メーカーで使用する場合、しょせんは調味料ですから…。」
記者「遺伝子組み換えの表示義務である、原材料中5%に触れない、と。」
役人「そうなんです。」
記者「そもそも、数十年前に決まった5%という線、あれはどういう根拠なんですか?」
役人「実は、科学的根拠は何もないんですよ。」
   「全部を表示しなさいという案を出したら、業界からものすごい反発が合ったようで…。」
記者「どういった反発でしょうか?」
役人「そんな細かいところまで調べきれないだの、パッケージが文字だらけになってしまうだの…。」
記者「食の安全とは、全く関係ない理由なわけですね。」
役人「はい。」
   「そもそも、消費者団体やら報道やらの突き上げを抑えるために作った基準でして…。」
   「当時はまだ、遺伝子組み換え作物が人体に及ぼす影響など、誰も分からなかったのです。」
記者「話をAに戻しますが、これの危険性が認識されたのはいつのことですか?」
役人「…だいたい1年前です。」
記者「発表が今になったのは、どういう理由でしょうか?」
役人「そもそもAは、低コストで大量に生産できるように作られた品種でして…。」
   「それを売りにして急成長した企業も少なくないのです。」
   「大手では、醤油メーカーのB社とC社。」
   「特にB社などは、扱い製品の90%がAを使用しているとのことです。」
   「加工品業界でも、その安価さから、醤油のシェアの大半をこのB社とC社で占めておりまして…。」
記者「発表した場合の影響が計り知れないと?」
役人「はい。」
   「業界が傾きかねないと予想されました。」
   「失業対策を公約にしている現政権からも、衆議院選挙が終わるまで待つようにと…。」

いやあ、怖いですねえ。
妄想でここまで書ける僕自身も怖いですが、けっこうリアルでしょう?
この通り、今のご時世では安全な食品を探すほうが難しいわけです。
それを気にして、好きなものも食べれない。
それを気にして、いつも表示とにらめっこ。
おまけに、その表示だって疑わしい。
こういう生活のほうが、寿命を縮めそうな気がします。

だったら、気にせず食べてしまいましょう。
…そんな考え方をするのは僕だけでしょうか?