風の色 4
マットブラックの古いダッチバン。荷室が広くてまるで日本の霊柩車のようだ。
彼女は日本人観光客相手のダイビングインストラクターをしている。
ボンベ、ウエットスーツなどの機材を積み込むにはこんな車になる。
この島は観光客と、その対応する関係者だけが住んでるような島だ。
約10分 ハミルトン島のシーサイドから高台にある少し古ぼけた彼女の家。
一人暮らしには十分すぎる広さの3LDK。
建物と同じ広さのほどある庭には2本のParmTree。
ヤシガニも登っていそう。
すでにPM5:00。夕日がベイに差込み、キラキラ光り彩っている。
こんな場所なら、日本には帰りたくはなくなるな。
「夕食作るから手伝って。」包丁片手にサリー。
「OK」料理は下手でも好きな方だ。
「明日は食料も調達しなくちゃ、あんた達食べそうだしね。ここにいるのはかまわないから食費はお願いね。」
「スーパーはさっきのストリートに2軒あるから。車は仕事があるときは使うけど、なければ使ってもいいわよ。」
包丁を裁く手つきが軽快だ。
「分ってる、何ができる分らないけど行ってくるよ。」
部屋の隅にあったギターを爪弾きながら牧野がメロディにして返答。
Takamineのアコースティック。好きなブランドのアコギ。
「今日は私のおごりよ。」
「アルコールはあるかな?。」心配気なオレ。
「う~ん ビールと赤ワインくらいかなあ~。」
「十分だ。明日補給しとくよ。」
「カクテルがいいね。」レゲエ調メロディで牧野。
彼女は一人暮らしが長いからか、料理は上手い。ホワイトソースとパインソースの2種類のオムライスに、ナッツを和えたヨーグルトサラダ、オージービーフのレアステーキ。
彼女は結構張込んだに違いない。この頃には、あの時オレにあった違和感は消えてしまっていた。
「早速、明日から捜索開始だな。」ハイライトに火をつけながら牧野。
ロッカーはハイライトが定番と思ってるらしい。
「日本人が仕事を持つには限られてる。観光中心の小さい島だし、ここにいるならすぐに見つかるだろ。」 意外に柔らかいビーフをかじりながらオレは赤ワインのグラスを傾ける。
「日本人ガイドだったら絞られるわね。」
「去年ゴールドコーストから一人日本人男性のガイドが来たのは、聞いたことがあるけど・・・。」
「よ~し すでにビンゴ気分だー。ひと月くらいバカンスしようぜ。」ワイン片手に陽気に出来上がった牧野。
「いいねえ、暮らしたっていいよな。」オレも酔ってきた。
オレ達には日本にとりたてて引き止めるものもない。自由はグレートバリアリーフのように果てなく持て余している。
夏の夕暮れ、ベイに沿って立ち並ぶリゾートホテルのライティングが海面を彩り、ビーズを敷き詰めたようなイメージ。
夕闇が深まり一層それを引き立てている。
空には負けないくらいの降ってきそうな星空が広がって、心を浄化してくれる。
そんな星空をグラスの中に浮かべて 冷えたキールを飲み干す。
Takamineはスローバラードを奏でてる。
The Beatles 「Hey Jude」。
三人のガーデンパーティは夜更けまで続いた。
マットブラックの古いダッチバン。荷室が広くてまるで日本の霊柩車のようだ。
彼女は日本人観光客相手のダイビングインストラクターをしている。
ボンベ、ウエットスーツなどの機材を積み込むにはこんな車になる。
この島は観光客と、その対応する関係者だけが住んでるような島だ。
約10分 ハミルトン島のシーサイドから高台にある少し古ぼけた彼女の家。
一人暮らしには十分すぎる広さの3LDK。
建物と同じ広さのほどある庭には2本のParmTree。
ヤシガニも登っていそう。
すでにPM5:00。夕日がベイに差込み、キラキラ光り彩っている。
こんな場所なら、日本には帰りたくはなくなるな。
「夕食作るから手伝って。」包丁片手にサリー。
「OK」料理は下手でも好きな方だ。
「明日は食料も調達しなくちゃ、あんた達食べそうだしね。ここにいるのはかまわないから食費はお願いね。」
「スーパーはさっきのストリートに2軒あるから。車は仕事があるときは使うけど、なければ使ってもいいわよ。」
包丁を裁く手つきが軽快だ。
「分ってる、何ができる分らないけど行ってくるよ。」
部屋の隅にあったギターを爪弾きながら牧野がメロディにして返答。
Takamineのアコースティック。好きなブランドのアコギ。
「今日は私のおごりよ。」
「アルコールはあるかな?。」心配気なオレ。
「う~ん ビールと赤ワインくらいかなあ~。」
「十分だ。明日補給しとくよ。」
「カクテルがいいね。」レゲエ調メロディで牧野。
彼女は一人暮らしが長いからか、料理は上手い。ホワイトソースとパインソースの2種類のオムライスに、ナッツを和えたヨーグルトサラダ、オージービーフのレアステーキ。
彼女は結構張込んだに違いない。この頃には、あの時オレにあった違和感は消えてしまっていた。
「早速、明日から捜索開始だな。」ハイライトに火をつけながら牧野。
ロッカーはハイライトが定番と思ってるらしい。
「日本人が仕事を持つには限られてる。観光中心の小さい島だし、ここにいるならすぐに見つかるだろ。」 意外に柔らかいビーフをかじりながらオレは赤ワインのグラスを傾ける。
「日本人ガイドだったら絞られるわね。」
「去年ゴールドコーストから一人日本人男性のガイドが来たのは、聞いたことがあるけど・・・。」
「よ~し すでにビンゴ気分だー。ひと月くらいバカンスしようぜ。」ワイン片手に陽気に出来上がった牧野。
「いいねえ、暮らしたっていいよな。」オレも酔ってきた。
オレ達には日本にとりたてて引き止めるものもない。自由はグレートバリアリーフのように果てなく持て余している。
夏の夕暮れ、ベイに沿って立ち並ぶリゾートホテルのライティングが海面を彩り、ビーズを敷き詰めたようなイメージ。
夕闇が深まり一層それを引き立てている。
空には負けないくらいの降ってきそうな星空が広がって、心を浄化してくれる。
そんな星空をグラスの中に浮かべて 冷えたキールを飲み干す。
Takamineはスローバラードを奏でてる。
The Beatles 「Hey Jude」。
三人のガーデンパーティは夜更けまで続いた。