hitorigoto 2

  笑顔までの距離

風の色 10

2011-06-14 21:46:51 | 風の色
扉を開けてオレ達の横をすり抜けて最初に入ったのは潮風。

ゴールドコーストの風がカーテンを揺らした。

ホテルの中で作戦会議。

この選挙までひと月は続く。この間待ってるほど暇じゃあない。



「また引っ張り出すか。」

ハイライトがなくなって、オージーのタバコを選んでる牧野。

「佐藤を引き出したみたいにか?。」

オレは風が気になってる、窓の外のウインドサーファーを眺めながら。


「そんな上手くはいかない。」

「ゲリラ戦がいいだろ、なんとかメッセージを伝えりゃいいんだ。」
ニヤニヤしながら牧野が言う。

「良い手があるんだよ。」
サリーを眺めながら・・・



ラインのグッとでる 胸元の深く開いたノースリーブに、指1本ほどのウルトラミニ。

サリーのダイナマイトが炸裂している。

「ふ~んなるほどね~でもね高くつくわよ。」

「これだったら良い感じで入り込めるぞ。」

「まあ男は単純だし隙はできるわ。」とサリー。

「牧野みたいなヤツばっかじゃないぞ。」
オレはオムライスに辛いカレーをぶっかけて腹ごしらえ。

「単純と言うな、純粋と言え。」
隙だらけの牧野。



「ちょっと失礼」
サリーが門番に声をかけた。

ガタイのいい グラサンが振り向く。

目の動きは分からないが、足の先から頭の先まで顔を動かしてるのは分かる。

「ふん、かかったな早い、単純。牧野と良い勝負。秒殺だ。」
オレは道を挟んだバーの角で様子を見守る。


脚を強調するように立ち振る舞うサリー。演技派だ。

「選挙事務所のお手伝いさせてほしいんだけど。」

グラサンの口元が少し緩む。

「Jrは居るのかしら。会わせてもらえないかな。」

もうチョッとだな、意外とすんなりいきそうだ。


グラサンがサリーの腕をつかんだ。

招いた感じではなく、明らかに掴んだ。

「ヤバいか?」

サリーがグラサンのグラサンを外し、微笑む。

やけに尻下がりの目が見えた。少々おぼこさが見える。

掴んだ手は緩み、サリーから離れた。

「体つきのわりには、優しい顔をしてるわね。」

髪をかき上げながら、ベンチに座る。

グラサンを見上げながら、ヒールの脚を組み替える。


またグラサンのないグランの体温はグッと上がってるようだ。

グラサンはサリーを中に招いた。

背中越しにピースサインのサリー。

とりあえず第一関門突破だ。


























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