黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

本日の「そっくりさん」

2006-01-11 12:52:37 | 各種資格
 最近話題になっている「企業の内部統制システム」について,黒猫が最近読んだ本に載っていること。

 企業会計審議会の内部統制基準では,「財務諸表監査の監査人による内部統制監査の目的」について,以下のように定義しています。

 経営者による財務報告に係る内部統制の有効性の評価結果に対する財務諸表監査の監査人による監査(以下「内部統制監査」という)の目的は,経営者の作成した内部統制報告書が,一般に公正妥当と認められる内部統制の基準に準拠して,内部統制の有効性の評価結果をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて,監査人自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。
 なお,内部統制報告書に対する意見は,内部統制監査に関する報告書(以下「内部統制監査報告書」という。)により表明する。
 内部統制報告書が適正である旨の監査人の意見は,内部統制報告書には,重要な虚偽の表示がないということについて,合理的な保証を得たとの監査人の判断を含んでいる。 

 この文章を見て,黒猫は思わず笑ってしまったのですが,その理由は監査基準の文章とあまりに似ていること。 

 財務諸表の監査の目的は,経営者の作成した財務諸表が,一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に準拠して,企業の財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて,監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。
 財務諸表の表示が適正である旨の監査人の意見は,財務諸表には,全体として重要な虚偽の表示がないということについて,合理的な保証を得たとの監査人の判断を含んでいる。

 ほとんど,固有名詞を換えて使い回しているだけ。手抜きに近い。

 実際問題として,重要性の乏しい会計上の誤り(事務用の切手をまとめ買いした場合に,それを貯蔵品として会計処理せず全額費用計上した場合など)は,額面どおり重要性が低いので無視しても構わないと思うのですが,内部統制はちょっとした緩みが大事件につながる可能性も否定できないので,会計上の「重要性の原則」みたいな考え方をそのまま適用するのは問題があるのではないでしょうか。