今,弁護士業界で最も切迫した話題といえば,法曹人口問題と法科大学院制度をどうするかという話題でしょう。既に,千葉県弁護士会と埼玉県弁護士会が,法科大学院修了を司法試験の受験要件から外すべきだという決議を行い,愛知県弁護士会も日弁連宛に同様の決議を行っています。札幌弁護士会でも同様の決議を行うかどうか,熱心な議論が行われているようです。
これに対し,日本最大の単位会である東京弁護士会では,駅弁大学院と揶揄されるほどに法科大学院が濫立している地域という事情もあってか,そのような決議を出すことは表向き話題にものぼりません。3月13日の臨時総会で議論されるのは,一見法曹養成制度とは何の関係もなさそうな「多摩支部」に関する問題ですが,議案に関する説明をよく読むと,ここにも法曹人口問題の深刻な影響が見て取れます。
1 「多摩支部」とは?
東京弁護士会と第二東京弁護士会は,東京都のうち23区以外の地域を管轄する支部として「多摩支部」を置いていますが,他の弁護士会の支部と違うのは,多摩支部の区域内に事務所を有しなくても支部会員として登録できる一方,事務所が多摩支部の区域内にあっても支部会員として登録することは義務づけられていない,という仕組みになっているところですが,このような仕組みになった背景には,多摩支部の設立に係る複雑な背景事情があります。
多摩支部は,三多摩弁護士クラブという任意団体を設立母体として平成10年に設立されたものですが,このクラブはもともと東京地裁八王子支部(当時)の国選弁護を担当する受け皿として,多摩地域に事務所を置く弁護士や多摩地域に住所のある弁護士たちが,所属本会を横断して組織・運営されていたものであり,当時は多摩地域に事務所を置く会員(事務所会員)が少なかったことから,会員資格を事務所会員に限定してしまうと,支部として十分なリーガルサービスを提供できないという問題がありました。
そして,弁護士の中には自宅をいわゆる第二事務所として業務に活用している人も少なくないため,例えば事務所は東京23宮内にあっても,多摩地域に自宅がある弁護士であれば多摩地域の仕事もできるだろう,いや多摩地域内に自宅がなくても,例えば神奈川県の相模原市や川崎市の西部,横浜市の北西部に自宅がある人も同様ではないか,といった議論があったらしく,結局東京都内に事務所を持つ会員は,希望すれば誰でも多摩支部の会員になれるという制度に落ち着いたわけです。
なお,東京三会のうち第一東京弁護士会は,正式には多摩支部を置いておらず,後述する多摩支部の法律相談についても,東弁と二弁では多摩支部の会員しか法律相談名簿に登録できないものとされている一方,一弁ではそのような制限はありません。
2 「多摩支部」の会員資格限定問題
ところが,近時の司法制度改革に伴い,多摩支部の会員数も激増しました。多摩支部が設立された平成10年度の会員数は東京三会合計で458名であったところ,平成23年度末の数字では,これが1292名にまで激増しています。このうち,多摩地域に事務所を持つ会員(事務所会員)は東京三会合計で382名となっており,会員の三分の二以上が多摩地域に事務所を持たない会員(非事務所会員)で構成されているわけですが,非事務所会員の各委員会への参加状況や総会出席状況は非常に悪いらしく,非事務所会員が多摩支部に加入している動機は,要するに多摩支部(町田,八王子,立川)の法律相談担当を受任したいということに他ならないだろう,という話になったようです。
そして,多摩支部は東京地裁立川支部の本庁化を見据えて,将来的には東京三会から独立した弁護士会を設立するための活動を続けています。現時点における多摩支部の事務所会員382名という数字は,仙台弁護士会の会員数(360名)を上回っており,多摩地域内に事務所を置いているが多摩支部に加入していない会員数を含めれば500人前後になるということで,既に独立した単位会を構成するには十分と思われる人数が揃っているわけですが,会務活動を支えるには必要不可欠な各委員会や総会への参加状況は,非事務所会員のみならず事務所会員も相当悪いらしいです。
そこで,既に第二東京弁護士会では,多摩支部への加入資格を事務所会員に限定する制度改正が行われており,東弁でも同様の改正を行い,多摩支部への加入資格を事務所会員に限定することで,大都市圏の弁護士にありがちな「誰かがやってくれる」という甘えを払拭し,会員の支部への帰属意識を高めるべきだといった内容の提案がなされ,それが3月13日に行われる臨時総会の主な議題となっています。
黒猫としては,弁護士の会務離れは法曹人口の激増による経済的余力の低下と弁護士会の求心力低下が原因であり,多摩支部の会員資格を事務所会員に限定したところで問題が解決するとは思えないのですが,その問題はひとまず措くとして,理事者会がこの議案に対する意見を関連委員会や各会派に照会したところ,複数の委員会から反対論が挙がり,しかもその理由の中核に法律相談担当の問題が挙げられたそうです。
すなわち,多摩支部の会員資格を事務所会員に限定すると,東京23区内に事務所を持つ会員は東京23区内の法律相談しか担当できない一方,多摩地域に事務所を持つ会員は多摩地域の法律相談も担当でき,東京23区内の法律相談も担当できることになって不公平だというわけです。もともと,弁護士会の法律相談は「公益活動」という建前になっているのですが,東京ではこれが「会員の事件獲得手段」と認識されるようになって久しく,だからこそこのような意見が出てくるわけですが・・・。
そこで,多摩地域の会員は東京23区内の法律相談を担当できなくするといった「棲み分け論」も浮上したのですが,これは一弁・二弁とも共同歩調を取る必要があるなどの理由で今回は実現せず,会員資格限定のみを先行して実施するという提案内容になっています。
3 多摩支部と新進会員活動委員会の論争
今回の議案をめぐっては,提案者である多摩支部と,提案に強く反対する新進会員活動委員会の主張が掲載され,両者が激しい論戦を繰り広げているのが分かりますが,まずは多摩支部側の主張を見ていきます。
<多摩支部側の主張(要旨)>
1 平成24年4月1日現在における東京三会の会員数は15,271名というものであって,周知のとおり司法制度改革により合格者が増員され,増員分の多くが弁護士になり,かつその多くが東京三会に吸収されている状況にある。いわば若手会員があふれかえっているというのが現状であろう。そのような急激に増えた若手会員の業務対策として多摩地域の法律相談担当を論ずるというのは,そもそもの論として支部のあり方という観点を全く捨象したものであって,基本的に異見というべきものである。
2 平成23年度における,23区内の法律相談件数は約19,500件(前年比21%減)であるのに対し,多摩地域の法律相談件数は約3500件(前年比21%減)しかない。数字的に見ても,多摩地域の法律相談に23区内の若手会員が群がっても,業務対策の用をなさないということは容易に見てとれる。
3 地域の法律相談はその地域に事務所を置く弁護士によるのがいいということは,法律相談利用者の立場からすればごく当然のことであり,アンケートでも6割以上の者は相談した案件を弁護士に依頼するとすれば近い事務所の弁護士にと考えていることが分かる。若手会員の業務対策の観点から,23区内に事務所をおく若手会員に多摩地域の法律相談担当をとの反対論は,多摩地域の住民の立場を考慮しない論である。
以上に対し,新進会員活動委員会は以下のような反論をしています。
<新進会員活動委員会側の主張(要旨)>
1 多摩支部の本庁化・本会化の実現については未だ不透明であるのに対し,昨今の若手弁護士の経済状況の悪化については,改めて述べるまでもありません。その中で,法律相談の機会を増やすために,切実な思いで各種法律相談名簿に登録し,少しでも受任事件を増やそうとしている若手弁護士が数多く存在します。そして,事務所が23区内である者であっても,多摩支部に登録し,多摩地域の法律相談を精力的にこなしている者も多くいます。今般の登録資格制限の要望は,このような若手弁護士(及び今後新規登録しようとする弁護士)から,法律相談の機会を奪うものであり,当委員会としては積極的に捉えることはできません。
2 弁護士会の法律相談センターの相談件数が近年急激に減少し,もはや法律相談が収入としてそれほど当てにできない状態であることは認識しております。その中で,多摩の法律相談枠がどれほどの意味を持つのかという意見もあろうかと思います。しかしながら,現実に多摩の法律相談を事件獲得の機会の1つとして期待している若手がいる以上,収入の柱とはなりえない年数回程度の法律相談であっても,軽く考えることはできません。意欲のある者は,できるだけ多く法律相談の機会を得られることが望ましいと考えます。また,法律相談の割当は,現状では非常にデリケートな問題であり,同じ東京弁護士会でありながら,23区内と多摩支部で割当数の格差が生じるおそれのある制度には慎重であるべきです。
3 法律相談利用者の場所的な利便性の観点から,地域による棲み分け論が主張されていますが,東京都内の交通網を考えれば,本質的な論拠とはなりえません。同じ23区内であっても,例えば,北千住法律相談センターで相談を受けた相談者が,新宿に事務所がある弁護士に依頼するような場合であれば,立川での相談の場合とさして違いがあるとは思えません。
黒猫としては,どちらの言い分に理があるかという結論は敢えて書きませんが,このような論争が生じるのは,東京では弁護士会のあり方をめぐる理念と現実がどれだけかけ離れているか,若手会員とベテラン会員との世代間ギャップがどれだけものすごいことになっているか,ということを示す一例であろうと思います。
※ 3月9日 会名表記に一部誤りがありましたので,記事を修正しました。
これに対し,日本最大の単位会である東京弁護士会では,駅弁大学院と揶揄されるほどに法科大学院が濫立している地域という事情もあってか,そのような決議を出すことは表向き話題にものぼりません。3月13日の臨時総会で議論されるのは,一見法曹養成制度とは何の関係もなさそうな「多摩支部」に関する問題ですが,議案に関する説明をよく読むと,ここにも法曹人口問題の深刻な影響が見て取れます。
1 「多摩支部」とは?
東京弁護士会と第二東京弁護士会は,東京都のうち23区以外の地域を管轄する支部として「多摩支部」を置いていますが,他の弁護士会の支部と違うのは,多摩支部の区域内に事務所を有しなくても支部会員として登録できる一方,事務所が多摩支部の区域内にあっても支部会員として登録することは義務づけられていない,という仕組みになっているところですが,このような仕組みになった背景には,多摩支部の設立に係る複雑な背景事情があります。
多摩支部は,三多摩弁護士クラブという任意団体を設立母体として平成10年に設立されたものですが,このクラブはもともと東京地裁八王子支部(当時)の国選弁護を担当する受け皿として,多摩地域に事務所を置く弁護士や多摩地域に住所のある弁護士たちが,所属本会を横断して組織・運営されていたものであり,当時は多摩地域に事務所を置く会員(事務所会員)が少なかったことから,会員資格を事務所会員に限定してしまうと,支部として十分なリーガルサービスを提供できないという問題がありました。
そして,弁護士の中には自宅をいわゆる第二事務所として業務に活用している人も少なくないため,例えば事務所は東京23宮内にあっても,多摩地域に自宅がある弁護士であれば多摩地域の仕事もできるだろう,いや多摩地域内に自宅がなくても,例えば神奈川県の相模原市や川崎市の西部,横浜市の北西部に自宅がある人も同様ではないか,といった議論があったらしく,結局東京都内に事務所を持つ会員は,希望すれば誰でも多摩支部の会員になれるという制度に落ち着いたわけです。
なお,東京三会のうち第一東京弁護士会は,正式には多摩支部を置いておらず,後述する多摩支部の法律相談についても,東弁と二弁では多摩支部の会員しか法律相談名簿に登録できないものとされている一方,一弁ではそのような制限はありません。
2 「多摩支部」の会員資格限定問題
ところが,近時の司法制度改革に伴い,多摩支部の会員数も激増しました。多摩支部が設立された平成10年度の会員数は東京三会合計で458名であったところ,平成23年度末の数字では,これが1292名にまで激増しています。このうち,多摩地域に事務所を持つ会員(事務所会員)は東京三会合計で382名となっており,会員の三分の二以上が多摩地域に事務所を持たない会員(非事務所会員)で構成されているわけですが,非事務所会員の各委員会への参加状況や総会出席状況は非常に悪いらしく,非事務所会員が多摩支部に加入している動機は,要するに多摩支部(町田,八王子,立川)の法律相談担当を受任したいということに他ならないだろう,という話になったようです。
そして,多摩支部は東京地裁立川支部の本庁化を見据えて,将来的には東京三会から独立した弁護士会を設立するための活動を続けています。現時点における多摩支部の事務所会員382名という数字は,仙台弁護士会の会員数(360名)を上回っており,多摩地域内に事務所を置いているが多摩支部に加入していない会員数を含めれば500人前後になるということで,既に独立した単位会を構成するには十分と思われる人数が揃っているわけですが,会務活動を支えるには必要不可欠な各委員会や総会への参加状況は,非事務所会員のみならず事務所会員も相当悪いらしいです。
そこで,既に第二東京弁護士会では,多摩支部への加入資格を事務所会員に限定する制度改正が行われており,東弁でも同様の改正を行い,多摩支部への加入資格を事務所会員に限定することで,大都市圏の弁護士にありがちな「誰かがやってくれる」という甘えを払拭し,会員の支部への帰属意識を高めるべきだといった内容の提案がなされ,それが3月13日に行われる臨時総会の主な議題となっています。
黒猫としては,弁護士の会務離れは法曹人口の激増による経済的余力の低下と弁護士会の求心力低下が原因であり,多摩支部の会員資格を事務所会員に限定したところで問題が解決するとは思えないのですが,その問題はひとまず措くとして,理事者会がこの議案に対する意見を関連委員会や各会派に照会したところ,複数の委員会から反対論が挙がり,しかもその理由の中核に法律相談担当の問題が挙げられたそうです。
すなわち,多摩支部の会員資格を事務所会員に限定すると,東京23区内に事務所を持つ会員は東京23区内の法律相談しか担当できない一方,多摩地域に事務所を持つ会員は多摩地域の法律相談も担当でき,東京23区内の法律相談も担当できることになって不公平だというわけです。もともと,弁護士会の法律相談は「公益活動」という建前になっているのですが,東京ではこれが「会員の事件獲得手段」と認識されるようになって久しく,だからこそこのような意見が出てくるわけですが・・・。
そこで,多摩地域の会員は東京23区内の法律相談を担当できなくするといった「棲み分け論」も浮上したのですが,これは一弁・二弁とも共同歩調を取る必要があるなどの理由で今回は実現せず,会員資格限定のみを先行して実施するという提案内容になっています。
3 多摩支部と新進会員活動委員会の論争
今回の議案をめぐっては,提案者である多摩支部と,提案に強く反対する新進会員活動委員会の主張が掲載され,両者が激しい論戦を繰り広げているのが分かりますが,まずは多摩支部側の主張を見ていきます。
<多摩支部側の主張(要旨)>
1 平成24年4月1日現在における東京三会の会員数は15,271名というものであって,周知のとおり司法制度改革により合格者が増員され,増員分の多くが弁護士になり,かつその多くが東京三会に吸収されている状況にある。いわば若手会員があふれかえっているというのが現状であろう。そのような急激に増えた若手会員の業務対策として多摩地域の法律相談担当を論ずるというのは,そもそもの論として支部のあり方という観点を全く捨象したものであって,基本的に異見というべきものである。
2 平成23年度における,23区内の法律相談件数は約19,500件(前年比21%減)であるのに対し,多摩地域の法律相談件数は約3500件(前年比21%減)しかない。数字的に見ても,多摩地域の法律相談に23区内の若手会員が群がっても,業務対策の用をなさないということは容易に見てとれる。
3 地域の法律相談はその地域に事務所を置く弁護士によるのがいいということは,法律相談利用者の立場からすればごく当然のことであり,アンケートでも6割以上の者は相談した案件を弁護士に依頼するとすれば近い事務所の弁護士にと考えていることが分かる。若手会員の業務対策の観点から,23区内に事務所をおく若手会員に多摩地域の法律相談担当をとの反対論は,多摩地域の住民の立場を考慮しない論である。
以上に対し,新進会員活動委員会は以下のような反論をしています。
<新進会員活動委員会側の主張(要旨)>
1 多摩支部の本庁化・本会化の実現については未だ不透明であるのに対し,昨今の若手弁護士の経済状況の悪化については,改めて述べるまでもありません。その中で,法律相談の機会を増やすために,切実な思いで各種法律相談名簿に登録し,少しでも受任事件を増やそうとしている若手弁護士が数多く存在します。そして,事務所が23区内である者であっても,多摩支部に登録し,多摩地域の法律相談を精力的にこなしている者も多くいます。今般の登録資格制限の要望は,このような若手弁護士(及び今後新規登録しようとする弁護士)から,法律相談の機会を奪うものであり,当委員会としては積極的に捉えることはできません。
2 弁護士会の法律相談センターの相談件数が近年急激に減少し,もはや法律相談が収入としてそれほど当てにできない状態であることは認識しております。その中で,多摩の法律相談枠がどれほどの意味を持つのかという意見もあろうかと思います。しかしながら,現実に多摩の法律相談を事件獲得の機会の1つとして期待している若手がいる以上,収入の柱とはなりえない年数回程度の法律相談であっても,軽く考えることはできません。意欲のある者は,できるだけ多く法律相談の機会を得られることが望ましいと考えます。また,法律相談の割当は,現状では非常にデリケートな問題であり,同じ東京弁護士会でありながら,23区内と多摩支部で割当数の格差が生じるおそれのある制度には慎重であるべきです。
3 法律相談利用者の場所的な利便性の観点から,地域による棲み分け論が主張されていますが,東京都内の交通網を考えれば,本質的な論拠とはなりえません。同じ23区内であっても,例えば,北千住法律相談センターで相談を受けた相談者が,新宿に事務所がある弁護士に依頼するような場合であれば,立川での相談の場合とさして違いがあるとは思えません。
黒猫としては,どちらの言い分に理があるかという結論は敢えて書きませんが,このような論争が生じるのは,東京では弁護士会のあり方をめぐる理念と現実がどれだけかけ離れているか,若手会員とベテラン会員との世代間ギャップがどれだけものすごいことになっているか,ということを示す一例であろうと思います。
※ 3月9日 会名表記に一部誤りがありましたので,記事を修正しました。
これだけむちゃくちゃされて黙っている会員はどMの集団ですかね?
多摩支部の独立?良いじゃないですか。会長選挙の派閥統制が及ばない地方単位会が出来るのは好ましくないんでしょうけど。派閥自体もう落ちぶれているんでしょうから。
ブログ主さんも実際に登録している弁護士なのでしょうから、正確に表記しましょう。
本論と外れたところで気勢をそぐようなコメントを出すのは、やはり推進派の人だからでしょうか?
このようなわが国の文化を無視し、政府の横暴な司法制度改革の実態を暴露し、若者は予備試験に殺到している現実を報道するよう、某公共放送局に伝えておきました
「みんな私に協力してくれないか、社会の隅々まで、法の支配を行き渡せるにはロースクールだ」(司法制度改革審議会委員長/佐藤幸治氏の発言)
十分、この国は、法と道徳が根付いていますよ。
毎年3000人から4000人の合格者を輩出させている行政書士試験や社会保険労務士試験に合格したからといって、その合格者の全員が登録するわけではなく、開業を目指している者はその一部であろうし、実際に開業する者は一握りである。
また、これらの資格試験は正しい方法できちんと勉強すれば、法律初学者であっても働きながら1年程度で合格することが十分可能であることを考えると、たとえ登録・開業を目指していたが断念する、という結果に陥っても、人生をそれほど狂わせるようなこともないはずだ。
しかし、司法試験については、取得するための労力やコスト、社会的地位を考えると、官庁就職組を除いてほぼ全員が、当然に弁護士としての道を目指すこととなる。
つまり、合格者の内、ある程度の合格者が単なるペーパーライセンス所持者となる他の法律中堅国家資格と、ほぼ全員が弁護士を目指す司法試験とでは、合格者を増加させることによる質や市場へのインパクトは、全く異なるということを指摘したい。
他の法律中堅国家資格とは受験者の事情が異なる司法試験において、3倍を超える合格者増となっている新制度によって、弁護士業の質と市場へ計り知れないインパクトを与えていることを、司法制度改革を進める学者や政府は果たして理解しているのだろうか?
こういう上から目線だから、たとえ正論でも国民から色眼鏡で見られるんだよ。
都合が悪くなったら、上から目線扱いして、足を引っ張ろうとするから、日本では専門家がそだてられられなくなったんだろうな。空気を読み機嫌を取る、耳触りの良いことをいう事なかれ主義者、世論とか国民という名を騙ったわがまま暴君のイエスマンだけが生き残ることになったのでは。
社会的コストに過ぎないと思うが、
>しかし、司法試験については、取得するための労力やコスト、社会的地位を考えると、
その分簡単になったろ・・(金銭のコストは増えたものの合格率は
その分急上昇してるしね)。
ここまで来たら、法科大学院などの参入障壁はすべて取っ払って、とことん低コストにすればたとえ効用が下がっても人材が入ってくると思いますね。たとえ「社会的地位」が下がっても。
どうせ今さら合格者を減らしても状況は変わらないんで市から、せめて費用対効果のあう試験にしてほいです。