『僕は依頼者が少ない』の第2話です。
<これまでのお話>
第1話(1)http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/28f70d976fc13c6b33d4945f26898f45
第1話(2)http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/53a59ce7a7cc5e49dd04f21bc90c456c
第1話(3)http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/3decfd1ee39e9fc5174e61da3c4b7c04
第1話(4)http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/ffebf599e215af2b18d62f563a3f20d0
「いらっしゃいませ~」
今日は,自宅の近くにあるコンビニ『RAWSON』でアルバイト中である。今日のシフトは午後4時までなので,終わったら弁護士会館で隣人部(?)の設立集会に行くことになる。
コンビニの仕事は結構忙しい。レジ打ちや接客,商品の陳列などが主な仕事だが,宅急便や代行収納(コンビニ振込み),年賀状印刷,バイク自賠責保険加入,チケット発券,ギフト予約,クリーニング取次ぎなどいろんな仕事を扱っているので,覚えるまでは大変だ。特に,タバコの種類を覚えるには結構苦労した。
お客様への挨拶も欠かしてはならない。時には妙に絡まれることもあるけど,そういうときは毅然と対処しなければいけない。
「はい,合計で385円になります。ありがとうございました~」
なぜ,弁護士なのにコンビニでアルバイトしているのか。それは愚問だろう。
即独で依頼者が集まる見込みもなく,弁護士会の会費や法科大学院時代の借金も返済しなければならない。そのような状況なのに弁護士業だけで食べていけるか。答えはもちろんNoである。
この店は,僕の大学生時代からアルバイトで働かせてもらっている。
法科大学院生時代にもアルバイトで働かせてもらった。
弁護士になってもアルバイトで働いている。
・・・・・・一体,このアルバイト生活から脱却できる日が来るのだろうか。
忙しい仕事の中でふとそんな思いにかられている間に,僕のシフト時間が終わった。
「お疲れ様,甲野くん。また明日頼むよ」
「はい,お疲れ様でした」
店長さんに挨拶し,自宅に戻ってスーツに着替えた後,弁護士会館に向かう。
たしか,今日は設立集会とか言ってたな。あんなポスターを見て,部員になろうなんて人はいるのだろうか。
こうして,隣人部のポスター貼った翌日の午後,僕は隣人部の設立集会を行うという,弁護士会館の面談室を訪れた。
先に到着していた三日月さん,いや京香は,パイプ椅子にふんぞり返ってふてぶてしい笑みを浮かべている。
「いよいよ,今日から本格的に活動開始だ」
「具体的な活動内容を決める活動をだね」
僕は,未だにこの部で具体的に何をすればいいのか,明確なビジョンがまったく想像できない。
・・・・・・そもそもこんな部に入ってしまって本当に良かったかどうかも疑問だ。なにしろ,弁護士業務のスタートが遅れるにつれ,無事に就職できた人との差は開く一方だ。弁護士会の会費は年々高くなり,5年後には最高裁からの修習資金返還も始まる。もちろん奨学金の返済もある。転職するにも,年を取れば取るほど不利だ。
それを考えると,やはり5年間頑張っても道が開けなければ,弁護士廃業を決断せざるを得ない。僕に残された時間はそれほど長くないのである。
僕のそんな思いをよそに,
「私は上辺だけの友達がいればいいから,部員さえ集まってくれればいいんだ。つまり,昨日の時点でやるべきことはやったということだな」
三日月さんは満足げだった。
「・・・・・・どう考えても,あのポスターを見て入部しようとする人がいるとは思えないんだけど」
ついでに言えば,この面談室は弁護士が依頼者等との面談等に使うところである。予約は京香の方で取ったらしいが,僕や京香を含めて4人くらい入れる広さでしかない。椅子も4つだけ。おまけにポスターを貼ってから,設立集会まで1日しかないせっかちぶり。ポスターの出来を差し置いても,そもそも本気で部員を集めようと考えているのだろうか。
「まだそんなことを言っているのか? あのポスターに釣られて,今にも依頼者探しに苦労している寂しい子羊どもが迷い込んでくるに決まっている」
「その自信はどこから出てくるんだ?」
今更のことながら,僕には三日月さんの考えることが全く理解できなかった。
・・・・・・コンコン。
面談室の扉がノックされた。
「「・・・・・・!」」
僕と京香は思わず顔を見合わせた。
「どうやら早くも新入部員が現れたようだな」
京香が勝ち誇った声で言う。
「・・・・・・まさか。たぶん事務局の人とかだよ」
僕と京香は二人して立ち上がり,面談室の扉を開いた。
面談室の前には,若いスーツ姿の女性が立っていた。バッジを付けているので,この女性も弁護士さんらしい。
日本人離れした金髪碧眼で,ちょっとだけ目がきつい印象もあるが,顔立ちはやたら整っており,どことなく気品が感じられる。スタイルの良さはスーツの上からも分かるほどで,細身なのに胸の大きさは申し分ない。
顔は良くても鬱っぽい表情や仕草で台無しにしている京香に比べると,華やかさが段違いで,まさに掛け値無しの美女である。
「隣人部はここね? 入部したいんだけど」
「違う」
ばたん!
がちゃん!
京香は,女性の問いに即答すると,同時にドアを閉めて鍵を掛けてしまった。
「えええ!? ちょっと,京香!?」
狼狽する僕を尻目に,京香は何事もなかったかのように椅子へと戻る。
「さて,部活を始めるか」
「いや待ってよ! 今の人,入部希望者じゃないの? しかも同年代くらいだから,京香の友達にぴったりじゃない」
「ははは,何言ってんだろうな,あの底辺太郎は。同性の友達ならもういるのにな,イリちゃん」
うっかり惚れてしまいそうな笑顔を浮かべて,京香はエア依頼者と話し始めてしまう。
・・・・・・ところで,底辺太郎というのは何だ。もしかして,僕の司法試験の成績を知っているのか?
一方,先程の女性はドンドンとドアを叩き続けている。
「開けなさいよ!」とか怒鳴り声も聞こえてくる。かなり大きい声なので,他の面談室の利用者に迷惑がかからないかどうか心配だ。
僕が「開けてあげたら?」と言おうとした瞬間,京香は煩わしげに立ち上がり,再びドアを開いた。
「ちょっと,なんで閉めるのよ! あたしは入部・・・・・・」
「リア充は死ね!」
ばたん!
がちゃん!
・・・・・・ヒロインが言ってはいけない類の発言をして,京香はまたドアを閉めてしまった。
ドアの向こうにいる女性の唖然とした顔が少しだけ見えた。
再び椅子に座り直した京香に,僕は尋ねた。
「ねえ,もしかしてあの人と知り合いなの?」
「知り合いではない。顔と名前は知っているけど喋ったことはないからな」
「どんな人なの?」
「司法修習で3組に所属していた,刈羽崎聖菜(かりわざき・せいな)だ。東京弁護士会会長の一人娘で,いつも男子修習生にちやほやされている,お嬢様気取りのいけ好かない奴だ」
「へえ,あれがそうなのか・・・・・・」
名前は知らなかったけど,別のクラスにものすごい美人で,男子から信奉の対象にされている修習生がいるという話は,僕も聞いたことがあった。
「・・・・・・あんな金髪の娘だとは思ってなかったな」
僕がぽつりと呟くと,京香はギロリと僕を睨んだ。
「金髪が何だと言うんだ。まったく,男は金髪巨乳とくればすぐにデレデレと鼻の下を伸ばす。いやらしい」
「べ,別にそんなわけじゃ・・・・・・」
「あの派手な見てくれの上,スポーツ万能成績優秀,司法試験も二回試験の成績も一位。なんだこのリア充は! 死ねばいいのに!」
京香はそう叫びながら,ガンとテーブルを叩いた。
ちなみに「リア充」とは,「リアルが充実している人」の略語であり,ライトノベルなどでは友達の多い人や恋人のいる人を指すことが多いが,三日月さんの言う「リア充」とは,要するに弁護士として恵まれた環境にいる人のことである。
「な,なんで怒ってるの? そんなすごい人と一緒に部活が出来るなら,僕としてはむしろ光栄だと思うけど・・・・・・」
「はあ? 本気でそう言っているのか?」
そう言う京香の目はマジだった。下手に反抗すると殺されかねない。
「・・・・・・まあ光栄は言い過ぎだとしても,素直にすごいなあとは思うよ」
「同世代の人間が充実した青春を送っているのを見ると,無性にムカムカしてこないか」
「・・・・・・いや,そこまでは・・・・・・」
やっぱり駄目だこの人・・・・・・。
「ふん。とにかく,あんなリア充女がこんな部に入部するはずがない。どうせ冷やかしに来たに決まっている。性悪女のやりそうなことだ」
「こんな部とか自分で言っちゃうの・・・・・・?」
とは言え,たしかにそんな女性なら,間違いなく親の事務所か,そうでなくても大手事務所とかに余裕で就職決めてそうだから,本気でウチに入部するはずはないよね。
・・・・・・と思っていたのだが,既に立ち去ったと思っていた刈羽崎さんは,再びドンドンとドアを叩き始めた。
それだけでなく,ドアの窓に顔をくっつけて,ゾンビのような顔でこちらを覗いている。
「なんだあれ・・・・・・こわ・・・・・・」
若干引きつつ,京香は仕方なくドアを開けた。
「なんでそんな意地悪するのよ! このあたしが入部してあげるって言ってるのに!」
「冷やかしならお断りだ」
京香は再びドアを閉めようとしたが,刈羽崎さんはギリギリとドアを押しながらさらに続ける。
「冷やかしじゃないわよ! いっしょに依頼者探そうってポスター見て来たんだから!」
京香がびく,と眉を動かして,ドアから手を放した。
「あたしも依頼者が必要なのよ!」
ドアを全開にし,刈羽崎さんが叫ぶ。その顔は涙目になっていた。
「よく分からないけど,なんか事情があるみたいだよ。一応入れて上げたら?」
「・・・・・・」
僕が京香に耳打ちすると,京香は「ちっ」と舌打ちしつつ,ようやく彼女を室内に上げた。
(続く)
<これまでのお話>
第1話(1)http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/28f70d976fc13c6b33d4945f26898f45
第1話(2)http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/53a59ce7a7cc5e49dd04f21bc90c456c
第1話(3)http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/3decfd1ee39e9fc5174e61da3c4b7c04
第1話(4)http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/ffebf599e215af2b18d62f563a3f20d0
「いらっしゃいませ~」
今日は,自宅の近くにあるコンビニ『RAWSON』でアルバイト中である。今日のシフトは午後4時までなので,終わったら弁護士会館で隣人部(?)の設立集会に行くことになる。
コンビニの仕事は結構忙しい。レジ打ちや接客,商品の陳列などが主な仕事だが,宅急便や代行収納(コンビニ振込み),年賀状印刷,バイク自賠責保険加入,チケット発券,ギフト予約,クリーニング取次ぎなどいろんな仕事を扱っているので,覚えるまでは大変だ。特に,タバコの種類を覚えるには結構苦労した。
お客様への挨拶も欠かしてはならない。時には妙に絡まれることもあるけど,そういうときは毅然と対処しなければいけない。
「はい,合計で385円になります。ありがとうございました~」
なぜ,弁護士なのにコンビニでアルバイトしているのか。それは愚問だろう。
即独で依頼者が集まる見込みもなく,弁護士会の会費や法科大学院時代の借金も返済しなければならない。そのような状況なのに弁護士業だけで食べていけるか。答えはもちろんNoである。
この店は,僕の大学生時代からアルバイトで働かせてもらっている。
法科大学院生時代にもアルバイトで働かせてもらった。
弁護士になってもアルバイトで働いている。
・・・・・・一体,このアルバイト生活から脱却できる日が来るのだろうか。
忙しい仕事の中でふとそんな思いにかられている間に,僕のシフト時間が終わった。
「お疲れ様,甲野くん。また明日頼むよ」
「はい,お疲れ様でした」
店長さんに挨拶し,自宅に戻ってスーツに着替えた後,弁護士会館に向かう。
たしか,今日は設立集会とか言ってたな。あんなポスターを見て,部員になろうなんて人はいるのだろうか。
こうして,隣人部のポスター貼った翌日の午後,僕は隣人部の設立集会を行うという,弁護士会館の面談室を訪れた。
先に到着していた三日月さん,いや京香は,パイプ椅子にふんぞり返ってふてぶてしい笑みを浮かべている。
「いよいよ,今日から本格的に活動開始だ」
「具体的な活動内容を決める活動をだね」
僕は,未だにこの部で具体的に何をすればいいのか,明確なビジョンがまったく想像できない。
・・・・・・そもそもこんな部に入ってしまって本当に良かったかどうかも疑問だ。なにしろ,弁護士業務のスタートが遅れるにつれ,無事に就職できた人との差は開く一方だ。弁護士会の会費は年々高くなり,5年後には最高裁からの修習資金返還も始まる。もちろん奨学金の返済もある。転職するにも,年を取れば取るほど不利だ。
それを考えると,やはり5年間頑張っても道が開けなければ,弁護士廃業を決断せざるを得ない。僕に残された時間はそれほど長くないのである。
僕のそんな思いをよそに,
「私は上辺だけの友達がいればいいから,部員さえ集まってくれればいいんだ。つまり,昨日の時点でやるべきことはやったということだな」
三日月さんは満足げだった。
「・・・・・・どう考えても,あのポスターを見て入部しようとする人がいるとは思えないんだけど」
ついでに言えば,この面談室は弁護士が依頼者等との面談等に使うところである。予約は京香の方で取ったらしいが,僕や京香を含めて4人くらい入れる広さでしかない。椅子も4つだけ。おまけにポスターを貼ってから,設立集会まで1日しかないせっかちぶり。ポスターの出来を差し置いても,そもそも本気で部員を集めようと考えているのだろうか。
「まだそんなことを言っているのか? あのポスターに釣られて,今にも依頼者探しに苦労している寂しい子羊どもが迷い込んでくるに決まっている」
「その自信はどこから出てくるんだ?」
今更のことながら,僕には三日月さんの考えることが全く理解できなかった。
・・・・・・コンコン。
面談室の扉がノックされた。
「「・・・・・・!」」
僕と京香は思わず顔を見合わせた。
「どうやら早くも新入部員が現れたようだな」
京香が勝ち誇った声で言う。
「・・・・・・まさか。たぶん事務局の人とかだよ」
僕と京香は二人して立ち上がり,面談室の扉を開いた。
面談室の前には,若いスーツ姿の女性が立っていた。バッジを付けているので,この女性も弁護士さんらしい。
日本人離れした金髪碧眼で,ちょっとだけ目がきつい印象もあるが,顔立ちはやたら整っており,どことなく気品が感じられる。スタイルの良さはスーツの上からも分かるほどで,細身なのに胸の大きさは申し分ない。
顔は良くても鬱っぽい表情や仕草で台無しにしている京香に比べると,華やかさが段違いで,まさに掛け値無しの美女である。
「隣人部はここね? 入部したいんだけど」
「違う」
ばたん!
がちゃん!
京香は,女性の問いに即答すると,同時にドアを閉めて鍵を掛けてしまった。
「えええ!? ちょっと,京香!?」
狼狽する僕を尻目に,京香は何事もなかったかのように椅子へと戻る。
「さて,部活を始めるか」
「いや待ってよ! 今の人,入部希望者じゃないの? しかも同年代くらいだから,京香の友達にぴったりじゃない」
「ははは,何言ってんだろうな,あの底辺太郎は。同性の友達ならもういるのにな,イリちゃん」
うっかり惚れてしまいそうな笑顔を浮かべて,京香はエア依頼者と話し始めてしまう。
・・・・・・ところで,底辺太郎というのは何だ。もしかして,僕の司法試験の成績を知っているのか?
一方,先程の女性はドンドンとドアを叩き続けている。
「開けなさいよ!」とか怒鳴り声も聞こえてくる。かなり大きい声なので,他の面談室の利用者に迷惑がかからないかどうか心配だ。
僕が「開けてあげたら?」と言おうとした瞬間,京香は煩わしげに立ち上がり,再びドアを開いた。
「ちょっと,なんで閉めるのよ! あたしは入部・・・・・・」
「リア充は死ね!」
ばたん!
がちゃん!
・・・・・・ヒロインが言ってはいけない類の発言をして,京香はまたドアを閉めてしまった。
ドアの向こうにいる女性の唖然とした顔が少しだけ見えた。
再び椅子に座り直した京香に,僕は尋ねた。
「ねえ,もしかしてあの人と知り合いなの?」
「知り合いではない。顔と名前は知っているけど喋ったことはないからな」
「どんな人なの?」
「司法修習で3組に所属していた,刈羽崎聖菜(かりわざき・せいな)だ。東京弁護士会会長の一人娘で,いつも男子修習生にちやほやされている,お嬢様気取りのいけ好かない奴だ」
「へえ,あれがそうなのか・・・・・・」
名前は知らなかったけど,別のクラスにものすごい美人で,男子から信奉の対象にされている修習生がいるという話は,僕も聞いたことがあった。
「・・・・・・あんな金髪の娘だとは思ってなかったな」
僕がぽつりと呟くと,京香はギロリと僕を睨んだ。
「金髪が何だと言うんだ。まったく,男は金髪巨乳とくればすぐにデレデレと鼻の下を伸ばす。いやらしい」
「べ,別にそんなわけじゃ・・・・・・」
「あの派手な見てくれの上,スポーツ万能成績優秀,司法試験も二回試験の成績も一位。なんだこのリア充は! 死ねばいいのに!」
京香はそう叫びながら,ガンとテーブルを叩いた。
ちなみに「リア充」とは,「リアルが充実している人」の略語であり,ライトノベルなどでは友達の多い人や恋人のいる人を指すことが多いが,三日月さんの言う「リア充」とは,要するに弁護士として恵まれた環境にいる人のことである。
「な,なんで怒ってるの? そんなすごい人と一緒に部活が出来るなら,僕としてはむしろ光栄だと思うけど・・・・・・」
「はあ? 本気でそう言っているのか?」
そう言う京香の目はマジだった。下手に反抗すると殺されかねない。
「・・・・・・まあ光栄は言い過ぎだとしても,素直にすごいなあとは思うよ」
「同世代の人間が充実した青春を送っているのを見ると,無性にムカムカしてこないか」
「・・・・・・いや,そこまでは・・・・・・」
やっぱり駄目だこの人・・・・・・。
「ふん。とにかく,あんなリア充女がこんな部に入部するはずがない。どうせ冷やかしに来たに決まっている。性悪女のやりそうなことだ」
「こんな部とか自分で言っちゃうの・・・・・・?」
とは言え,たしかにそんな女性なら,間違いなく親の事務所か,そうでなくても大手事務所とかに余裕で就職決めてそうだから,本気でウチに入部するはずはないよね。
・・・・・・と思っていたのだが,既に立ち去ったと思っていた刈羽崎さんは,再びドンドンとドアを叩き始めた。
それだけでなく,ドアの窓に顔をくっつけて,ゾンビのような顔でこちらを覗いている。
「なんだあれ・・・・・・こわ・・・・・・」
若干引きつつ,京香は仕方なくドアを開けた。
「なんでそんな意地悪するのよ! このあたしが入部してあげるって言ってるのに!」
「冷やかしならお断りだ」
京香は再びドアを閉めようとしたが,刈羽崎さんはギリギリとドアを押しながらさらに続ける。
「冷やかしじゃないわよ! いっしょに依頼者探そうってポスター見て来たんだから!」
京香がびく,と眉を動かして,ドアから手を放した。
「あたしも依頼者が必要なのよ!」
ドアを全開にし,刈羽崎さんが叫ぶ。その顔は涙目になっていた。
「よく分からないけど,なんか事情があるみたいだよ。一応入れて上げたら?」
「・・・・・・」
僕が京香に耳打ちすると,京香は「ちっ」と舌打ちしつつ,ようやく彼女を室内に上げた。
(続く)
だんだん笑えなくなってきたな。
いやほんとに。
弁護士がコンビニでバイトする時代なのか
昔、こち亀でコンビニの店内ブースに法律相談窓口を構えるとかいうネタがあったけど、そんな展開も冗談ではなくなりそうなんだな。
しかし、ハーレムものの様相を呈してきましたね。
しかもツンデレ高飛車キャラが2名と。私みたいなMにはたまりませんね。
弁護士を主人公にした恋愛シミュレーションゲームとかあったら、一部の人には需要ありそうですね
・他事務所の女性弁護士(受験時代からの知り合い)
・事務所の女性事務員(主人公よりも手続に詳しい)
・事務所のバイトの女の子(ちょぴりドジ)
・一定の事件を受任すると出会う女性検察官(転勤イベントあり)
・一定の事件を受任すると出会う女性裁判官(転勤イベントあり)
・依頼者(バツイチ)
隠れキャラとして夫が服役中の刑事被告人の妻
勝訴すると各女性キャラの好感度アップ(回収額の高さに比例)
各キャラによって、民事・家事・刑事のどの部門に強くなるかで好感度の上がり具合に違いがある。
敗訴すると好感度ダウン。懲戒請求されると一気にダウン。
エンディングは女性裁判官ルートだと、判決言い渡しが主人公への逆プロポーズになっている