会社法施行規則について,弁護士会で以下のようなことが問題になっていました。
会社法2条3号・4号では,子会社と親会社の定義を以下のように定めています。
三 子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
四 親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
そして,上記規定を受けた会社法施行規則(案)第3条では,子会社と親会社の定義について以下のように定められています。
第3条 法第二条第三号に規定する法務省令で定めるものは、同号に規定する会社が他の会社等(会社(外国会社を含む。)、組合(外国における組合に相当するものを含む。)その他これらに準ずる事業体をいう。以下この条において同じ。)の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該他の会社等とする。
2 法第二条第四号に規定する法務省令で定めるものは、会社等が同号に規定する株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該会社等とする。
(以下略)
この規定を見ると,会社法では会社の定義として「法人」と言っているのに,その下の規則では組合や「これらに準ずる事業体」まで子会社の範囲に含めてしまっており,規則の内容が法律による委任の範囲を超えているのではないか,ということが大問題になりました。
ただ,この規定で「問題はない」という意見の先生もおり,そのご趣旨は「会社法の規定では「~法人として」法務省令で定めるものとされているから,これは法人の定義も規則で定められるという趣旨であり,その法人の定義が民法上の法人と同じである必要はない。」というものでした。
しかし,この論理を敷衍すると,たとえば法務省令で定めさえすれば,社会通念上およそ「法人」とはいえないもの,極端なことをいえば黒猫を法人の定義に含めることさえできる,ということになってしまわないでしょうか。条文上「法人として」と書いてあっても,それに基づく省令の制定権の範囲には自ずと限界があるような気がするのですが。
このブログを読んでいる法科大学院生のみなさん,憲法論の問題としてこの法務省令は適法だと思いますか?
弁護士会ではこのほかにも,事業報告書の記載事項として「監査役または監査委員が財務及び会計に関する相当程度の知見を有しているものであるときは,その事実」という規定(施行規則77条3項7号)にも批判が集中していました。
会社法2条3号・4号では,子会社と親会社の定義を以下のように定めています。
三 子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
四 親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
そして,上記規定を受けた会社法施行規則(案)第3条では,子会社と親会社の定義について以下のように定められています。
第3条 法第二条第三号に規定する法務省令で定めるものは、同号に規定する会社が他の会社等(会社(外国会社を含む。)、組合(外国における組合に相当するものを含む。)その他これらに準ずる事業体をいう。以下この条において同じ。)の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該他の会社等とする。
2 法第二条第四号に規定する法務省令で定めるものは、会社等が同号に規定する株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該会社等とする。
(以下略)
この規定を見ると,会社法では会社の定義として「法人」と言っているのに,その下の規則では組合や「これらに準ずる事業体」まで子会社の範囲に含めてしまっており,規則の内容が法律による委任の範囲を超えているのではないか,ということが大問題になりました。
ただ,この規定で「問題はない」という意見の先生もおり,そのご趣旨は「会社法の規定では「~法人として」法務省令で定めるものとされているから,これは法人の定義も規則で定められるという趣旨であり,その法人の定義が民法上の法人と同じである必要はない。」というものでした。
しかし,この論理を敷衍すると,たとえば法務省令で定めさえすれば,社会通念上およそ「法人」とはいえないもの,極端なことをいえば黒猫を法人の定義に含めることさえできる,ということになってしまわないでしょうか。条文上「法人として」と書いてあっても,それに基づく省令の制定権の範囲には自ずと限界があるような気がするのですが。
このブログを読んでいる法科大学院生のみなさん,憲法論の問題としてこの法務省令は適法だと思いますか?
弁護士会ではこのほかにも,事業報告書の記載事項として「監査役または監査委員が財務及び会計に関する相当程度の知見を有しているものであるときは,その事実」という規定(施行規則77条3項7号)にも批判が集中していました。