最近,法科大学院や弁護士に関するネット上での言論をチェックするようになったのですが,その中で分かったことの一つに,法曹の業界事情について全く知らない人の中には,「法科大学院を修了した人は,みんな法曹となるに相応しい法的な知識や応用力を身に付けているはずだ」と勝手に思い込んでいる人が結構いる,ということがあります。
そのような思い込みを前提に,法科大学院を修了して十分な知識と能力のある人が司法試 . . . 本文を読む
1月6日,平成23年度司法試験の『採点雑感等に関する意見』が法務省のホームページで公開されました。
この『採点雑感等に関する意見』は,新司法試験時代に導入されたものであり,司法試験の論文式試験について答案にどのような傾向があったか,問題のある答案にはどのようなものがあったか,法科大学院の教育に対しどのようなものを求めるかといった事項について,考査委員達による率直な意見が述べられています。
過 . . . 本文を読む
このブログでは,1日に2回も記事を投稿するのはかなり異例なのですが,他の弁護士さんのブログを読んでいるうちにとても看過できない記事が見つかりましたので,紹介することにします。
http://www.veritas-law.jp/newsdetail.cgi?code=20120121133229
上にリンクを貼った記事は,武本夕香子弁護士の2012年1月21日付け『ある修習生の話』ですが, . . . 本文を読む
法科大学院やその他の法曹養成制度について,『法曹の養成に関するフォーラム』における議論は現状をほとんど無視した的外れな議論に終始していますが,久し振りに各種民間のサイトを見て回ったところ,黒猫の知らない間にかなり議論が進展しており,やはり従来に比べると「新しい法曹養成制度にはかなり問題がある」という認識が広まってきたように感じます。
それに伴って,法曹養成制度に関連し従来では見られなかった新た . . . 本文を読む
民法改正に関する記事の続編を書く予定でしたが,今年の司法試験合格者らしき人が書いている興味深い記事を見つけたので,とりあえずリンクを貼っておきます。
http://megalodon.jp/2011-1003-0017-43/ameblo.jp/thanks-hiro/entry-11025932177.html
この記事には,司法修習について以下のように書かれています。
「ただ、司法修習に . . . 本文を読む
しばらく投稿していなかった上に,話題もちょっと時期遅れになってしまいましたが,今年初めて実施された予備試験の話をします。
平成23年度の司法試験予備試験は,5月15日に短答式試験が実施され,6月16日に合格発表が行われました。論文式試験については7月17日~18日に実施され,10月13日に合格発表,最後の口述式試験は10月28日~30日に実施され,最終合格発表は11月10日の予定になっていま . . . 本文を読む
先日の記事に関して,「新司法試験では要件事実論についても出題されている」というご指摘がありましたので調べてみたところ,確かに平成18年の論文式試験・民事系科目第2問では,要件事実論について正面から出題されているものがありました。
こんな問題ですね。
Ⅰ 民事裁判実務修習中の司法修習生K(以下「K修習生」という。)は,配属先の裁判所で,XがYに対して提起した保証債務の履行を求める訴えの訴状等を . . . 本文を読む
既に第4回目を迎えた『法曹の養成に関するフォーラム』ですが,司法修習について「貸与制を基本とする」考え方となるのはほぼ決定的となりました。
フォーラムの構成員から考えても概ね予想どおりの結果となりつつありますが,そもそも「法曹を目指す者にとっての経済的負担が多すぎる」ことを問題にするのであれば,まず一番の元凶である法科大学院を潰すべきであり,その点に踏み込まず給費制の維持だけを主張する日弁連の . . . 本文を読む
現在,日本の社会全体から見れば隅っこの議論かもしれませんが,法曹関係者にとっては今後の命運を左右することになる重要な会議が,政府(主に法務省)で進められています。
事情通の方にとってはもはや言うまでもない「法曹の養成に関するフォーラム」のことですが,その第2回会議に関する資料を読むと,どうしても一言言わずにはいられないものを感じましたので,今回の記事でコメントすることにします。
そもそも, . . . 本文を読む
今日,法務省のホームページを覗いてみたところ,「法曹の養成に関するフォーラム」の開催に関する記事が載っていました。
法曹の養成に関するフォーラムは,内閣官房長官,総務大臣,法務大臣,財務大臣,文部科学大臣及び経済産業大臣が共同して開催する会議であり,(1)個々の司法修習終了者の経済的な状況を勘案した措置のあり方,及び(2)法曹養成制度のあり方について検討することを目的としているそうです。
審 . . . 本文を読む
本来は,手術あけの5月くらいまでブログ更新はしないつもりでしたが,日弁連の「法曹養成制度の改善に関する緊急提言」(2011年3月27日付け)を読み直して,さすがにこれは一言言っておくべきだろうな,と思い至りました。
提言の前文は日弁連HPに掲載されているのでそちらをご覧頂くとして,黒猫流に提言の趣旨をまとめると,
1 法科大学院は,入学定員をさらに削減した上で,奨学金の拡充などの措置を図るべ . . . 本文を読む
前回の記事の続き。この記事でようやく終わりです。
○ 合格基準、合格者の決定
<指摘40>新司法試験の試験委員の選考基準が不透明ではないかとの指摘があるが、どうか。
<指摘41> 採点基準や採点マニュアルなどはどうなっているのか、守秘義務に抵触しない範囲で検証する必要があるのではないか。また、合格者数を何人にするか、あるいは、何点以上を合格とするか、どのような基準に基づいて決定しているのか、明 . . . 本文を読む
前回の記事の続きです。
○ 多様な人材の確保
<指摘21>
社会人は、仕事をやめて、あるいは、出世をあきらめなければならないかもしれないという負担を負ってまで挑戦しても、どれくらいのリスクがあるかわからないという不安があるから、踏み出せないところがあるのではないか。
<意 見>
概ねそのとおりであるが,「正確にはどのくらいのリスクがあるかわからないという不安がある一方,そのリスクを乗り越え . . . 本文を読む
このブログでは,長年にわたり法科大学院の問題を批判的に取り上げてきましたが,総務省では平成22年12月21日,行政評価手続の一環として行われた『法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会報告書』を公表し,一般に対する意見募集手続きを行いました。既に出された意見は総務省のホームページ上で公表されていますが,現役の弁護士やら法科大学院生やら,寄せられた意見はまさしく法科大学院に対する批判・非難の . . . 本文を読む
ここ2ヶ月ばかり,更新が滞ってしまい誠に申し訳ありません。
なんで更新しなかったかというと,ライトノベルの選考に一次落ちした上に,従来から目指していた公認会計士の受験制度が,「実務経験を経ていなければ試験に合格しても公認会計士になれない」制度から,そもそも「実務経験を経ていなければ受験すらできない」という制度に変わりそうだという金融庁HPの中間報告を見て二重にショックを受けたとか,民法改正で法 . . . 本文を読む