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コロナウィルス

2020-03-04 16:46:58 | 日記
まさかこの約二か月で、世界がここまで変化するとは、殆どの人が予想できなかったはずだ。この新型肺炎コロナウィルスの感染力は凄まじく、今や大変な脅威である。感染者数を把握するには、インターネットの日本経済新聞のビジュアルデータが非常にわかりやすい。ただ、この絶えることなく増え続ける感染者数を突き付けられて、私たちは恐怖に心を支配されるべきではない。むしろ現実的な数字を前に、冷静に思考するべきなのだ。

人類の歴史において疫病は、大きな戦争に匹敵するほど短期間に大量の生命を奪う災いであった。今、猛威を振るっているコロナウィルスが中国大陸で発生したことを考えると、14世紀に世界的に大流行したペストを想起させる。この時には約1億人近くが死亡したという説もある。これは遊牧民モンゴルの全方位的大遠征でユーラシア全域に膨張した世界帝国が、対立と抗争による内部分裂で解体していく段階で、ペストによってその崩壊における息の音を止められたといっても過言ではない。モンゴルの世界帝国は、広大な版図から流通網を広げ、中東やアフリカのイスラム圏や欧州のキリスト教世界とも交易していた為に、人や物資の移動により疫病が凄まじい勢いで拡大していったと思われる。その後、ペストは17世紀にも欧州で流行したが、最大規模の流行は14世紀のペストだろう。

かつては13世紀の鎌倉時代、日本にも元寇によるモンゴルの襲来があったわけだが、ペストの猛威で強大な元の国力は衰退し、漢民族の明が東アジアに勃興する。このような歴史的流れは中東やロシアでモンゴルの傀儡政権が自滅したこととも似ており、疫病が社会や経済、文化においても大きな変化のきっかけになることがわかる。また疫病の惨禍の衝撃から、文学や美術の分野で優れた作品が生まれてもいる。

そしてこのブログで、今世紀の中国の行方についても書いたが、今回の世界的なコロナウィルスの感染拡大は中国に大規模な内部改革を促す要因になるのではないか。特に国家体制は違っても中国とは兄弟のような台湾が、水際対策でウィルスの拡大を防いでいる事実を目の当たりにすると、中国の中央政府の要人の中にも、情報を統制する共産主義体制の限界を感じている人物はいるはずだ。つまり曲りなりにも民主主義が機能する台湾政府はウィルス対策において、中国中央政府よりも選択肢が多く自由度も高い。それゆえ危機対応において明らかに功を奏している。また蔡英文総統はIQ180の優秀な若手の大臣を抜擢した。これは今の台湾政府が強固な制度設計や因習、しがらみによって邪魔をされない組織だということを意味する。この辺りは日本政府も今後見習うべきだろう。

世界保健機関であるWHOのテドロス事務局長は既に今月2日の時点で、新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大について、中国以外では日本、韓国、イタリア、イランの4か国に最大の懸念を表明している。事態は相当に深刻なのだ。しかし私たちは悪戯に恐怖に怯える必要はない。こんな時こそ冷静になることが大事だ。トイレットペーパーの買い占めなどの行動は、偽情報に踊らされる愚の骨頂である。そして、これで大儲けするような人々がもっと愚かであることは間違いない。

最後に日本と同様に最大の懸念の対象となっているイタリアのミラノ市内の高校の校長先生のメッセージを紹介したい。今、SNSで広がり話題になっているメッセージである。教育者として素晴らしい御言葉。

「冷静さを保ち、集団の妄想にとらわれず、いつもの生活を送ってください。スーパーや薬局に駆け込むのはやめましょう。マスクは病気の人のためのものです。17世紀と比べて私たちには現代の医学があり進歩し、正確になりました。社会と人間性という最も大切な財産を守るべく、合理的な考えを持ちましょう」

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