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放香堂

2017-09-05 12:06:04 | 日記
日本最古のコーヒー店が神戸にある。放香堂という。ここへは神戸市立博物館に行った帰りに立ち寄ることが多い。神戸市立博物館はここ数年、実に充実した展覧会を開催しており、私は下記の美術分野の展覧会に足を運んだ。

特にターナー展は大回顧展とも呼べる内容で、この画家の風景を描くことに対する執念をまざまざと感じさせるものであった。ターナーの作品世界に接すると、鑑賞者は崇高な光に遭遇することができるのだが、そこには目映さと儚さが共存している。揺るがない美は永遠であると同時に一瞬の煌めきでしかない。そしてターナーの絵の崇高さは、まやかしの宗教性を否定するものである。神の似姿である人間も風景の点景と化し、人間は決して万物の霊長などではないことを証明している。ターナーの絵の中の光は天から降り注ぐ愛である。ターナーはその人生の最期、息を引きとる前に、「太陽は神だ」という言葉を残した。

それからこの神戸市立博物館で、ターナーの大回顧展と同様の感動を私に与えてくれたのは、マウリッツハウス美術館展で展示されていた、レンブラント最晩年の自画像である。前半生では世俗的な成功を欲しいままにした天才画家の後半生は対照的な殆ど無一文の貧乏暮らしであったという。自分自身と真摯に向き合ったレンブラントは、数多くの自画像を残しているのだがこの作品が最高傑作だろう。老いて人生を諦観した沼のように静かな表情が心を打つ。

チューリヒ美術館展(印象派からシュルレアリスムまで)
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/tokuten/2014_5zurich.html

ターナー展(英国最高の風景画家)
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/tokuten/2013_03turner.html

プーシキン美術館展(フランス絵画300年)
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/tokuten/2013_02pushkin.html

マウリッツハウス美術館展(オランダ・フランドル絵画の至宝)
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/tokuten/2012_03mauritshuis.html

さて、ここからは放香堂である。さすがに日本最古のコーヒーと謂われるだけあってその香りと味は、自信を持って推奨できる。コーヒーの個性的な魅力も強く、私が飲み歩いたコーヒーの中では、この神戸の放香堂と千葉の蛍明舎がベストではないか。またインド産のアラビカ種のみでブレンドしているのも大きな特徴であり、それが他にはない唯一無二の味と香りを生み出している。只、お店のスペースはさほど広くなく、とても清潔感のある空間なのだが長居する気にはなれないかもしれない。ホームページで歴史や商品に関してかなり詳細に紹介されているので、ここのコーヒーが飲みたくなったら、神戸まで訪れるも良し、通販で購入するも良しである。美術を鑑賞した後に、ここで飲むコーヒーは絶品です。

下記は放香堂のホームページになります。
http://www.hokodocoffee.com/


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