通称「5階」と呼ばれている
フロアに、モノを届けに
行くために、たった3階降りるだけだが
エレベーターに乗った。
程なく到着し、
降りようとした刹那、
同乗していた女性から
声をかけられた。
「5階の話知ってます?」
「いいえ?」
「上着は脱いじゃだめよ。」
「しかも、その下のシャツに
ワンポイントの刺繍なんか
あったら、激怒されるわ。」
はあ。。?
上着は別に脱がねーし、
ワイシャツに刺繍なんか
ねーしなあ。
何だべ?
あれ??
いつもは、ガラス戸の入り口に
シャッターが。
インターフォンで
「かにぞうです。◯◯さんお願いします。」
秘書の方が開けてくれた。
フロアには人がいない。
彼の席に近づくと、
左手の部屋(V)が、
ガラス越しに丸見えも、
厳重な、防音装置の中で
なにやら予算編成作業を
しているようだ。
目があったので、
彼は部屋から
出て自席に座った。
「これ、Gにお渡しください。」
「ああ、1月◯日のやつですね。」
「うーん、どうしようかな、
後にしましょう。」
その後、一呼吸置き、彼は、
「マジで、ヤバいんですよ。。」
と真顔で言った。
それが何を指すのか
わからないまま、
不安な気持ちで
「5階」を後にしたのだった。
終わり