日本の医療が危ない川渕 孝一筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
医学・医療の進歩と少子・高齢化、経済成長率1~2%という現実によって、
今後医療費は確実に増加する。厚生労働省は、2025年には国民医療費は
現在の2倍以上の69兆円に達すると予測している。
特に、老人医療費の伸びは大きく、半分のシェアを占めるという。
かりに、医療・介護・年金といった社会保障費用の増大分をすべて
保険料で賄うとして、著者らが政管健保をベースに推計したところ、
2025年時点の年収に対する保険料率は低く見積もっても32.3%。
出生率が少し上がって総人口が増え、現在の給与水準を維持すると
なると33.8%にも上る。(2003年現在で22.67%)
これだけ負担が増えると、現役世代が働く意欲さえ失いかねない。
かといって、たびたび議論されている社会保障・目的消費税も問題は多い。
給付費の増加分をすべて目的消費税で賄おうとすると、2025年に
必要な目的消費税率は15.3~16.1%。これに現行の消費税率5%を
加算すると、消費税率は20.3~21.1%となる。二桁台の消費税率への
移行は容易ではないだろう。