ようちゃん@ちばらき

ちばらきは千葉県と茨城県の県境地域。利根川と地平線の向こうに見える筑波山が郷愁を誘う今日この頃。

ぷらっと道東 ②

2008年08月17日 | てれんこてれんこ
雨は断続的に激しく降った。レンタカーに添えつけのナビゲーションは、
未舗装の林道のような狭い道を示したため、一気に不安が高まった。
日が落ち始めた薄暗い明りを頼りに地図を確かめる。

鶴居村に着いたころには、すっかり日が落ち、宿の灯りが削れた神経を
癒してくれるように、優しく迎えてくれるように感じた。
宿は鶴居ナチュラルビレッジホテルTAITO
自慢は源泉かけ流しの強いアルカリ性、炭酸水素塩泉。
琥珀色で強いつるつるとした感触は「美人の湯」とも言われている。

 
食事もまた地元の食材をふんだんに使った宿の自慢である。
この日出た一品にやまめの天ぷらがあった。貴重な食材に一口ひとくちを味わった。

このホテルTAITOに宿をとった理由は別にあった。
プロの写真家でもある当ホテルのオーナーが、釧路湿原国立公園の特別保護区に
入ったネイチャーガイドをしていただけるという目玉のツアー。
もちろん釧路湿原の野生動物にも会えるかもしれない・・・。 
 
翌朝は午前4時起床。5時には湿原へと出発。
牧草の中で草を食むエゾシカに早速出会う。
朝露で陽光が反射する幻想的な景色の中で、野生の鹿は耳をぴんと立て、
私たちを警戒した訝しげな眼差しで見つめている。 
 
タンチョウ鶴の親子にも出会えた。オーナーの話ではついこの前まで子鶴は
飛べなかったそうだ。タンチョウヅルは3月頃から卵を産卵し、約30日かけて
孵化を迎える。その後約100日かけてやっと一人前に育つという。
だからちょうど今頃が飛び立つ季節になるのだそうだ。

長靴に履き替えて、特別保護区の中へと入っていく。
国立公園の特別保護区は植物、石ころ一つたりとも持ち帰ってはならない領域。
野生のヒグマと出会う確率も高い。私や妻に緊張が走る。

30分ほど藪の中をかき分けて進むと、キラコタン岬へと出た。
蛇行した静かな流れの川、湿原の遠く向こう側には釧路市街、製紙工場の
煙突が見える。普段は霧のかかる日が多く、今日は特別に晴れたのだと 
オーナーが説明してくれた。
 
湿原の沼地まで降りてみることができた。野生動物の水飲み場でもある。
空気がひんやりとする。苔生した倒木が、あるがままの自然の在り様を
語りかけている気がした。
ここはラムサール条約の日本国内第1号の登録湿地として登録された場所なのだと
改めて思うのである。