![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/1a/57c8ddc57c0319a0e8076786c5f9abce.jpg)
(画像は尾瀬で撮影したショウキランです)
家に居ながら本やスクーリーンを通して場所や時を超えて旅しています。
昨日は数十年前のフランスに、今日は日露戦争勃発2ヶ月前の熊野地方の森宮に居ました。
明治36年日露戦争前夜、紀州・熊野に帰ってきたひとりの男、医師のドクトル槇がインドから帰国し、熊野・森宮の町は変わり始める。激動の明治末、自由を求める人びとの闘いが今始まる。
森宮とは新宮のことで、紀州人の辻原氏はやはり故郷に実在した人物をモデルに描いています。
一人称で語られる文体は苦手な方なので最初は読み辛く3日ぐらいはほおっていました。古典では良く取られた手法で珍しくもないのですが、時折作者がストーリーに入ってくると闖入者みたいで、私は興醒めしてしまうのです。
途中で断念しなかったのは主人公の槇隆光が医者でありながら料理に傾倒し本も読むという魅力ある人物だったこと。彼は毒取る医師(ドクトル)と慕われ〈差別なき医療奉仕団〉を結成し、炭鉱の労働運動にも一役買うリベラルな思想の持ち主でした。彼を取り巻く人々に、莫大な山林を受け継ぐ姪の千春、肺を患った建築設計士甥の勉、八甲田山で弟を失った陸軍歩兵少佐の永野忠庸、彼の美しい妻永野夫人、反戦に息巻く熊野革命団など興味深い登場人物がぞくぞくと登場します。
スケールの大きい視点で日露戦争をとらえ、ドクトル槇と永野夫人の秘めた大人の恋の行方も伏線に描かれています。
毎日新聞に連載されていたそうですが、まずは著者がこの小説に寄せた思いをインタビューでご覧下さい。
「許されざる者」というタイトルは映画などでも使われますが、さてこの本では「許されざる者」とはいったい誰を指しているのか・・・。
下巻も楽しみです。
家に居ながら本やスクーリーンを通して場所や時を超えて旅しています。
昨日は数十年前のフランスに、今日は日露戦争勃発2ヶ月前の熊野地方の森宮に居ました。
明治36年日露戦争前夜、紀州・熊野に帰ってきたひとりの男、医師のドクトル槇がインドから帰国し、熊野・森宮の町は変わり始める。激動の明治末、自由を求める人びとの闘いが今始まる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/5f/2fa83a1fc212ec0606af54d6e3018b4a.jpg)
森宮とは新宮のことで、紀州人の辻原氏はやはり故郷に実在した人物をモデルに描いています。
一人称で語られる文体は苦手な方なので最初は読み辛く3日ぐらいはほおっていました。古典では良く取られた手法で珍しくもないのですが、時折作者がストーリーに入ってくると闖入者みたいで、私は興醒めしてしまうのです。
途中で断念しなかったのは主人公の槇隆光が医者でありながら料理に傾倒し本も読むという魅力ある人物だったこと。彼は毒取る医師(ドクトル)と慕われ〈差別なき医療奉仕団〉を結成し、炭鉱の労働運動にも一役買うリベラルな思想の持ち主でした。彼を取り巻く人々に、莫大な山林を受け継ぐ姪の千春、肺を患った建築設計士甥の勉、八甲田山で弟を失った陸軍歩兵少佐の永野忠庸、彼の美しい妻永野夫人、反戦に息巻く熊野革命団など興味深い登場人物がぞくぞくと登場します。
スケールの大きい視点で日露戦争をとらえ、ドクトル槇と永野夫人の秘めた大人の恋の行方も伏線に描かれています。
毎日新聞に連載されていたそうですが、まずは著者がこの小説に寄せた思いをインタビューでご覧下さい。
「許されざる者」というタイトルは映画などでも使われますが、さてこの本では「許されざる者」とはいったい誰を指しているのか・・・。
下巻も楽しみです。