日本人としてのアレ。

通りすがりで会ったなら、その出会いを大切にしたい

『それは梵空童子の誕生日当日に起こった、17時から18時の出来事である』

2011-10-07 | 曼荼羅タイト
朝7時

俺は電話が鳴ると同時に通話を開始する為に、電話を手の中で待っていた。

「はい、ボンクー」
電話の向こうの男は、皆が知っている声とは違う声で俺にこう聞いた。

「例の物は届いたか?」
「はい、届きました、タモリさん」

今日は10/7
後に「テン・セヴン」と呼ばれる革命の日。

「相手はマンソン一家だぞ」
「だから僕を呼んだんでしょう」

俺は続けた
「僕が、この日の為にどれだけ動いたか知っているでしょう」
「・・・そうだな、感謝している」

「大丈夫ですよ、冷静に行えば必ず上手くいきます」
「わかった」

「とにかくいつも通りでお願いします、また後で」
「・・・」

俺はヒルトン成田のツインルームに泊まっていた
昨夜一緒にいたデリヘル嬢はベッドのシーツさえ直さず帰ったけど、そんな事は気にせず薬品の瓶を手に取り眺めた。

九州福岡市での薬品盗難事件は、まさに俺たちの仕業だ。

タモリさんが若いころに知り合った人間が、薬品の手に届く所にいた。
弱みを掴み、薬品を盗ませた。

九州大学の教授をしている彼自身の為にも「盗難」と言う形をとったのはタモリさんの案だ。
福岡警察と話して未解決事件にするか、適当な犯人を送っておくよと言っていたので、それに賛成した。

朝8時

成田にある重要人物を乗せた飛行機が着陸しようとしていた。

「なぁサム、日本って行った事あるか?」
「ないよ、知ってるだろう僕が行った事ないって、静かにしててくれよ、ディーン」

彼らは、海外ドラマ『スーパーナチュラル』でお馴染みのウィンチェスター兄弟。
悪霊退治のスペシャリストだ。

俺は彼らをチャールズ・マンソン退治の為に呼びよせた。
マンソンが悪霊に憑かれているのは素人目に見ても明らかだ、タモリさんと俺の二人で殺せるわけがない。

「お前は本当に調べる事が好きだよな、マンソンに悪霊が憑いてるのは判るよ、でも日本にヤツの孫がいるだって?それはあり得ない!」
「言ってればいいよ、これは確実な事なんだ、ボビーが僕らにお願いしたんだぞ? このボンクーと言う奴は自分では気付いてないけど、とてつもない悪魔が憑いている可能性がある。」

「悪魔のお前がよく言えるな!可能性だろ?!まだ、決まった訳じゃない」
「ディーン、もうよしてくれ!」

「いーや、やめない、こいつに悪魔が憑いているって確実な証拠が出るまで絶対に殺すなよ?」
「わかってる!」

午前9時

「久しぶりだね、ディーン、サム」

「久しぶりだな、ボンクー」
「妖怪の本は本当に役にたってるよ、ボビーも日本に行きたいって言ってたんだ」

借りて来たレンタカーの中で思い出話しに花が咲きそうになったけど、俺が切り出した。

「マンソンを殺れるか?」

ディーンが自信満々に「当たり前だろ?ウィンチェスター兄弟は日本でも人気だろ?」と言った。
サムは、無言でディーンを見る。

午前10時

新宿アルタスタジオの控室、本日テレフォンショッキングに緊急出演する事になったウィンチェスター兄弟は楽屋にいた。

「もう直ぐタモリさんが来る。」と俺が言うと、兄弟は無言で目線を合わせた。

ドアのノックの音、タモリさんが無言で入ってくる、空いた小さなソファに身を沈ませ兄弟に向かって「今日は、頼む」と短く言った。
「はい」、とサム。

タモリさんは、テレフォンショッキングの段取りを説明した。

午前11時

番組全体の段取りの説明後に少し時間があったので、サムがタモリさんにシャロン・テートとの関係は本当なのか?と聞いていた。
シャロン・テートとは、タモリさんがロサンゼルス旅行に行った時に一時的に関係をもっていた女性で、マンソンの被害者だ。

マンソンは、自分では「殺し」をせず、自分の信者に殺しをさせる悪魔だ。
ウィンチェスター兄弟なら見逃さない。

彼らに、マンソンの悪霊を殺す機会及び、タモリさんの復讐劇を企てたのは俺だ。
しかし俺が自分のおじいちゃんを殺させるはずがない、別の目的がある。

タモリさんが「そろそろ行く、後は頼んだぞ」と、楽屋を出て行った。

正午

「お昼休みはウキウキウォッチング、あちこちそちこち、いいともー♪」
さっきまでの復讐の鬼・森田はテレビの人間に姿を変えた。

CMが明けてタモリさんが、座って観客を眺める
タッタラッタッタータッタターン♪

『そーですね!!』の声がアルタ中に響く。

ウィンチェスター兄弟の異例の出演に日本が湧いた。

テレフォンショッキングが終わり、素人の俺が出るコーナーの時間が来た。
番組の最後、一発芸を披露するコーナーだ。
得意のマジックで、観客をテレビ画面の中に入れる。

「はい、どーもー、ボンクーと言います、これからマジックをしますので、誰かお客様にお手伝いいただきたいので、こちらへ」と言って、テレビ映えする女を選び、舞台にあげた。

その瞬間に俺は、彼女の髪の毛を鷲掴みにしコメカミに拳銃を突きつけ、こう叫んだ。

「生放送を続けろー!、そしてCTUに電話を繋げぇーーー!!ジャックバウアーを出すんだ!」

午後1時

小堺さんが「え?何?テロ?! じゃ、今日サイコロ転がせないの?!」と別のスタジオで困惑していた。

俺はジャック・バウアーとの会話を要求した。
現場を離れているジャックが直ぐ電話に出ないのは計画範囲の事だ、一時間以内に彼との通話を実現出来ないと、まずこの女を殺し、その後に致死量の薬品をアルタ内に撒く事を伝えた。

午後2時

アルタスタジオの周りを警官が囲んだ。
「新宿東口、封鎖できません!」と言う警官の声と、拡声器のピィー!!と言う音が鳴る、喫煙所はあっと言う間に野次馬で埋まった。
アルタビジョンには誰も知らない小汚いロン毛の男に拳銃を突きつけられている美女が映っている。

『一言もしゃべらないタモリ』の為に皆が見ている訳ではない。

ジャックとの会話は未だ実現出来ていない俺は、カメラに向かって叫ぶ「どうしたジャック!お前はアメリカしか救わないのか?日本人なら死んでもいいのかー?!」

その瞬間、乾いた物が弾ける音がし、生放送で人の頭から血が吹き出た。

「カメラを回せ!映すんだ!動いた人間は撃ち殺す!」

スタジオ内には既に死体が3体あった。
パニックが起きた瞬間に逃げ出そうとした女子大生が撃たれていた。

「そいつらにみたいになりたくないだろ!大人しくしろ!俺は、お前達を被害者にはしない!!昨日もちゃんとmixiの日記に家にいろと書いたはずだ!!」

ロサンゼルスからスタジオに電話が繋がる。

「バウアーだ!!」

タモリさんの横の小さなテレビモニターに、キーファー・サザーランドが映る。

「髪切った?」と、タモリさんがいきなり反応した。
あまりにも緊張感に欠ける対応だと思ったが、俺が【いつも通りにしてろ】と指示をしていたから、その為かも知れない。
ここまでは計画通りだとは言え、タモリさんの緊張感が伝わってくる。

「髪?髪は切っていない!」とバウアー。
「そんな事はどうでもいい!とにかく俺の指示に従え!そうしないと、このスタジオ中に薬品を撒く!かんたんに人が死ぬ!」と俺。

「要求はなんだー!」
「担当直入に言う!チャールズ・マンソンの釈放!そしてマンソンを日本に連れてこい!このアルタスタジオにだ!!」

午後3時

CTU内で、クロエが叫ぶ「FBIのデータベースにもありません!」
「なんだこいつは、誰なんだ!」ジャックも叫んだ!

「パパ、前日に九州で薬品の盗難が起きてるわ、それをこの男が持っている可能性は否定できない。」とキム。

「もう、既に三人死んでる、この男は本気だ!マンソンを解放する、脱獄した事にするしかない!」

午後4時

新宿アルタスタジオの控室でディーンがサムに聞く。
「あのロン毛が悪魔憑きかどうかは、どう調べる?」
「マンソンは、自分の孫だろうが殺すはずだ、解放された後に、いいなりに出来る様な男じゃない、あのサングラスをかけた司会者も殺されるよ。」

「マンソンにあのボンクーってう奴が殺せなかったら、悪魔が憑いてるって言いたいんだな」
「そうだよ、マンソンにも殺されない様な奴がいたら危なすぎる。」

「じゃ、お前は一番危ない奴って事だな?」
「・・・」サムは、口を【への字】に曲げた。

午後5時

「マンソン!ボンクーって男は誰なんだ?!お前と何の関係があるんだ!」ジャックが、ジェット機の中で尋問する。
「・・・」チャールズ・マンソンは口を開かない。

「日本でテレビジャックされた!実行犯がお前の釈放を求めた!関係性を言え!!」
「・・・」

午後6時

アルタスタジオに電話が繋がる。

「ジャックだ!もう直ぐそこにつく!パラシュートで緊急着陸する!駅前の人をどけろー!!」
「わかった」と言って俺は速やかに警察に指示し、ジャックとマンソンの着陸場所を作った。

二人がスタジオに入ってくる。

マンソンは、観客を舐めるように見た。

俺の後ろではウィンチェスター兄弟がマンソンに拳銃を向ける。

「マンソンは連れて来た!薬品を置け!そしてゆっくりと下がるんだ!!」ジャックも俺に拳銃を向ける
ウィンチェスタ-兄弟にジャックが気付く「お前ら何してる!ここに悪霊などいない!」

「黙ってろオッサン、俺たちは俺たちの仕事がある、自分の仕事をしろ」と、ディーン。

その瞬間、マンソンの目が黒く光る。

ディーンが叫ぶ「う、うわぁ・・・・」
マンソンに向けられていたディーンの銃口が、タモリさんに向かった。

「ディーン!!!」と、俺の声も間に合わず、弾丸が爆ぜた。
会場の悲鳴とともにタモリさんは倒れた、動かない、即死だ。

「銃を捨てろぉー!!」とジャック。

サム「ディーン、何やってるんだ!!」 「サミー!動けない!!操られてる!!」
続けて弾丸は、会場の方に向き、狙いを定めないうちに、また爆ぜた!

パン! 観客の呻き声!! 「銃を捨てろと言っているー!」
もう一度銃声、パン!! 今度はディーンが倒れた!

「カメラを回せ!生放送を止めるな!映し続けるんだ!!」と俺。

まだ、息のあるディーンの拳銃が、また観客を襲う! パン!パン!!

ジャック、その瞬間にディーンの間合いに踏み込み、手の拳銃を蹴り飛ばす!
「動くなと言っているー!」

「おじいちゃん!もう止めてくれ!!日本の観客は殺すな!!」と言う俺の声は無視されたのか、パニックになった観客達が白眼を向きだし殴り合いを始めた!
「おじいちゃん!脱獄させたのは俺だ!味方だよ!俺は本当の家族なんだ!!皆を洗脳するのは止めろ!!」と、俺の叫び声は無視される。

サムが叫ぶ!「マンソン止めろ!地獄に帰してやる!!」 手をかざして念じるがマンソンには通じないらしい。

大混乱が起きる中で俺は叫ぶ! 「日本人をイジめるなぁーーーー!!!!」

ドォーーーーーーン!!!!!!

午後7時

白い光に包まれ、観客は一人残らず消えた。

「お前、今何をしたんだ?ディーンも消えたぞ!!」とサム。
「いや、分からない、ただ叫んで、皆が家に無事に帰る事を願っただけだ!!」

サム「くっ・・・」

ジャック「どうなってるんだこれはー!クロエ!日本の警察に連絡して突入させろ!もう止められん!!ボンクーを殺すしかない!!」

ボンクー「俺は分からない!!とにかく観客はいない!敵はマンソンだ!!マンソンをやるしなかい!!俺の事も分かっていないみたいだ!」

マンソンの髪が、重力に逆らいフワリと逆立ち始める。

「サム!ジャック!!伏せろーーー!!!」

ドドドドォーーーーーン!!!!
黒い光が辺りを包みこむ。

「どうなってるんだ!!」とジャック!!
「うわぁー、あまりにも巨大な力だ!防げない!!ボビー助けてくれーーー!!!」

黒い光がサムとジャックを包む!!
もう俺はこの二人はダメだと判断し「ら、来週も来てくれるのかぁー?!」と、とっさに聞いた!

「オフコォーーース!!!!ぐわぁー!!!!・・・」 バシューーン!!!!
黒い光が二人を包みこみ、収縮すると同時に彼らを異次元に連れ去った!!

新宿アルタスタジオには、無人のカメラが回り、大型ビジョンには俺と、チャールズ・マンソンだけが映っている。

「おじいちゃん、俺の事、もう忘れちゃったんだね・・・、それなら仕方ない、計画変更だ!!ハァァァァ・・・・、タァー!!!!!」

両手を大きく開き、白い閃光を放った!!

「URYYYYYY!!!!!」と、マンソンが断末魔をあげた!
口から、ドス黒い煙が舞う!!天井に満ち、そして消えた
マンソンが立っていた床には、何かが焼かれた焦げ跡が残ったが、姿形は跡形もなく消えた。

午後8時

俺は、カメラの電源を落として周りに誰もいない事を確認し、携帯電話を取りだした。
相手が出るのを待つ。

「ボンクーです、終わりました。」
「そうか、ご苦労だった、で、タモリは死んだのか?」

「はい、計画外の事が起きましたが死にました。」
「まぁ、死んだならいい、ジャックは?」

「ジャックとサムは、異次元に・・・、ディーンは・・・不明です・・・。観客と共に消えました」
「そうか、残念だった。マンソンは無事か?」

「・・・はい、マンソンは僕の事を分かっていませんでした・・・」
「殺したのか?!」

「・・・」
「そうか、すまなかった。一体何があったんだ?」

「いいんです大丈夫です、もう時間がありません、マンソンはいません。 僕がこれから大阪に行きます。 23時にはカウスと会います。 日曜日の夜には緊急復帰会見が出来る段取りで動きます。」
「助かる。」

「もう、タモリさんが死んだんだ、新しいお昼の顔はあなたです、紳助さん! あと48時間以内に全ての事がらがカウスの捏造だったと発表する段取りでいきます。」
「わかった。」

「カウスをやったら、資料をお渡しに行きます。0時には全て終えて一度連絡します」
「わかった。」

「その時に、お約束の5000万を」
「わかっている、用意してある。 カウスの耳を忘れるなよ」

「はい、分かっています、それではまた後で」

ここで、エンドロールがバァーン!!
エンディングテーマは、Freak Do Brazilで!!



こんな嘘を書いている事が梵空童子の誕生日当日に起こった、17時から18時の出来事である。