ギターパートの大先輩のYさんが心不全でお亡くなりになった。突然の知らせにまるで実感がわかない。しかし動揺しながら、また合奏の日を迎えた。伝えられた話によると、Yさんは亡くなる5日前に別の合奏にも出てお元気だったらしい。
私などほんの4年のお知り合い、しかし30年近く一緒に合奏してきた方もいらっしゃって、みなそれぞれの思いを抱えて、指揮者の先生が到着される前に黙祷した。
今日の合奏曲は問題のワルツで、とても丁寧な指導を受けた。わかりやすいな役に立つなと聞いているのに、やはりどこかおかしくて、脳の働きが鈍いのが自分でもわかった。コロナ禍になり練習をビデオに撮って部員に公開して下さっているので、今回は本当に甘えて、もう一度ちゃんと見ようと思う。
練習後に、ギターパートで御香典を送ることになった。コロナ禍であるし家族葬らしいが、私たちの気持ちをご遺族にお伝えする手立てが他には無い。朗らかなお人柄にお世話になりました、心よりご冥福をお祈りしいたします。一緒にギターを弾いたのも雑談の笑顔も、まだ思い出ではない。
帰りの高速道路で、随分日が長くなったな、雲のないそらが薄赤く染まって富士山のシルエットがくっきり見えてきれいだな、と思ったら急に悲しくなった。我慢していたのに、涙が溢れる。
合奏をしてみなさんの顔を見たら、Yさんはもう来ないとわかってしまったのだろうか。
人はいつか死ぬんだな。Yさんにその日が来てしまったんだな。
でもお酒好きのYさんは、きっと「帰ってきたヨッパライ」みたいな天国で、ひと足お先に楽しんでいるとしか思えない。
こちら側は、寂しくなります。