堂蓮記<北海道富良野成田山布部不動堂>

毎月の『御心言』と不定期の『祈願講釈』と徒然なるままの箴言・戯言・読書感想等・北の大地の坊主富良野生活記。

〈高橋新吉の詩〉

2010-11-01 23:02:52 | 日記
「露出」

雀はいつも眠っている
何も考えてはいない
雀が眠っているあいだに
宇宙は半減した

臍の緒のごときもので
雀は宇宙とつながっている

雀が遊泳するところは
羊水の海である

中心は絶である
何のひびきもしない
糸は切れている

彼女はペガサスに乗って
宇宙を一まわりしてきたといった
そこで雀は抜身の剣を持って
一突き突き刺すと
彼女のお尻から太陽がこぼれた

雀は汚れた寝台を月に移動した
群る星雲のカーテンを開いて
雀の見たものは
冷くなった火星の屍であった

敢て露出された生前の記憶を
雀は隠そうとはしなかった

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