「その人」
1 救世(ぐぜ)の悲願に
生きたまう人
その人を思うて
私も生きてゆく
2 その人を思うて
寝ていると
海のようなものが
胸にひろがってくる
心配しなくてもいいという声が
その果てから
ひびいてくる
3 その人は
しづかな夜更け
そつと私の病む眼に
手をあててくださる
その姿は見えないが
その声は聞こえないが
おん手の重みが
目覚めた瞼に
いつも残つている
4 暗い日々の
暗い夜々の
半盲のあけくれのなかにも
消えてはともり
ともつてはひかるものがあつた
その人の名を呼ぶとき
その人を念ずるとき
1 救世(ぐぜ)の悲願に
生きたまう人
その人を思うて
私も生きてゆく
2 その人を思うて
寝ていると
海のようなものが
胸にひろがってくる
心配しなくてもいいという声が
その果てから
ひびいてくる
3 その人は
しづかな夜更け
そつと私の病む眼に
手をあててくださる
その姿は見えないが
その声は聞こえないが
おん手の重みが
目覚めた瞼に
いつも残つている
4 暗い日々の
暗い夜々の
半盲のあけくれのなかにも
消えてはともり
ともつてはひかるものがあつた
その人の名を呼ぶとき
その人を念ずるとき
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