@reiji1967 本日発売の『群像』に連作評論の5回目、「折口信夫の乞食」を書きました。今回から、折口の古代学の諸相を論じていきます。まずは「妣が国へ・常世へ」と「国文学の発生」第1稿について。
@reiji1967 ポイントは2つです。1つは折口がいう「間歇遺伝」(atavism)の起源を、19世紀末のアメリカの哲学に探っています。同時にそこはベルクソンの『物質と記憶』から『創造的進化』への展開と重なり合っています。
@reiji1967 もう1つは、「間歇遺伝」が発現する場としての「神憑り」について。おそらく折口がいう「憑依」の起源は、天理教の中山みきと大本の出口なおにある。また大本の出口王仁三郎と折口信夫、つまり王仁三郎の霊学と折口の古代学は1つの起源を共有しているということです。
@reiji1967 これまでも王仁三郎と折口が使う「鎮魂」という言葉がほとんど同じ意味を持っているという点は注目されてきました。「鎮魂」は死者を悼むことではなくて、浮遊している霊魂を身体に附着させることなのです。折口の「大嘗祭の本義」のポイントでもあります。
@reiji1967 王仁三郎は自身の霊学を「鎮魂帰神法」として整理します。「神憑り」には2人の人物が必要である。1人は神が憑依する「神主」、もう1人が「神主」をコントロールして神の言葉を解読する「審神者」(さにわ)です。王仁三郎はすぐれた「審神者」で、これもまたすぐれた「神主」であるなおと出会った。
@reiji1967 大学時代の折口信夫も、出口なおと出会った王仁三郎も、ともに同じ神道研究団体、「神風会」に所属することになった。このとき、「神風会」の顧問たちは天理教が神道の「教派」として公認されるためのブレーンをつとめていた。
@reiji1967 出口王仁三郎、折口信夫、折口に「大嘗祭」における霊魂の「神秘」を語った星野輝興は、すべて「教派」神道、特に教祖の「神憑り」から教義が整えられた教団と密接に関係していた「神風会」でつながり合う。
@reiji1967 神の声を聞く「神主」たる出口なお、その神の言葉を解釈する「審神者」たる出口王仁三郎という構造は、折口信夫の天皇論の構造そのものであり、折口自身、大本系の「鎮魂帰神法」に特有の術語である「審神者」を「国文学の発生」第1稿で使っている。
@reiji1967 「神主」と「審神者」による鎮魂帰神法は三島由紀夫が「英霊の声」でそのまま用いており、村上春樹の『1Q84』特にBOOK2で説明されるパシヴァとレシヴァ、新興宗教団体の教祖とその娘の関係に等しい。
@reiji1967 また出口なおは両性具有的な女身男心、王仁三郎は同じく男身女心と捉えられているが、これは神話におけるアマテラスとスサノヲの、また南島の祭祀における姉妹と兄弟の関係に等しい。
@reiji1967 鎮魂帰神法を整備した本田親徳、天理教の教祖となる中山みき、金光教の教祖となる赤沢文治はほとんど同時代を生きており、それらを1つに総合したものとして大本の教義が完成する。中山みきも赤沢文治も神仏習合的な「修験道」、つまり山伏による憑霊から「神憑り」を発現している。
@reiji1967 天理教も金光教も、教祖は「神」ではなく「神」の言葉を「取り次ぐ」者である。天皇を神の言葉(ミコト)を自身の内に保持して(モチ)宣教する者として捉えたのが折口信夫の天皇論である。いずれもその構造は等しい。
@reiji1967 また天理教も金光教も神を「多」ではなく「一」として捉えている。「元(はじめ)の神・実の神」の言葉を「取り次ぐ」者としての「生神」。「生神」としての教祖は神と人をつなぐ媒介となる。つまりマレビトである。
@reiji1967 大本の根源神「艮の金神」は金光教の根源神「金神」を換骨奪胎したものである。金光教の教祖、赤沢文治は備中に生まれ育った。そこは「荒神」信仰の中心地の1つでもある。現在でも行われている「荒神神楽」の一部では、クライマックスに「神憑り」が行われ、神の「託宣」が下される。
@reiji1967 「荒神」信仰は、柳田國男の民俗学の出発点である『石神問答』の主題であり、能を大成した世阿弥も『風姿花伝』の中で、自身の祖先として位置づけている「神」である。世阿弥は最大の渡来人集団である秦河勝をその「荒神」の前身としている。「神」は半島の異族がもたらしたのである。
@reiji1967 神仏習合的な「修験道」の起源もまた、道教的な色合いが濃い。つまり、半島に由来する異族の教えである。「神憑り」による神道教派の発生、柳田國男と折口信夫による民俗学の発生、芸能論と天皇論はクロスしている。
@reiji1967 あと1つだけ…。「間歇遺伝」という概念は、先祖たちの種としての記憶が個人に遺伝するというものです。夢野久作の『ドグラ・マグラ』の主題です。漱石も「趣味の遺伝」で書き、外も「青年」で書いてた。
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