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さんかくしかく

毎日いろいろな形になってしまうぼくのあれこれ。

よく降る

2012年07月03日 | 三角記事
朝から雨がザアザア降っていた。
朝からこんな調子だったから、少し、考えることも偏っていた、と思う。

ぼくはだんだん臆病になっていっているようだ。


友人が「ジョジョの奇妙な冒険」をかしてくれたので、雨音を聴きながら、それを読んでいたのだった。

まとまらないけれども、裏の川の水かさが増えていること
カミキリムシの虫カゴの、扉が開きっぱなしになっていたこと
うつうつとした空の表情は、たぶんぼくの内面をうつしている、ということ

夕方に雨はあがり、すこしだけ太陽がのぞき、すぐに沈んでしまった
そのつかの間の太陽がまぶしかったこと

ブラザー軒

2012年07月02日 | 三角記事
東一番丁、ブラザー軒
硝子簾がキラキラ波うち、
あたりいちめん
氷を噛む音。

死んだおやじが入って来る。
死んだ妹をつれて
氷水喰べに、
ぼくのわきへ。

色あせたメリンスの着物。
おできいっぱいつけた妹。
ミルクセーキの音に、
びっくりしながら。

細い脛だして
細い脛だして
椅子にずり上がる
椅子にずり上がる

外は濃藍色のたなばたの夜。
肥ったおやじは小さい妹をながめ、
満足気に氷を噛み、
ひげを拭く。

妹は匙ですくう
白い氷のかけら。
ぼくも噛む
白い氷のかけら。

ふたりには声がない。
ふたりにはぼくが見えない。
おやじはひげを拭く。
妹は氷をこぼす。

簾はキラキラ、
風鈴の音、
あたりいちめん
氷を噛む音。

死者ふたり、つれだって帰る、
ぼくの前を。
小さい妹がさきに立ち、
おやじはゆったりと。

ふたりには声がない。
ふたりには声がない。
ふたりにはぼくが見えない。
ふたりにはぼくが見えない。

東一番丁、ブラザー軒。
たなばたの夜。
キラキラ波うつ
硝子簾の、向うの闇に。



菅原克己

おちている

2012年07月01日 | 三角記事
落とし物たくさん
広場で、ショッピングモールで、電車やタクシーで
置き忘れものとよく似ているけれども、落とし物のばあい、持ち主はそこで落としたということもわからないのだ

ぼくもそうだが、落としたことに気付いたときに、すべてを諦めてしまう

ああ、もう見つからないんだな

と思うのは、そのためだ。


昨日から雨が降っている。
雨は空の落とし物か あるいは、空も落とし物を諦めてしまうのか
少しだけ肌寒い日に、あとかたも残らないようなことを考えている。