食道がんは放射線治療の後、3ヵ月に1回の経過観察になっています。その定期検診のため先日、県立病院に行ったときのことです。
採血のため検査室に入ったら、
「あら、ヒゲジイさんお久しぶり! その後どうですか?」と、
担当看護師の方から私に声をかけてきました。
マスク越しではあったものの顔をよく見ると、以前放射線治療室(リニアック室)にいた K 看護師でした。
彼女、目の大きいところと体つきが女優の山村紅葉さんソックリなので、皆から “もみじ” さんと呼ばれていました。
どうやら彼女、業務シフトで検査室採血担当に変わったようなのです。異なる部署(科)で同じ看護師に会えたのは初めてです。
彼女、早速採血に取り掛かり、私はというと辛うじて血管が見えやすい右腕の方を差し出しました。
肘の内側を肘窩(チュウカ)と言うそうですが、私の肘窩の静脈は見えにくいらしく、看護師泣かせです。
血管を見やすくするため、看護師によっては肘を採血枕に置かせた状態のまま、掌に力を込めて肘窩を数回摩ったり、肘窩を上向きにさせたまま拳を数回握りしめさせたりします。
で、看護師 “もみじ” さんはというと、彼女流の静脈確保策なのか
「腕をブランとぶら下げて、拳を2、3回握って下さい」と。
そうしてから、やおら注射針を一気にブスリと突き刺しました。赤黒い血液がチューブの中を流れるのが見えました。
「血管が見えなくても要は勘、勘で当たりを付けるんですよ!」と、
涼しい顔で “もみじ” さん。
そうしてから、
「ヒゲジイさん、確かバイアスピリンを服用中でしたね」と言うと、止血帯を十分過ぎるほど十分にキツク巻いてくれました。
6週間の放射線治療を受けたのは半年以上前のこと。そのときの会話で、バイアスピリンを服用中などとは話したこともなかったのですが・・・。あるいは、外科手術を避けた理由を話した中で触れたのか?
いずれにしても彼女、私の病歴をしっかり頭に叩き込んでいたようです。
採血テクニックといい、患者の病歴把握といい、看護師としてのプロ根性を、“もみじ” さんからも窺い知ることができました。
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