ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

再々 “生き残る” について

2017-03-31 07:22:22 | 病状
 現役世代の多くのアルコール依存症者は、断酒開始後4ヵ月~1年ぐらいで仕事を再開し、残念なことに、まもなく再飲酒となってしまいます。体調の回復を実感し、これなら断酒を続けられると過信したケースが多いようです。私の経験からすれば、この時期に特有の嵌まりやすい落とし穴です。ある意味、“妄想” の罠かもしれません。

 健常者なら、病が癒えたら職場復帰は至極当たり前のことで、さほど難しいことではないかもしれません。ところが、現役世代のアルコール依存症者の多くは復帰できる職場がありません。アルコール依存症の特徴の一つが、酒害問題のために生活基盤が完璧に破綻してしまうことだからです。

 彼らにとって、仕事再開は再就職活動から始めることであり、文字通り人生の仕切り直しとなります。まさに “生き残り” を賭けた覚悟で臨む仕事再開です。
「何としてでも仕事に就いて生き残らねば・・・」という思いを想像するだけで、こちらにもプレッシャーが掛かって身構えてしまいます。

 継続断酒1年前後の時期は、身体的にはすっかり回復していても、脳はまだアルコール(の影響)が抜け切っていないアンバランスな状態にあります。記憶のネットワークがズタズタに寸断されているため判断能力が劣化し、思考パターンも偏ったものになりがちです。まさに、“認知のゆがみ” が顕在化しやすく、言葉のストレスに殊の外敏感となる時期です。

 このようになるのはアルコール性急性離脱後症候群(PAWS≒ドライドランク)の真っ只中にあるからです。PAWSは回復過程にある脳のアンバランスによる障害で、回復したと過信しやすくなるのも特徴の一つです。先に “妄想” と言ったのはこのことです。

 そんな不安定なときに陥りやすく、用心すべき心理状態があります。断酒後の回復途上で誰もが囚われる巧妙な罠です。


 ● 何でもできそうに思う “万能感”
 ● “どうにもならない” 変な(?)衝動に駆られる生きづらさ
 ● 「なぜ自分だけがこんな目に・・・」という “自己憐憫”


 これらに「生き残らねば・・・」という思いがさらにプレッシャーを増幅させるのですから、堪ったものではありません。加えて上述したように、人の言葉に感情的な反応をしてしまうストレス過敏な時期でもあります。

 この時期の同病の皆さんには、是非次のことを思い起こしていただきたいのです。


― 『生き残らねば・・・』は、死と同じ誰もが平等に背負っている宿命
― 決して自分一人だけではない
― みんなで一緒に向き合えば怖くない


 このことを思い出すだけでストレスの受け方が随分違うと思います。そして、「ジタバタしてもしょうがない。“その時” が来るまで待つか」と腹をくくるのがいいと思います。私は今頃になってやっとそれに気づくことができました。

 仕事再開で受けるストレスたるや、健常者の想像を絶するものだろうと思います。私がこの危機的時期を何とか乗り越えられたのは、すでに年金生活者になっていたお陰だと考えています。このお陰で仕事再開のストレスと「生き残らねば・・・」の壮絶なプレッシャーを受けずに済みました。

 “生き残る” は生き物共通の宿命で、「生き残らねば・・・」は平等に課せられた厳粛な命題です。私たちが危機的状況に見舞われたとき、「生き残らねば・・・」と必死になるのは生き物として当たり前なのです。

 “生き残る” ために、どんな生き物にも備わっているのが自然治癒力です。負ったキズの影響が全身に及ばないよう阻止し、キズそのものを修復してくれる機能です。自然治癒力は生き物全てに大自然が平等に授けてくれた恵みです。遺伝子レベルで人間にも平等に備わっている野生の力です。DNAレベルの修復機構の存在がその証です。

 アルコールでイカレた脳でも大丈夫、自然治癒力はきっと回復させてくれると思います。大自然の摂理にお任せし、焦らずにみんなで一緒に自然治癒力を信じましょう。アルコールが脳から抜け切ったと実感するまでの辛抱です。アルコールは遅かれ早かれ必ず抜け去ります。“その時” と言ったのはこのことです。


 またまたエラソウな話になってしまいました。余計なお世話だったでしょうか?
こんなのを “自我の肥大” と呼ぶそうですが、これもドライドランクのせい?


病的衝動については「 “どうにもならない” 生きづらさって?」(2016.7.29投稿)
を是非ご参照ください。


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3 コメント

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ひげじいさんこんばんは (まーとん)
2017-04-02 21:44:49
断酒11カ月目のまーとんといいます。
継続断酒1年前後の時期が再飲酒の危険性が大きい。回復したと過信しやすくなる。
ほんとにそのとおりだと思います。
そして気を引き締めていこうと思いました。
アルコールが抜け去るその日を待ちます。

今日1日断酒を頑張りたいと思います。
返信する
Re. まーとんさんへ (ヒゲジイ)
2017-04-02 22:48:15
>まーとんさん、コメントありがとうございます。
「がまんの断酒」で大変な時期だとお察しします。

アルコールが完全に抜けた感覚は、人それぞれかもしれません。
私の場合は、“憑きモノが落ちた” 感覚というのでしょうか、
物の怪のようなものが抜け去ったような感じでした。
それまで頭(脳)に薄物のヴェールを被ってシビレたような感覚が
あったのですが、それがすっかり消えてしまいました。
それと同時に、「がまんの断酒」から飲まないでも普通となれました。

遅かれ速かれ断酒を続けていれば誰にも訪れるようです。
もう暫くの辛抱だと思いますから、どうぞ頑張ってください。
返信する
おはようございます。 (まーとん)
2017-04-03 06:23:27
おはようございます。
断酒1年を前にしてふあふあした感じです。飲酒欲求もほとんどなくなりふと回復したのではないか?もしかしてアルコール依存症ではなったのでは?なんてことも思ってしまったり
どうしても1年を考えがちなんですが今日1日、明日1日、断酒したいと思います。
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