おおたかの森と流山カナル物語

流山に住む主婦&薬剤師lalaの気紛れな日記
実は「福の神」らしいので、ゆったりまったり、周りを幸せにしていきます

アポトーシス・・・人は何故、癌で死ぬか

2013-05-16 11:13:21 | 震災・放射線関係・環境
「放射能怖い」さん達がよく話す言葉の中に
病気に対する知識が足りないな、とか、
間違ってるな、思うものがたくさんあります

例えば、これ
「最近○○さんが癌になったけど、それは福島原発事故が原因に違いない」とか
「原発事故から3年経ったら、福島では癌が増え、大変なことになる」とか

そんな言葉を見るたびに
『あ~、病気のこと、全然わかってないなぁ』とがっくりすると共に
そういった間違った情報を本当のこととして
他の人たちに拡散している様子を見ると
あまりの知識の無さに、腹立たしくなります

まあ、確かに他の病気と比べて、癌は治すことが出来ない場合もあり
それによって、不幸にも亡くなる人もいるから、
数ある病気の中で、癌だけが特別に怖がられる病気なんだと思いますが


ということで、そういった間違った知識を正しく直すため
今回は「人間は何故、癌で死ぬか」について記事にしようと思います

そのためにはまず、アポトーシスについて理解する必要があります

放射線被曝で癌になるかどうかの話の中で、
このアポトーシスと言う言葉を何度か聞いた方も多いと思います

アポトーシスとは、「プログラムされた細胞の死」だとか
「遺伝子によってあらかじめ決められた細胞の自殺」などと言われていますが
なかなか一般の人にはわかりにくいですね

私が初めてアポトーシスの話を聞いたのは今から10年以上前だったかな
理科大の田沼靖一教授の講演でした

その時、トカゲの尻尾を例えに、次のようにお話してくださいました

アポトーシスとは

トカゲの尻尾とは、皆さんもよくご存知の通り
外敵に、あの長い尻尾をつかまれ、捕らわれそうになった時
尻尾だけを切り離し逃げていく、という面白い生物の身体の部位です

では、その尻尾が無くなった後、どうなるのかと言えば
これもまたみなさんご存知の通り、
新しい尻尾が生えてきて、元の状態に戻るわけです

その尻尾の長さが、例えば10cmだったとすると
切り離した後から生えてきて、1cmになり、2cmになり
どんどんと伸びていきますよね?

では、その新しい尻尾は、永遠に、ズ~ッと伸びていくのでしょうか?

いえいえ、もちろん、そんなことはありませんよね
当然、10cm位になったら、その成長は止まり、
また元の尻尾の長さになり、元のトカゲと同じ状態で生きていくわけですよね

そう!
この、元の長さまで伸びて止まる、というのがアポトーシスなのです


つまり、無くなった尻尾の根元で細胞分裂が始まり
1個の細胞が2個になり、2個の細胞が4個になり、4個が8個に、8個が16個に・・・
というように、どんどん、どんどん細胞が分裂して尻尾が伸びていくのですが
元の長さまで伸びたら、もう細胞分裂を止めてしまうのです

そしてその後は古い細胞が捨てられ、新しい細胞が出来る
という新陳代謝を繰り返すわけです

では何故細胞分裂が止まるかというと、この尻尾の伸びていく細胞は
「10cmになったら細胞分裂を止めろ」と最初からプログラミングされていて
尻尾が切れたら細胞分裂して伸びる→元の長さになったら分裂細胞は死ぬ
という道筋が決まっているのです

これがアポトーシス
「プログラムされた細胞の死」
「遺伝子によってあらかじめ決められた細胞の自殺」なのです

このアポトーシスはトカゲの尻尾だけでなく
あらゆる生物の、あらゆる細胞の中に存在するプログラムで
生まれてきて、死ぬまで、あらゆる生物はアポトーシスに支配されて
生きているわけです

例えば、人間なら生まれた時は50cm程の身長だけど
それが成長と共にどんどん伸びて行く

ではその身長は永遠に伸び続けるかと言えば、決してそんなことは無くて
個体差や環境の影響はもちろんあるけど、
160cmとか170cmとかの長さになったら止まってしまいます

そしてそれは、最初に赤ちゃんとしてお腹の中にいたときから、遺伝子に
「身長に関わる骨の細胞の数が、160cm位になったら細胞分裂をやめろ」
というプログラムが組み込まれているわけです

だから永遠に背は伸びていかないし、指の長さも、大腸の長さも、歯の大きさも
その他、全ての身体の色々な部分の細胞は
決められた長さ、大きさになったら成長を止めてしまうのです

もちろん、新陳代謝もアポトーシス
細胞は、ある時期が来たら死んでしまい
新しい細胞が生まれてくる


落ち葉もそうですね
ある時期になったら葉っぱの色が変わり、落葉する
おたまじゃくしの尻尾もそう

このように、細胞の活動を止めてしまうことをアポトーシスというのです


そしてここで本題に入るのですが…

正常な細胞から変異した癌細胞には、このアポトーシスが無いのです

そのため、癌細胞が出来ると、アポトーシスがないため
どんどん、どんどん増えていってしまう
そしてどんどん大きくなることにより、人間の身体に影響を及ぼし
正常な機能が行えない状態になることによって、人間は死んでしまうのです

例えば、大腸癌
大腸の中で癌細胞がどんどん、どんどん増えていくとどうなるかと言えば
血液が流れなくなったり、腸が閉塞し便が出なくなってしまう

そして肺癌
肺の中で癌細胞が、どんどん、どんどん増えていけば
呼吸が出来なくなってしまう

血液の癌の白血病なら、正常に機能しない血液がどんどん増え
免疫機能が落ちたり、出血した血液が固まらなくなったり
正常な生命維持活動が出来なくなってしまう

更に転移を起こすと、様々な場所で癌細胞がどんどん増殖してしまう

つまり、なぜ人は癌で死ぬかというと
癌の増殖が正常な人間の機能に影響を及ぼし
機能低下によって生命維持活動が出来なくなるため、亡くなってしまうのです

だから例え癌細胞が存在しても
人間の生命維持機能になんの影響も及ぼさなければ
人間は癌の存在に気づかないし、そのまま天寿を全うすることが出来るわけです
甲状腺癌は進行が遅くて、それほど心配しなくて良い癌だ、
というのはこれが理由ですね

では、癌というのはそんなに一気に増えるものかと言えば、それは違います

人間の身体の中では、毎日毎時間、癌細胞が生まれていますが
身体の免疫機能によって、駆除されていきます
そして運悪く生き残ってしまった癌細胞があったとしても
その癌細胞が成長していくためには、年単位の日数がかかるわけで

検査で発見される1cm位の大きさになるには10年、20年の年数がかかり
それより大きくなって、いわゆる自覚症状が出るまでは更に年数がかかるのです

癌は大きくなるまで時間がかかります



そう、ここまで読んでもらえばわかりますよね?

つまり、もし仮に原発事故が原因で癌細胞が出来たとしても
その癌が成長して、発見される大きさになるためには
10年、20年の長い年数がかかり、
自覚症状が出るまでには、更にそれ以上の年数がかかるわけなのです

だから原発事故から2年しか経っていないのに
それが原因の「癌が見つかった」だなんて・・・
そんなことは絶対に有り得ないのです

そして「100mSvを浴びたら、20年後、30年後に癌になるかもしれない」
の根拠こそ、この癌細胞が生まれて、発見されるまでの年数
自覚症状が出てくる年数なのです

それなのに、原発事故後、「半年過ぎたら癌患者がたくさん出る」とか
「3年後、福島では癌患者が増えて大変なことになる」なんてこと言ってる人は
癌という病気も、アポトーシスも理解していない、
とんでもない人なんですよね

もちろん、μSvレベルでは癌は発生しませんから
まずは100mSvになってから、癌細胞はスタートすると考えて欲しいですよね

そうなると、「放射能怖いさん」達が怖がっている
0.5μSv/hの場所に24時間365日居たとしても
1年間で4416μSvにしかならないから、
100mSvになって、癌が発生するまでまず20数年
それから癌が1cmに成長するまで10年、20年

でも実際は部屋の中は0.2μSvとか、0.02μSvになっちゃうし
放射線は蓄積しないから、どうやったって100mSvなんて数値にはなりませんけどね


食べ物だって、そう

1kgあたり100ベクレルだの、10ベクレルだので大騒ぎしてるけど
100ベクレルのセシウムの放射線量は約0.9μSv
しかもそれは1kg食べた時の放射線量だから
一回の食事量で換算したら、摂取する放射線量っていったいいくら?

大騒ぎしている干ししいたけやシラスで考えても
一回の食事で数10gも食べないから、
1kg100ベクレルとしたって、1回の食事では0.1μSvにもならないでしょう
しかも毎食、毎日食べるわけじゃないから、
一ヶ月の放射線量なんて大したことないでしょう

それを発癌レベルの100mSvにしようと思ったら・・・

もうその時点で、発癌するレベルにするのは無理、
ということがわかりますよね


多分、多くの放射能怖いさんたちが勘違いしているのは
次のようなことなんじゃないかと思います

「20年後、30年後に癌になる」ということを
今ここで癌発生のスイッチが入って、20年後、30年後にポンと癌が産まれる
そう考えているんじゃないでしょうか?

まるで、時限爆弾のスイッチが入れられるように
放射線を浴びることにより、発癌のスイッチが入れられ
20年後、30年後に、癌が発生する、ってね

でもそんな簡単に大きな癌は出来ないんですよね
まずは癌化した細胞が生まれ、その後成長して
20年後、30年後に目に見える大きさになってくる
これが正解です

そして癌細胞が出来るには、100mSv以上の放射線量が必要なのです

でもそんな風にレクチャーしてる私ですが、
実は私も昔、癌になるということがどんなことか全く理解していなくて
癌が出来ると、周りの正常な細胞をムシャムシャ食べちゃうとか(笑)
周りの細胞をどんどん癌化して、最終的にはそこらじゅうが癌になって、
そして人間は癌に占領されて死んでしまう
と思っていたんですよね

だから田沼先生のアポトーシスのお話は、目から鱗で
『あ~、だから人間は癌で死ぬのかぁ』と理解できて感激したんです

田沼先生のお話では、癌細胞にアポトーシスを起こすためにはどうしたらよいか
という研究が進められている、ということで
そういった薬の開発も進められているようです


以上

人は何故癌で死ぬのか、わかっていただけたかしら?

このアポトーシスと癌について、きちんと理解して
その上で、放射線を正しく怖がってくださいね
そして、何故μSvレベルでは癌にならない、と本当の専門家達が言っているかを
理解して欲しいと思います


ヒトはなぜ死ぬのか?

そもそもがんとは何か
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2 コメント

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「また私ですが」さんへ (lala)
2013-05-26 15:53:42
どの「私」さんかわかりませんが・・・

この英文だらけの地図、
まるで土壌が汚染されているかのような地図ですね
私は最初、Ayuがなんだかわからなくて
『アイウって、なんだろう?どんな放射性物質?』と
散々悩んで調べていたけど・・・、鮎だったんですね

となると、この地図は、まるで色の付いた土壌が
放射性物質で汚染されているように描かれていますが
実は捕獲した鮎の1kg当たりのセシウム量を表したものですよね?

しかも2011年5月から9月に捕獲した鮎と書いてあるけど
鮎って移動する生き物だから
この色を塗った地域で捕獲した鮎の放射線量が200ベクレルだからと言って
その地域の土壌や生物が同じく200ベクレルだとは言えないんじゃないのかしら?

それに鮎がいない川もあるだろうし、川のない地域もあるわけだし
それなのに、川ではない所も色を塗ってるのは何故???

ん・・・この分布図の意味するところは何なんでしょう?
しかも日本文ではなく、英文で書かれてる文章を見せられても
チンプンカンプンだなぁ

「私」さんはこの英文の資料を読んで
「海外の見方」と思ったようですが
分布図を作ったのは滋賀大の経済学部の先生ですよね

なんだか、放射性物質や放射能のなんたるかもわからない人たちが
同じようにわからない人たちに
不安を植えつけるために描かれている地図にしか見えないけどなぁ
そしてまさに「私」さんは、その不安の壷にすっぽりはまってしまったみたいですよね


確かに放射性物質が飛散した事実はあるけど
要はそれがどの程度人体に影響があるかが問題なので
食べもしない鮎のベクレル数を測っても意味がない気がするけど?

ベクレルではよくわからないから、
人体への影響を表すシーベルトに直す必要がありますよね

セシウム137の放射線量は、ベクレル数に係数1.3×10のマイナス8乗
つまりベクレル数に1.3をかけて10の8乗で割るから、200ベクレルなら2.6μSv
そしてそれは鮎1kgの値ですよね

でも鮎は1匹100g位だから、まるごと食べても0.26μSvくらい

それを発がんリスクが0.5%上がる100mSv、つまり100000μSvにするには
どれくらい食べる必要があると思いますか?

計算するのも嫌になっちゃうけど、38万匹以上ですよ

それの何処が心配なの?
毎日食べたって1000年以上かかるけど

>数年後~10年後(?)どのような影響が出るのか
我々で実験中っていうわけなんですが..。それにガンだけじゃないし

ん・・・これも、なんだかなぁ

「実験中」というか、データを蓄積しているだけでしょ?
それは何故かと言えば、あらゆるデータを集めて
今後起きるあらゆることに対処するため

よく「私たちはモルモットじゃない!」って大騒ぎする人達がいるけど
きちんとデータを取って、本当に病気になるのか、本当に大丈夫なのかを
ちゃんと調べていくのは当たり前のことでしょう?

むしろ、積極的に協力すべきじゃないの?

一方で、「病気になったらどうする!」と大騒ぎするくせに
病気になった時どう対処したらいいか、を考えるためのデータの蓄積に対して
やいのやいのと文句を言うなんて、矛盾してません?

様々な専門家達が考えていることは、癌になるかどうかだけではなく
癌になったらどうするかであって、それも含めて、
今、そしてこれからの様々なデータを集めているんですよ

それと、「ガンだけじゃないし」って、癌以外の病気だと何になるの?何が心配なの?
まさか、鼻血だの、喉のイガイガだの、倦怠感だの噂を信じてるんですか?

そんなμSvレベルで、鼻血が出たら、
肺や胃や歯のレントゲン検査では数秒間でmSvレベルの放射線を浴びるわけだから
レントゲン検査を受けた人はみんな、鼻血だらけ、病気だらけになっちゃうんじゃないの?

あなた自身、過去にX線検査を受けて、どうだったんですか?
鼻血は出たの?下痢をしたの?調子が悪くなって寝込んだの?
そういうことに対しては、何の疑問も持たないの?

だいたい、もしそんな危険なものなら、
日本人はこんな長寿の国にはならなかったんじゃないの?


何度も言うけど、原爆が落ちた広島や長崎の人は
特別身体の弱い県民にはなっていなくて
広島はむしろ、長寿の県になっているんですよ

この二つの都市が廃墟にならずに、多くの人達が暮らしているのは何故か
「私」さんは一度、広島や長崎に行って、現地の人たちの声を聞いてみたらいいんじゃないのかな?


まあ、怖がりたいなら、怖がってもかまわないけど
薬剤師として、様々な病気のことを勉強している私から言わせたら
病気で一番問題なのは、神経系の病気

つまり自律神経や中枢神経

特に自律神経は、内臓や血管や呼吸やホルモン系など
身体のありとあらゆる場所に影響を及ぼすから
いわゆる「気」に病めば病むほど、体調が悪くなります

それが酷くなると、中枢神経系に影響が出て、不眠になったり、うつ病になったり
それによって死ぬことはないけど、苦しくて辛い症状になります

「気」に病むか、病まないかは、あなたの「気」持ち一つで大きく変わります

免疫力も同じです

「気」に病めば病むほど免疫力は落ちて、ウィルスや紫外線、気温の変化などなど、
普通の人なら病気にならない量でも大きな病気になってしまいます

それって、バカバカしいと思いません?

何年先、何十年先の、罹るかどうかわからない
怪しげな病気を恐れて心を暗くするより
更にもう一歩、考え方を進めて
では「その病気になったら、どうしたらいいか」
「その病気になったら、どの先生に診てもらえばいいか」
を考えてみたらどうですか?

そのためには、誰の言うことを聞いたらいいのかを考えたら
火山学者さんや物理学者さんや経済学者さんの
言うことを信じてはダメでしょう

そのためにはちゃんとした、専門のお医者さんの言うことを聞かなくちゃね

あなたが心配している病気の専門家を探して
もしその病気になったらどうしたらいいかの助言を受けたらいいですね
そうすれば、心配している病気が、実は全然心配する必要がない
ということに気づくんじゃないかと思います

そして一日も早く、心配の壷から抜け出せる日が来るのをお祈りしています

この鮎のベクレル数は2012年にはずいぶん下がったようですので
以下のtogetterを参考にしてください
最初の書き込みでは大騒ぎしていますが
最後の方では否定されていますよね
http://togetter.com/li/499409
返信する
海外の見方 (また私ですが)
2013-05-17 05:16:39
日本では汚染図はパニックになるらしいから出さないですが、まあ、こんなふうに汚染されたのは事実なので、
数年後~10年後(?)どのような影響が出るのか我々で実験中っていうわけなんですが..。それにガンだけじゃないし。http://www.nature.com/srep/2013/130429/srep01742/fig_tab/srep01742_F3.html
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