東京理科大の小島周二教授から
2006年に発表された、先生の研究論文の抜粋をいただいてきました
マウスに低線量γ線を照射することによりマウスの免疫機能が活性化、
つまり免疫機能が上がったという実験データと研究結果です
放射線科学の世界ではおよそ0.2Sv(200mSv)以下を「低線量」と言うらしく
先生の実験でもマウスに照射した低線量γ線とは、0.5Gy(グレイ)
GyとSvはだいたい同じと考えても、μSv(マイクロシーベルト)の100万倍
人間はマウスの倍の感受性を持つと言われていても
それでも東葛地域の放射線レベルでは全く比較にならない線量ですが
英文の論文の日本語版で抜粋なのですが内容は以下のようです
●低線量γ線をマウスに1回全身照射すると
肝臓、脾臓、脳などの臓器で、抗酸化物質グルタチオン濃度が増加する
この増加は照射後12時間程持続し、24時間後には元の状態に戻る
●0.5Gyのγ線照射したマウスと、無照射のマウスを比較すると
照射したマウスでは、還元型グルタチオンの濃度が増え
免疫機能に関わるNK(ナチュラルキラー)細胞が増えた
また照射によってグルタチオンの原料(前駆物質)の
システインも増えることがわかった
●がん細胞を移植したマウスに、1時間当たり0.5Gyのγ線を
1週間に2回、計4回照射したところ(グラフ下●印)、
非照射のマウス(グラフ上〇印)より、がん細胞の増殖が抑えられた
などなどの実験データが載せられています
その他、アレルギーに関わるヘルパーT細胞のTh1、Th2のバランスも
Th1よりTh2が増えることによりアレルギーが発症するといわれていますが
低線量γ線の照射によってTh1タイプへのシフトが進むため
免疫疾患にも利用できるのではないか、ということで
今後は免疫疾患に対する低線量放射線の作用を研究していくと結んでいます
てことは、花粉症やアトピーにも利用できるってことですよね
すごい!
ということで、なんとか読み終えましたが
いやぁ、なかなか興味深い研究内容でした
でもとにかく専門的過ぎて難しく、6割ぐらいしか理解できてないかも
はぁ、疲れた
まあ、こういった研究を続けてこられたから
マイクロシーベルトレベルの放射線では免疫機能さえ反応しないので
(生体に何の影響も無いから免疫機能も反応しない)
問題無い、とおっしゃっていたんでしょうね
このようなデータを出すために、
何千匹ものマウスが研究に使われているそうですが
マウスを使った低線量照射の研究は、日本では
理科大の小島先生と、長崎大でしか行われていないそうです
因みに、7月2日の講演で示された
(財)環境科学技術研究所で出された資料
一日0.05mGy(毎時2.3μGy)を400日照射したマウスに
体重、寿命、白血病の変化は見られず
そのマウスの子世代にも出産数、寿命、リンパ腫の変化はなかった
という実験データですが
マウスの400日というのは、人間の40年になるので
0歳から40歳まで照射しても、変化がなかったということになるそうです
これはちょっとびっくり
そしてこの総線量20mGy(Sv)というのが、職業人の年限度線量になったそうです
なるほどねぇ
小島先生の研究は更に更に進んでいくでしょうけど
今後はもっともっと、色々な大学や研究所で研究がなされ
低線量放射線の生体に対する影響がわかってくればいいなと思いました
放射性物質が気になるなら