多和田葉子氏の連載、「研修生」が2025.3.11に終了した(読売朝刊 457回)。
氏はこれまで国内の各賞を総なめにしているほか、海外でも受賞し、ノーベル賞候補ともいわれている。
それだけに連載が始まるときはどんな内容になるか期待を持った。
が、ガーン😨。
響くものは何もなかった、最終まで。
いったい何を書きたかったのか、伝えたかったのか。女子学生の留学日記とどう違うのか。
近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの「神は細部に宿る」という言葉が好きで実際、前川国男設計の建物が職場の建物であったときは、日々実感していた。
その言葉は建築でなくても文学でもあてはまる。
もう20年以上前になるが、浅田次郎の朝日新聞での連載「椿山課長の七日間(2001.7.2~2002.4.16)はテーマがかた苦しいものでないにもかかわらず細部ともいえる各回の叙述に読み手に迫ってくるようなリアル感がありドキッとするほどだった。
文章の名工の手になるとこんなにも違うのかと驚いた記憶がいまだにある。
残念ながら「研修生」にはなかった。
「神は細部に宿る」というのは、細部(デイテール)まで妥協せずに仕上げることで全体の完成度が高まるという意味らしいが、私は逆も真なりで、細部を見るだけでも全体の完成度を推し量ることができるとも思う。
今、読売では『はこ』という神田川沿いの日常生活を舞台とする連載が始まっている。
作者は松家仁之という小説をほとんど読まない私にとって未知の人であるが読みやすく生き生きしている。浅田氏に近いかも。
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