本日1月10日は、ガイウス・ユリウス・カエサルが元老院の命令を無視してルビコン川を渡りイタリアに侵入した日で、小石川養生所が開設された日で、アメリカ合衆国とバチカンが117年ぶりに国交を回復した日で、中国河北省北部でマグニチュード6.2の地震が起こった日で、ハマーン・カーン様のお誕生日です。
本日の倉敷は曇りでありましたよ。
最高気温は八度。最低気温はマイナス一度でありました。
明日も予報では倉敷は曇りとなっております。
少し前のこと。
狐の友人に小さく愛くるしいのがいた。
そして小さく愛くるしい奴には彼氏がいた。
この小さく愛くるしい奴の彼氏は、小さく愛くるしい奴の為に煙草を止めようと決心した。
小さく愛くるしい奴は彼氏のその決意を聞き、「嬉しい」と呟いて俯いた。
嬉しそうであつた。
「僕の意志の強さを信じて呉れるね?」
彼氏の声も真剣であつた。
小さく愛くるしい奴は黙つてこつくりと頷いた。
信じた様子であつた。
小さく愛くるしい奴の彼氏の意志は強くなかつた。
その翌々日、小さく愛くるしい奴の彼氏は既に煙草を吸つていた。
日暮れて、小さく愛くるしい奴の彼氏は蹌踉、小さく愛くるしい奴の前に立つた。
「すみません」と小声で言つて、ぴよこんと頭を下げた。
小さく愛くるしい奴の彼氏は、真実悪い。と思つていた。
小さく愛くるしい奴は笑つていた。
「駄目よ。揶揄つてばかり」
小さく愛くるしい奴の彼氏は戸惑つた。「おや。僕は、僕は、本當に煙草を吸つてしまつたのだよ」
「たんと、たんと、揶揄いなさい」
小さく愛くるしい奴の彼氏は改めて小さく愛くるしい奴の瞳を凝視した。
「だって」小さく愛くるしい奴は濁りなき笑顔で応じた。「誓つたのだもの。吸うわけないわ。揶揄つているのね」
てんで疑つていないようであった。
小さく愛くるしい奴の彼氏は、後に狐に「あんな切なかつたことはございませんでした」としんみり述懐して、行儀良く紅茶を一口啜つた。
狐は、小さく愛くるしい奴が彼氏が我慢できずに煙草を吸つたことを知つていることを知っている。
小さく愛くるしい奴は彼氏が小さく愛くるしい奴の前に立つた時に匂いで分かつたそうだ。
今はもう小さく愛くるしい奴の彼氏は煙草を吸つていない。そうである。
小さく愛くるしい奴によると、「彼氏から煙草の匂いが全くしないので彼氏は煙草を吸つていないと断言できる」ということらしい。
匂いでわかるとは。
何だか淫靡な感じがして話を聞いていて狐は一寸どきどきしてしまつた。
でも、どきどきしたのはあくまで一寸だ。