本日2月26日は、行基が大僧正になった日で、江戸城大奥の絵島が生島新五郎と密会した日で、ナポレオンがエルバ島を脱出した日で、プランス・ドイツ間でヴェルサイユ仮講和条約が締結されて普仏戦争が終結した日で、ベルリン協定が締結されて列強によるアフリカ分割の原則が決定された日で、日本陸軍の青年将校らがクーデターをおこして内大臣齋藤實・大蔵大臣高橋是清らを殺害した二・二六事件がおきた日で、ベトナム戦争で南ベトナムビンディン省タイソン県ビンアン村のゴザイ集落を訪れた韓国陸軍首都機械化歩兵師団・猛虎部隊が住民380人を集めて一時間のうちに一人残らず虐殺したゴダイの虐殺があった日(首都師団はゴダイの虐殺と並行してビンアン村の近隣にあるタイヴィン村で1200人を虐殺するタイヴィン虐殺を行っている)で、パリでベトナム和平保障国際会議が開催された日で、飛鳥時代の迎賓館跡とされる奈良県明日香村の石神遺跡から元嘉暦に基づく具注暦を記した木簡が発見された日です。
本日の倉敷は晴れでありました。
最高気温は八度。最低気温はマイナス一度でありました。
明日は予報では倉敷は曇りとなっております。
明日から、あかりで倉敷美観地区一帯を彩るイベント『倉敷春宵あかり』が始まりますよ。
日時は、2月27日・3月5日・3月12日・3月19日・3月20日です。
時間は、18時から21時まで。
2月27日は17時30分からオープニングイベント。
2月27日から3月20日まで毎日施設や町屋で影絵を映し出す「影絵あかり」をするそうです。
期間中の毎週土曜日には「あかりイベント」が開催されます。
3月19日と20日はスペシャルデーとなっております。
本日はネタがないので遊んでみました。
お目汚しであります。ご容赦くださいませ。
或る冬の日暮です。
倉敷美観地区の大原美術館の門の下にぼんやり空を仰いでいる一人の愚か者がありました。
愚か者の名は狐といつて元は蝶よ花よと言はれて育つたにもかかわらずぽんこつでぼんくらで怠惰な性の為に孤独の荒野をひた走る哀れな身分になつてゐるのです。
何しろ倉敷美観地区といへば日本に名だたる観光地ですから往来にはまだしつきりなく人や車が通つてゐました。
門一ぱいに当たってゐる油のやうな夕日の光の中に老人のかぶつた帽子や女の金の耳環や男の持つカメラが絶えず流れていく容子はまるで画のやうな美しさです。
しかし狐は相変わらず門の壁に身を凭せてぼんやり空ばかり眺めてゐました。
空にはもう細い月がうらうらと靡いた霞の中にまるで爪の痕かと思ふ程、幽かに白く浮かんでゐるのです。
「日は暮れるしお腹は空くしでも一緒に御飯を食べる人もいないし、こんな思ひをして生きてゐる位ならいっそ倉敷川へでも身を投げて死んでしまつた方がましかもしんない」
狐はひとりさつきからそんな阿呆な取りとめもない本気でないことを思ひめぐらしてゐたのです。
すると何処からやつて来たか、突然狐の前へ足を止めた老人があります。
それが夕日の光を浴びて大きな影を門に落とすとぢつと狐の顔を見ながら、「お前は何を考へてゐるのだ」と突然に横柄に言葉をかけました。
「私ですか。私はすい~とはに~に出会うことなく孤独の荒野を全力で駆け巡り過ぎて疲れ果ててほとほと困り果ててどうしたものかと考へてゐるのです」
老人の尋ね方が急でしたから狐はさすがに眼を伏せて思はず正直な答えをしました。
「さうか。それは可哀さうだな」
老人は暫く何事か考へてゐるやうでしたが、やがて往来にさしてゐる夕日の光を指さしながら、「では俺が好い事を一つ教へてやらう。今この夕日の中に立つてお前の影が地に映つたらその頭に当る所を夜中に掘つて見るが好い。きつとすい~とはに~とやらが埋まつてゐる筈だから」
「ほんたうですか」
狐は驚いて伏せていた眼を挙げました。
所が更に不思議な事にはあの老人は何処に行つたのかもう周囲にはそれらしい影も形も見当たりません。
その代わり空の月の色は前よりもなお白くなつて休みない往来の人通りの上にはもう気の早い白鷺が寝床を捜してひらひら舞つてゐました。
大原美術館の前の道は混凝土です。掘れません。
そして混凝土に埋まっているすい~とはに~は幾ら何でも怖すぎます。
狐はやはり夕日を浴びて大原美術館の門の下にぼんやり佇んで空ばかり眺めていたのでありました。