園芸ケアの模索~based on Horticultural Therapy~2nd season

ひとと緑のコラボレーション 園芸療法。ひととコミュニケートするツールとしての園芸のかたちを模索中です。

出会いは学び~相談援助実習から~

2009-11-24 13:44:01 | 社会福祉士通信制の学び
「転」が飛んで「結」の章です。

知的障害者施設での実習を終えてみて、本当に、貴重な時間を過ごしたと思えます。

数多くの実習やボランティアを受け入れている施設ですから、入所者の皆さんはまた来る別れを割り切って考えることにしてるようにもみえました。
でも、私にとってこの出会いは忘れられないものだろうと。

“ひとつの個性として障害者が受け入れられるべき”という施設の生活支援員である職員の考え方が、
少し実感として解る気がしています。

だから、福祉に携わるか携わらないかにかかわらず、ひとは交流して理解し合うことの大切さを感じました。

そのもう一つの理由は、つい先日のスクーリングでホームレスの当事者と意見を交換する機会があったことにもよります。

NPO法人熊本ホームレス自立支援の会 事務局長の吉松裕蔵氏が講師のこの日、4コマの1つがそれでした。

‘この方の相談に乗ってください’ということで、まず受講生の中からひとりが支援者役で話をし、
あとは講師の解説も含めてフリートークでした。

当事者のAさんが中程で、
「皆さんに聞きたいことがあるんです。自分たちのことをどう思っていますか?ひとりづつ教えてください。」
と言われ、全員がそれぞれに子ども時代の印象や大人になってから抱いていた偏見、感想など発言するきっかけをつくりました。

これもかなり、ある価値観を転換する出来事でした。

この数週間、多くの出会いと思考の連続のなかにあります。


[写真は、施設で交流した70歳近くの方が描いたスケッチ]

園芸療法学会にて

2009-11-15 11:29:40 | Weblog
来年の話ですが、地域との交流を図りながら活動するため、自己啓発を兼ねて学会へやって来ました。

人間・植物関係学会から派生した園芸療法学会。
昨年第1回目は東京でしたが、今回は関西、長く所属している研究会西日本(はなとわ)の会員方も来られています。

午後から発表5題、教育講演2題。
今回から園芸療法士登録に向けた教育講演が取り入れられています。

東京農大の浅野先生は、園芸療法の「場」を、クライアントとともにダイナミズムに展開させていくということを、゛ミリュー・セラピー゛という概念で話されています。

懇親会では、大会長の公文康先生(リハビリテーション病院長)とも灘の美酒を勧められつつ、園芸療法を実践する意義の大きさを説かれたりと、和やかに交流できる雰囲気でした。

鹿児島からの数名の参加者の皆さんと知り合えたことは、収穫のひとつです。

ちょっと無理を承知で足を運んだ甲斐が、予想以上にありそうです。
ひとまず、様子まで。

障害者と野菜作り~相談援助実習から その②~

2009-11-08 13:58:36 | 社会福祉士通信制の学び
 「起承転結」の「承」の1週間も無事終了。
 日誌を仕上げるのに毎晩苦闘し、睡眠不足気味
 でも折り返し地点まできました。

 この週も園芸部門での支援が1日ありました。
 週末のバザーに出す野菜の準備に追われ、職員さんも「利用者さんそっちのけだった~。」とこぼしながらの作業。
 みかん、キャベツ、ほうれん草、サラダホウレン草、小松菜、深ネギ、椎茸、菜っぱ、水菜、たけのこ芋、などなどです。

 葉っぱ物は、外側の小さい葉、大きすぎる葉、虫食いの葉、傷んだ葉をはずし、水洗いして土を落とし、余分な茎を切り落とします。
 仕上げたら、重さを計って袋に入れます。
 水気をきって、新聞紙を敷いたダンボール箱に詰め、数を確認して新聞紙で蓋をします。

 こうした一連の、出荷のための工程において、利用者が参加できるのは、
〈運ぶ〉〈葉を取り除く〉〈袋を一枚づつ手渡す〉〈水きり用に袋の角を切る〉〈取り除いた野菜くずを畜産部へ持っていく〉
〈新聞紙を敷く〉〈必要な道具を用意する〉といったことです。

 切ったり、洗ったり、計ったりの、直接商品価値を左右するところには携わりません。
 
 私も、深ネギの葉を切って箱に入れてもらっていたところ、束を数えながらやっているか?を指摘されました。
(生産部分のブレーンらしい職員さんです
 また数えて入れ替えればそれだけ野菜を傷める、ということ。
 そして、出荷までは野菜を立てて保存するなど…
 それだけ、商品として気を遣って栽培・収穫をしなければならないのだと知りました。

 障害者の施設で作るものだから、少々の見栄えは大目に見てもらえる、ということはないのでしょう。
 店頭や市場に出る農家の野菜と肩を並べて、売れるものにするのは、細かな労力が要ります。
 それに利用者が携わるには、ある程度の能力が必要です。

 施設園芸(ビニールハウスなどでの計画栽培)を障害者施設で行うのは、色々とジレンマがありそうです。

 でも、安心しておいしく食べられるのがいいところ。
 昼食に出されるみかんは自然な甘酸っぱさです。
 ひとつ100円で買って帰ったら、小松菜も柔らかく、サラダホウレン草はあくがなくておいしかった!
 作業しながら、利用者さんにそう話しました。

 後半も何か発見があるのではないかと、期待しているところです。


[写真はまだ青いもみじとクロガネモチの小枝に、
ジーン・ロサート著園芸療法研修会監訳
『障害者 高齢者のための バリアフリーガーデニング』“The Enabling Garden”(2002)エンパワメント研究所]