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きまぐれ雑記

日常の出来事と私の好きなものを思いつくままにゆっくり記していきます

不惑ワクワクの会改めシメシメの会

2015-11-24 20:38:37 | 観劇・伝芸
久しぶりに大江能楽堂で茂山家の狂言会を観てきました。

当初、この狂言会は初の宗彦さんの主催で、宗彦さんの40歳の記念として七五三家のみの出演での会という告知でした。

 ⇒ 

でも、実は宗彦さんのお父さんである七五三さんの襲名20周年を祝うために宗彦さんが仕掛けたサプライズの狂言会だったのです。

通常、狂言会では入り口でチケットのもぎりの後、簡単な公演パンフレットが配布されます。

でも、この日、パンフの配布はなくて、おかしいなと思っていたのですが、開幕直前に配布されたのが七五三さんの襲名20周年のパンフでした。

その中に今回の会はいつも好き勝手をさせてもらっているので七五三さんとその奥様の紀世江さんへの感謝のプレゼントとして企画したという趣旨の事が書かれていました。


さて、狂言会の番組は宗論と萩大名。

「宗論」都への道連れになった、浄土僧と法華僧が、宗派の優劣を競う論戦を繰り返した後に仲直りをするお話。

この2つの宗派の僧を、宗彦さんと逸平さんで上演。

お二人は兄弟なので、息が合っていてとても楽しい。

通常、狂言では最後の橋掛かりを歩かれる時以外に拍手が起こる事はないものなのですが、この日は、お互いに踊り念仏と法華題目を掛け合う場面で拍手が起こりました。


「萩大名」は大名役の七五三さんの少しとぼけた感じが楽しい。

又、前回、萬斎さんの狂言会で上演された時にも書きましたが、目の前に萩の咲くお庭があるように感じられる語りが素敵でした。



終演後の挨拶で七五三さんはこの事は全く知らされておらず、ご自身が襲名20周年であることも知らなかったとの事で本当に嬉しそうでした。

宗彦さんはしてやったり的なお顔をされていましたが、半分は照れ隠しかも。

能楽堂の出口付近でお客様を見送っておられた七五三さんの奥様も本当に幸せそうな笑顔で立っておられて、その喜びがこちらにも伝わって、ついつい笑顔になっていました。

私的には宗彦さんの40歳の記念の会としての企画なら宗彦さんの誕生月か、その近くでの開催のはずだし、何かあるのかあと少しだけ思っていました。

でも、そのサプライズは宗彦さんに関する事かなと想像していたので、やはり見事に騙されたんですよね。

こんな幸せになれる嘘なら大歓迎です。

本当に茂山家の皆さんは個性的ですが、愛のある皆さんですね。
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万作を観る会in本願寺南能舞台

2015-11-12 20:42:19 | 観劇・伝芸
5日に京都の西本願寺さんの南能舞台での万作を観る会に行ってきました。



この公演のお知らせが届いた時は平日だったので少し迷いましたが、本願寺さんの南能舞台という魅力的な公演場所に惹かれて行く事に。

見所は国宝の書院の対面所の鴻の間で、ここに入れるというだけでも嬉しいのに、実際に能舞台が使用されているのを観る事ができるのですから、これは私には二倍も三倍も嬉しい企画でした。

以前は予約をすれば、能舞台などは拝観できていたようですが、今は工事の関係で拝観は出来なくなっていますし、たとえ拝観できたとしても建物だけですし、まず、狂言だけの会がここで開かれる事がほとんどないでしょうから・・・。



演目は万作さんによる「奈須与市語」と萬斎さんがシテの「悪太郎」。

開演前に萬斎さんによる演目の解説がありました。

萬斎さんの狂言の解説を聞くのは本当に久しぶりでしたので、ちょっと不思議な気分。

その萬斎さんのお話によれば、今回の公演は万作さんが切望されていたとの事で、万作さんがこちらの能舞台に立たれるのは今回が3度目なんだそうですが、萬斎さんご自身は初めてとおっしゃっていました。


万作さんの「奈須与市語」は今年の1月に名古屋の狂言会でも拝見させていただいてるのですが、今回、その時よりもかなり離れた所での観劇だったにもかかわらず、その時よりも声が届いていたのに驚きました。

先ごろ、文化功労者に選ばれた万作さんですが、その素晴らしい語りを素敵な場所で拝見できて嬉しかったです。


「悪太郎」はお話の中に「南無阿弥陀仏」という念仏が登場する狂言なので、場所的にはぴったりと言えるのですが、かなり珍妙なやり取りになる狂言らしい曲。

その中で萬斎さんの悪太郎をからかおうとする万作さんの悪戯っぽい表情が生き生きとされてるのが素敵でした。



今回の公演は座布団の席とイス席にわかれていて、希望する方を選ぶことが出来ました。

私は何も考えずにイスの席を取らせていただいたのですが、この日は暑いくらいの日で、前の座布団のお席には太陽の光が差し込んで暑さとまぶしさで大変そうに見えました。
イス席の方は柱が多くて見づらい部分もあったのですが、紫外線に弱い私としてはこの席で正解だったようです。

見所や見所からの写真撮影は禁止でしたので、見所に入る入り口と、外側から南能舞台の屋根(多分ですが)の写真を取りましたので、ここに貼ります。



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狂言ござる乃座 in KYOTO 10th

2015-10-13 21:10:02 | 観劇・伝芸
10年目を迎えた京都での野村萬斎さんの狂言会に行って来ました。

10年目という事で会場は観世会館で、大曲の「狸腹鼓」の上演。

これは絶対に行きたいと思ったのですが、開催日が例年の11月ではなくて10月。

「何故10月なの」と思わず声が出てしまう程に10月は他にも色々予定がある月でした。

でも、萬斎さんの狸はまだ観た事がなかったので、他の公演を諦めてこちらを優先しました。



パンフレットにも演劇評論家の宮辻さんが書かれていましたが、京都以外を地盤とする芸能者が自身の会を十回も続けてきた例は他にはなく快挙だと。

私が狂言を観るようになった頃は能楽の役者さんたちは地域によって住み分けができている感じで、特に京都においては茂山家がしっかり浸透しているので、自身の会は言うに及ばず、能公演においても呼ばれる事は少ないと言われていた記憶があります。

それが狂言会で10年も続いてると思うとそれだけでなんだか嬉しくなってしまいます。

そんな私ですので、観世会館で萬斎さんの狸を観る。それだけでも胸熱なのに、なんと脇正面の最前列というお席を頂戴してまして、チケットを手にした時は思わず「マジか」と声が出た程でした。

さて、今回の狂言会のメインである「狸腹鼓」は一子相伝の秘曲で、少し前に東京で上演された時のドキュメンタさリーがTVで放送されたりもしていました。

野村家の狸を観るのは今回が初めてでしたが、茂山家の狸は2度程拝見した事があって、その時の印象としては「釣狐」と話の内容が似ている所があるけれど、全体的な印象は狐よりも明るくてコミカルな感じを受けていました。

でも、今回は少し印象が違っていて、鳥獣人物戯画的な明るさと哀愁のある笛の音が交錯する舞台で、私に残ったのはどちらかというと哀愁の方だったのです。

ラストに月を見上げる狸の表情は少し哀しげに見えたのです。命を助けれられて嬉しいはずなのに何故かそう見えたのです。
そしてその憂いを払うように幕の中に消えた狸の姿がとても印象的でした。

その姿を観た時、何ともいえない感動を覚えたのでした。

やっぱり萬斎さんって凄い方だなと改めて感じた瞬間でもあり、この会の観劇を選んで正解と思いました。



もう1つの演目は万作さんがシテの「萩大名」。

実はこの「萩大名」は私が初めて狂言を観た時の演目の一つで、万作さんがシテでした。

その時も私のような想像力の乏しい客にも目の前に萩の花を感じさせる演技に感動したのですが、今回も又、素晴らしくて楽しい曲となりました。

来年のござる乃座は11月に戻るようです。
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2015-07-11 20:01:54 | 観劇・伝芸
兵庫県立芸術文化センターで敦を観てきました。



タイトルの敦は作家の中島敦の事。

中島敦の作品は現在は教科書にも取り上げられているそうですが、私が学生時代には学んだ記憶が無くて、10年前に世田谷パブリックシアターで上演されたこの作品でその存在を知りました。

この舞台は敦の短編小説「山月記」と「名人伝」を野村萬斎さんが構成と演出・主演を務めて舞台化したもので、4人の敦が物語を進行してゆく形で展開されます。

随所に狂言の語りや技法が取り入れていてこれが作品にマッチしているのが素晴らしいですし、「名人伝」で使われている映像演出も物語をよりわかりやすくする上で効果的で楽しめました。

そして亀井広忠さんの大鼓と藤原道山さんの尺八が作品に寄り添っているのが心地良かったです。

2つの作品の根底には「私とは何か」「生きるとは何か」「死ぬとは何か」というテーマがあって観る者に問いかけてくる印象があり、「人の一生は何もなさないならば、とても長いが、何かをなすにはあまりにも短い」という言葉が心に残りました。


余談ですが、前回この作品を観た時に何故か安部公房の「赤い繭」だと思った記憶があるのですが、今回も「赤い繭」を読んだ時の感覚が蘇ってきました。不思議です。
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ござる乃座 in NAGOYA 18th

2015-05-30 20:26:42 | 観劇・伝芸
久しぶりの狂言会。

名古屋能楽堂で野村萬斎さん主催のござる乃座。

暑かった。真夏のようでした。

今年で18回目。



今回のプログラムは狂言3曲。

「二人大名」 「川上」 「仁王」


メインは萬斎さんがシテを務める「川上」

この曲は狂言には珍しく笑いの部分がほとんどない物語で、あまり頻繁に上演される曲ではないので、私が拝見するのは今回が2回目か3回目だと思います。

内容は吉野に住む盲目の男が霊験あらたかな川上地蔵に開眼をお願いするために参詣に出かけ、参籠の夢にお告げがあって目が見えるようになる。

ただし、開眼の条件は妻との離縁。

これを聞いた妻は腹を立てて承知せず、男も折れて離縁を思いとどまると再び目が見えなくなるというお話。

何だかとても考えさせられる内容で、幸せとは何なんだろうかと思います。

そして前回観た時にも思ったのですが、妻は男を大切に思っているので離れたくないと言いますが、大切な人だから身を引くという展開も考えられるのにあえてその結末にしていないのはやはり意味があるんだろうなという事です。

ただ、全く答えは見つかってないんですけど・・・。


この曲、前半の部分はほとんど一人芝居の形なので、萬斎さんが語り続けます。

かなり長い一人語りですが、演技力となめらな語り口で流石でした。


他の2曲はいずれも狂言らしい、笑いのある楽しい曲でした。

次回の名古屋でのござるは来年4月との事。

でも、その前に京都で今年もござるがあります。

しかも、狸が出るみたいで、すごく行きたいです。

何故10月なの・・・。

これ以上、10月は予定入れられないかもと思っているのになあ。

名古屋でも狸、やって下さい。



余談ですが、今回の狂言会には万作さんが参加されていませんでした。

これまで野村家の狂言会で万作さんがいらっしゃらない事は無かったので、ちょっと驚きました。
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