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きまぐれ雑記

日常の出来事と私の好きなものを思いつくままにゆっくり記していきます

君となら

2014-09-30 20:17:28 | 観劇・ストレートプレイ
名古屋の名鉄ホールで三谷幸喜さんの「君となら」を観て来ました。



竹内結子さんの初舞台作品として話題になった作品ですが、この日はその大千秋楽。

千秋楽を狙ったわけではなくこの日しかチケット発売日に予定を入れられる日がなかっただけなのですが、会場は満員の盛況でした。


今回の上演は再々演なのですが、私は初見なので比較は出来ないのですが、ポケベルが出てきたりしてちょっと古いのではと感じてしまう部分も(もしかしてポケベルを知らない人も会場にはいたりするかも)あったりしましたが、全体的には楽しく観劇させていただきました。



物語は主人公のあゆみが相手を傷つけたくなくて(本当は自分を守りたいのだけど)重ねるウソのせいでドタバタが巻き起こるコメディです。

このあゆみを演じるのが竹内結子さん。

初舞台という事で話題になっていましたが、セリフの通りも良く、動きも立ち姿も美しい。

映像中心の活動をされている女優さんの中には舞台で拝見するとキラキラ度が低かったりする方も時々いらっしゃるのですが、竹内さんは舞台女優さんとして全く問題がないというか素敵に舞台に存在されていた印象でした。

ただ、この役に合っているかというとちょっと疑問も残る所。

70歳の恋人がいるなんて突飛な設定はもっとほんわりした不思議ちゃんキャラじゃないと観る側は受け入れにくい。

私の勝手なイメージなので申し訳ないですが、竹内結子さんはさっぱりした知的な女性なので・・・。

もう一人初舞台だったのがイモトアヤコさん。

私はTVでの彼女のお仕事を全く知らないのですが(お名前は知ってますが)女優さんとして違和感なく安定した演技だったと思いました。

このように総じて出演者の皆さんは好演だったと思うのですが、一番印象に残ったのがお二人の父親役の草刈正雄さん。

こんなにもコメディになじむ方とは全く思っていなかったので驚きました。

本当はあゆみの結婚に反対なのにどんどん巻き込まれていく感じがかなり可笑しくて、久しぶりに素直に笑えました。


悪人の出て来ないコメディは楽しい。

私の大好きは「出口なし」も再演してくれないかなあ・・・。

マクベス

2014-07-08 20:35:50 | 観劇・ストレートプレイ
6日に名鉄ホールで野村萬斎さん演出・主演の「マクベス」を観て来ました。

萬斎さん演出の「マクベス」は今回で3演目ですが、名古屋で公演されるのは初めて。



私が名古屋で伝芸以外の公演で野村萬斎さんを観るもの初めてのような気がする。
レクチャーとかはあったけど・・・。

今回の「マクベス」の再演も名古屋に来てくれるなんて全く思ってなくて、先に発表されていた兵庫の公演が平日の1日だけだったので、観る事自体を諦めてました。

そこへ名古屋公演の告知が、しかも日曜日。
中京テレビさんに感謝です。


さて、舞台ですが、これまでと同様に出演者は5名だけ。
上演時間は90分ほど。
演出の面は多分、昨年の再演とほぼ同じ(だと思います)。

マクベス役の萬斎さんは、美しく切れのあるセリフ回しと身のこなしで、普通の人間が魔物に魅入られて落ちてゆく様を的確に表現して魅せ、マクベス夫人の秋山さんは女性の強さと弱さをしっかり演じ分けておられたと思います。

3人の魔女と沢山の役をされた小林さん、高田さん、福士さんもとにかく上手くて言う事なしです。

もともと4時間ほどかかる戯曲を半分以下にまとめた脚本もわかりやすくてテンポのあるものでした。

作品の良さはこれまでの公演でも十分に感じていましたが、今回はこの作品を名古屋で観る事ができたということが私的には感慨深いというか意味があるように感じています。

やっと世田谷発の舞台を名古屋で観られたのが嬉しかったのです。

萬斎さんの演出作品に限らず、世田谷パブリックシアターで上演されている作品は秀品が多いと感じています。

これからも名古屋での上演があったらいいなと思いますので、中京テレビさんどうかよろしくお願いします。


休館が決まっているホールですが、この日は萬斎さん作品の名古屋登場を待ちわびた方々が沢山おられたようで満席状態で、そんな暗いニュースは感じられない雰囲気でした。

名鉄ホールさんには秋に又、お邪魔します。

わたしを離さないで

2014-05-27 20:38:25 | 観劇・ストレートプレイ
愛知県芸術文化センターで「わたしを離さないで」を観てきました。



原作も映画も知らない状態での観劇でしたし、上演時間が4時間近いという事だったので、これは耐えられるかなあと心配でしたが、4時間があっという間で、自分でもびっくりでした。

この物語は人間が臓器提供のためのクローン人間を作り、そのクローン達の人生や恋の葛藤と哀しみを描いています。

クローン人間なんて全く想像できないですから、ちょっとした不思議空間。

それでもそこに描かれているのはごく普通の若者たち。

ただ違うのは彼らには人生を選択する事ができない。運命に従うだけ。

それにしても人間って怖い。

自分たちの都合で生み出したクローンに対して嫌悪感を覚えたり、脅えたりするくせにとことん利用はする。

ただ唯一救いなのは、運命に従うだけののクローン達にも命の煌きが確かに存在したこと。

もしかしたらクローン達は心を持たなかった方が幸せだったのかもしれないけれど、逆に心がなかったら命の煌きも存在しないわけで・・・。

なかなか難しくて何とも言えない作品でした。



もともとこの作品を観ようと思ったのは主演の多部未華子さんの舞台を1度観たいと以前から思っていたから。

そして彼女の芯の通ったナチュラルな演技は観客をどんどん物語の中へ引き込んでゆき、この難しい物語をきちんと成立させている事に感動しました。

そしてとても良く通るセリフは、角がなくて心に響きます。

それは一番傷ついているのかもしれない八尋の面に出さない心の叫びのようでもあり、役を生きる事のできる女優さんだなと思いました。

又、機会があったら、彼女の舞台を観てみたいです。

明るい作品も是非。

共演の三浦さん、木村さんもそれぞれに適役でとても良かったです。

これからも皆さん舞台で輝いて欲しいなと思いました。

神なき国の騎士 -あるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?

2014-03-10 20:55:56 | 観劇・ストレートプレイ
世田谷パブリックシアターで「神なき国の騎士ーあるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?」を観て来ました。



先日の帝劇も久しぶりでしたが世田谷パブリックはもっと久しぶり。

最近、世田谷で上演された作品は地方で上演される事が多いので最近はもっぱら関西で観ていました。


「神なき国~」は川村毅さんの書き下ろし作で、演出・主演は野村萬斎さん。

萬斎さんは世田谷パブリックシアターの芸術監督でもあり、これまでも演出と主演で様々な作品を上演されていますが、書き下ろし作の演出・主演は初めて。


観劇前に思っていたのはドン・キホーテの物語に何かのエッセンスを足したようなお話なのかな。

でも、私、ドン・キホーテの話はほとんど知らない。
幸四郎さんの「ラ・マンチャの男」は1度観てますが、そんなに鮮明な印象は残っていないけど大丈夫かなという感じでした。


そんな私が観た「神なき国~」はドン・キホーテを通じた現代の諷刺劇でした。

幕開きは有名な風車に突進するドン・キホーテの場面。

狂気と正気のはざまにあってどちらともわからない人間の空気感が萬斎さんのキホーテにはあり、しかも明快なセリフに説得力があるのでカラっと笑えて、このままドン・キホーテの物語が進むのかと思っていると、どんどん現代社会へ。

現代の日本、福島の原発、国会議事堂、そんな風に思えるものが表現されていく。
何となくわかるけど、わからない部分を残しつつ。


観劇後に私が思ったのはわかりにくかったけど、引き込まれる作品だったという事。


それは萬斎さんをはじめとする演者の方の力量が優れていたという事でもあります。

中でも印象的だったのは深谷美歩さんの澄んだ歌声。久しぶりに歌声で涙が出そうになりました。

でも、わかったようなきになるけれど、わかったふりをしてはいけないんですよね。

そんなセリフがちりばめられた舞台でした。

そして、こういう作品は商業演劇ではなかなか上演できない。

公共劇場だからできる作品だし、やらなければいけない作品だというような事を萬斎さんはおっしゃっていましたが、
そうかもしれないなあと思いつつ、少し重い気持ちを抱いて帰宅しました。


少しおまけ。

この舞台観劇に合わせて取ったチケットで再び帝劇にも行ってきました。

公演も2ケ月目に入り、出演者の皆さんは疲れも溜まっておられると思うのですが、先日観た時より座長の堂本さんをはじめ皆さんパワーアップおられるのではと思われるほど、キラキラとした輝きのある舞台で沢山のエネルギーをいただきました。

考えてみれば、三年前のあの震災の時、この「SHOCK」は帝劇で公演中。

そして、震災の日以降の公演はすべて中止となり、色々なことを考えさせられたと座長の光一さんは話されていました。

偶然にも1年後の3月11日、私は帝劇で再び動き出した「SHOCK」を観劇し、出演者の皆さんとの黙祷に参加させていただきました。

「SHOCK」のラストの曲「CONTINUE」は「悲しみの大きさを超えてく強さ~」と歌いだします。

これは「神なき国~」のキホーテのラストのセリフ「生き抜くのだ」に通じているような気がして、このタイミングでこの2つの作品を連続して観る事になった不思議を少し感じています。

観劇は作品との縁があるから実現するのだと私は思っているので、今回の観劇は何かの必然だったんだろうな。その何かはまだわからないけど。

そして、明日は3度目の3月11日。

シスカンパニー・かもめ 2

2013-10-09 20:48:23 | 観劇・ストレートプレイ
かもめの観劇記の続き。主演の4人のお話を。

出演者の中で一番の存在感だったのはやはりアルカージナ役の大竹しのぶさん。群を抜いてる感じ。

この物語を動かしてるのは彼女だと感じられるのがすごく頼もしい。
個人的には彼女の声質は苦手なのだけど、その演技の幅には脱帽します。


アルカージナの愛人で作家のトリゴーリンは野村萬斎さん。

何も語らなくても絵になる美しさ。
いつもは和装なのにスーツがずるいくらいに似合う(和装をしても一番似合うんでしょうけどね)。

ニーナが恋するのも仕方がないよねって納得できる。

ニーナに自分の事を語る場面はほとんど一人語りの長いセリフだけど、明快で淀みなくスラスラと話すのは流石。

まあ、藪原検校の一人語りに比べれば短いのかもしれないですが、語りは本業に通じるものがるのだけど、こちらはセリフなので私的には今回の方が凄いなと思いました。

こんな主体性のないダメな男を萬斎さんが演じるのは珍しいのだけど、なんか違和感なかったです。

そして、こんなダメ男を演じてるのに素敵って思わせるこの人っていったい何なの?と思いました。(これ褒めてます)


違和感がなかったといえば生田くんもこの玄人受けする演技者の中に入っても存在感があって、良い役者さんになったんだなあと思いました。

特にラスト、ニーナがトレプーレフを訪ねて語る場面で、トリゴーリンを愛してる、どしようもなく好きなのと叫ぶ場面は2人の孤独とトレプーレフの絶望が感じられて、何も語ってないけれど涙が出そうになりました。

私が生田くんの舞台を観るのは「SHOCK」のライバル役以来で、ストプレは初めて。

彼自身も舞台は久しぶりみたいですから、これからはもう少し間隔をあけずに舞台に出てくれたらいいな。
そして、又、萬斎さんと共演して欲しいな。今回はあまりセリフを交わす場面はなかったので次があればもっと絡みのある役で・・・。

そして最後はニーナ役の蒼井優さん。
この役は彼女にぴったりなのではと思っていましたが、想像に違わず良い出来で、特に後半の不安定な精神状態で語り続ける表情はとても印象に残りました。

今回の観劇は久しぶりに芝居を観る醍醐味が味わえて大阪まで行って良かったと思いました。

これなら東京にも行けば良かったかもと少し後悔しましたが、チェーホフ苦手という意識が先に立っていたので仕方がありませんね・・・。
それにしてもこんな良いお芝居が名古屋には来ないというのが私的にはかなり寂しいです。



チェーホフが「かもめ」を喜劇と言っているのだそうですが、観劇後もこれを喜劇と言えるかどうかはわかりませんでした。
でも、喜劇的要素を入れ込む事で物語がわかりやすくなっていたのは実感しました。

余談ですが、今回、元親子共演を果たした野村萬斎さんと生田斗真くん。
作家の役でしたが、「あぐり」のエイスケさんも淳くんも作家だったよなあと帰り道思い出したのでした・・・。
放送が1997年では、息子が大きくなるのも当たり前ですね。
私も年を取ったという事です。